16日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比336ドル46セント(1.0%)安の3万3012ドル14セントで終えた。
ホームセンター大手ホーム・デポはこの日、2024年1月期通期の売上高見通しを従来予想から引き下げたと明らかにした。これを受けて同社株は2%超下落。また、「米国内の今後の消費が弱くなる可能性が意識されるようになった」(日系証券)ことで、ターゲット(1.6%安)、ウォルマート(1.4%安)など他の一般消費財銘柄も値下がりした。
また、同日発表された中国の小売売上高と鉱工業生産が市場予想を下回り、経済回復が鈍化しているとの認識が広がった。中国での売上比率が高いナイキ(2.8%安)やキャタピラー(1.9%安)が大幅に下げた。
消費が下振れするとの懸念から、他の消費関連銘柄にも売りが波及した。ダウ平均の構成銘柄ではスポーツ用品のナイキや映画・娯楽のウォルト・ディズニーが下げた。
朝方発表の4月の小売売上高は前月比0.4%増とダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.8%増)を下回った。一方、自動車とガソリンを除くと0.6%増と増加に転じた。「米経済の底堅さは金融引き締めの長期化につながる」との見方があった。米金融政策や経済の先行き不透明感が根強く、景気敏感株の売りが目立った。工業製品・事務用品のスリーエム(3M)や化学のダウ、建機のキャタピラーが安い。
債務上限問題を巡り、午後に予定されていたバイデン米大統領と野党・共和党のマッカーシー下院議長の協議を見極めたい雰囲気も強かった。米政府高官は16日の記者会見で、バイデン大統領が広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)後に予定していたパプアニューギニア、オーストラリア訪問を取りやめる可能性があると表明した。協議が難航していると受け止められたことも、相場の重荷となった。
消費関連や景気敏感株が売られた半面、人工知能(AI)技術の開発期待などを背景に投資資金がハイテク株に向かいやすい面があった。ダウ平均の構成銘柄ではソフトウエアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォースが買われた。
ナスダック総合株価指数も反落し、前日比22.156ポイント(0.2%)安の1万2343.053で終えた。バイオ製薬株などが売られた。半面、ネット検索のアルファベットやネット通販のアマゾン・ドット・コムは買われ、下値は限られた。著名投資ファンドの新規購入が明らかとなったアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体株の一角も高かった。
【シカゴ日本株先物概況】
16日のシカゴ日経平均先物は横ばいだった。6月物は前日終値と同水準の2万9870円で終えた。16日の日本株が上昇した一方で
米株式相場が下落し、日経平均先物は方向感が出にくかった。
NYダウは、米国内消費の悪化懸念を背景に反落した。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
29870 ( +30 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
29885 ( +45 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7751.08(-26.62)
16日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前日に比べ26.62ポイント(0.34%)安の7751.08で終えた。16日発表の中国の経済指標の結果が市場予想を下回り、同国景気の回復期待が後退するなか、エネルギーや資源など商品関連セクターに売りが出た。
16日に、今後3年間で1万1000人の人員削減計画を発表した通信大手ボーダフォンが大幅安。BTグループにも売りが波及し、情報通信セクターの下落も重荷だった。
個別では、業績不振による1万1000人の削減方針が伝わった通信大手ボーダフォンが7.44%安と最も大きく下げた。オンライン食品販売大手オカド・グループは3.90%安、ホームセンター大手キングフィッシャーも3.04%安。一方、複合企業DCCは2.81%高、商業用不動産大手ランド・セキュリティーズは2.35%高、航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスは2.10%高だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15897.93(-19.31)
16日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反落し、前日に比べ19.31ポイント(0.12%)安の1万5897.93で取引を終えた。中国の経済指標が市場予想を下回り、同国景気の回復期待がしぼんだ。欧州経済研究センター(ZEW)が16日発表した5月のドイツ景気予測指数も低水準となり景気悪化への警戒感が強まったのが重荷となった。自動車や金融、消費関連に売りが出た。
個別では、通販大手ザランドが2.84%安、スポーツ用品大手アディダスが2.44%安、医療機器のシーメンス・ヘルシニアーズが2.26%安と下落。半面、エネルギー大手シーメンス・エナジーは2.97%高、航空機大手エアバスは2.57%高、半導体大手インフィニオンは2.26%高と買われた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7406.01(-12.20)
フランスCAC40種指数は0.16%安だった。
原油安もエネルギー株の売りにつながった。
