ダウ反落269ドル安、企業収益と景気に懸念

 
8日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比269ドル24セント(0.8%)安の3万2910ドル90セントで終えた。
この日の米原油先物相場は続伸し、節目の1バレル=120ドルを上回って推移した。これに伴い、高インフレへの懸念が再燃。米連邦準備制度理事会(FRB)が高インフレに対処するために急速に利上げを進め、景気後退を招くリスクが意識され、ダウ平均は終日売りに押された。下げ幅は一時350ドルを超えた。
米長期金利が上昇し、節目の3%を上回って推移したことも、ハイテク株の重しとなった。また、半導体大手インテルの幹部が、4~6月期の業績が事前予想より悪化するとの見方を示し、同社株が大幅下落。ダウ平均を下押したほか、他の半導体株にも売りが波及した。
 
欧州の金融大手クレディ・スイスが同日、2022年4~6月期に赤字に転落すると発表し、銀行株を中心に企業収益への警戒が広がった。経済協力開発機構(OECD)は8日、世界の経済成長率見通しを下方修正し、景気懸念も株売りを誘った。
 
クレディ・スイスはウクライナ戦争や主要国の金融引き締めを背景に企業の資金調達が低調になり、赤字に陥るという。欧州銀行株が下落し、米国でも業績懸念からゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースがともに2%下落した。アナリストが12月期通期の業績見通しを引き下げた半導体のインテルが5%強下落して終え、半導体関連株の売りを誘った。今週は企業業績の下振れを示す材料が相次いでいる。
 
景気冷え込みへの警戒も強い。OECDはウクライナ戦争によるエネルギーや穀物の価格上昇を理由に、22年と23年の世界の経済成長率の見通しを下方修正した。また、米抵当銀行協会が8日発表した週次調査で、住宅ローンの申請規模を示す総合指数が22年ぶりの低水準になった。
 
輸送株など景気敏感株が幅広く売られ、ダウ平均構成銘柄ではホームセンターのホーム・デポなど消費関連株の下げも目立った。半面、原油高を受けて石油のシェブロンが買われた。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前日比88.961ポイント(0.7%)安の1万2086.271で終えた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
32,910.90-269.24
S&P500種
4,115.77-44.91
ナスダック
12,086.271-88.961
FTウィルシャー5000
41,825.65-468.12
NY金(ドル/トロイオンス)
1,856.50+4.40
NY原油(ドル/バレル)
122.40+0.29
円・ドル
134.24 – 134.26+0.67
 
 


【シカゴ日本株先物概況】

8日のシカゴ日経平均先物は反落した。6月物は前日比60円安の2万8150円で引け、8日の大取終値を40円下回った。
経済協力開発機構(OECD)が世界経済の見通しを大幅に引き下げたことを背景に、成長鈍化を警戒した売りに寄り付き後、下落。また、10年債利回りが再び3%台に達し、金利の上昇も重しとなった。
米長期金利の上昇などを背景に景気先行きへの警戒感が広がり、日経平均先物は米株とともに売られた。
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
 28150 ( -40 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
28150 ( -40 )
 ( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7593.00(-5.93)
8日のFTSE100種総合株価指数は小幅に続落した。前日に比べ5.93ポイント(0.08%)安の7593.00で引けた。インフレ懸念から消費関連株などに売りが出た。原油高でエネルギー株が買われ、下値を支えた。
個別銘柄では、英郵便大手ロイヤル・メールが5.2%安の軟調。英金融大手HSBCホールディングスも1.7%安と売られた。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14445.99(-110.63)
8日のドイツ株価指数(DAX)は続落した。前日に比べ110.63ポイント(0.76%)安の1万4445.99で終えた。高インフレや欧州中央銀行(ECB)による金融政策の正常化加速が意識される中、欧州経済の減速を懸念した売りが出た。DAXでは独保険大手アリアンツが2.3%安と軟調だった。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6448.63(-51.72)
フランスCAC40種指数は0.80%安となった。
世界的にインフレが進む中、中央銀行の利上げによる景気減速懸念が株式相場を圧迫した。CACでは仏乳製品大手ダノンが2.7%安とさえなかった。

 

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