16日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比431ドル20セント(1.3%)安の3万3696ドル85セントで終えた。
朝方発表された複数の米経済指標がインフレ圧力の根強さを示す内容で、FRBがインフレ抑制のために進めている利上げが長期化し、政策金利の到達点も上振れするとの観測が広がった。利上げ長期化や金利上振れは景気が悪化するリスクを高めるため、株の売りにつながった。
1月の卸売物価指数(PPI)は前月比0.7%上昇と、市場予想の0.4%上昇を上回る強い内容。さらに、11日までの1週間の新規失業保険申請件数は、悪化を見込んでいた市場予想に反して2週ぶりに改善した。これらの指標を受けて、株は寄り付きから売りが優勢となった。
16日発表の週間の新規失業保険申請件数は前週比で市場予想以上に減り、米労働市場の引き締まりを示した。クリーブランド連銀のメスター総裁が16日の講演で、利上げ幅の0.25%への縮小を決めた2月1日までの米連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.5%の利上げを主張していたことを明らかにした。堅調な指標と併せて、米利上げ継続観測を促した。
序盤に売りが広がった後は安値拾いの買いが入り、株価は下げ幅を縮める場面もあった。ただ、米長期金利の上昇が重しとなり、終盤で再び売りが強まった。
米長期金利が一時3.87%と前日終値(3.80%)から上昇し、昨年12月以来の高水準を付けた。金利上昇局面で相対的な割高感から売られやすい高PER(株価収益率)のハイテク株が下落。ソフトウエアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォースが下げた。
利上げが景気を冷やすとの警戒感から映画・娯楽のウォルト・ディズニーやスポーツ用品のナイキなど消費関連も売られた。ダウ平均は朝方に400ドル超下げた後、午後に86ドル安まで下げ渋った。だが、長期金利が再び上げ幅を広げるにつれて株売りが勢いを増し、主な株価指数はこの日の安値圏で終えた。
ナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに反落し、前日比214.759ポイント(1.8%)安の1万1855.834で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや電気自動車のテスラが下落した。
【シカゴ日本株先物概況】
16日のシカゴ日経平均先物は下落した。3月物は前日比105円安の2万7515円で引けた。早期の米利上げ休止観測の後退を受けて米株式相場が下落し、日経平均先物にも売りが優勢だった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
27515 ( -155 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
27520 ( -150 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 8012.53(+14.70)
16日のFTSE100種総合株価指数は4日続伸した。前日に比べ14.70ポイント(0.18%)高の8012.53で終え、連日で過去最高値を更新した。主力の銀行株のほか、エネルギーや素材関連の一部に買いが入った。一方、指数は下げに転じる場面があった。16日発表の1月の米卸売物価指数(PPI)の前月比上昇率が市場予想を上回り、米連邦準備理事会(FRB)の利上げが続くとの見方が投資家心理の重荷となった。
個別では、好決算を発表したブリティッシュ・ガスの親会社セントリカ(5.7%高)や金融大手スタンダード・チャータード(4.1%高)が買われた。リオ・ティント(1.7%高)やBP(1.4%高)など資源エネルギー関連株も堅調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15533.64(+27.30)
16日のドイツ株価指数(DAX)は続伸し、前日比27.30ポイント(0.18%)高の1万5533.64で終えた。英ロンドン株の上昇が支えとなった。主力の消費関連や金融のほか、資本財関連の一角に買いが入った。
個別では、航空機大手エアバス(4.9%高)やドイツ銀行(3.9%高)が買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7366.16(+65.30)
フランスCAC40種指数は0.89%高だった。良好な企業決算を好感し、幅広い銘柄に買いが入った。ただ、米卸売物価が強い結果となり、米利上げの長期化観測が強まったことで、値を下げた。
