21日のNYダウ工業株30種平均は6営業日ぶりに反落し、前週末比201ドル94セント(0.6%)安の3万4552ドル99セントで終えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が21日、年内の米連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅利上げの可能性を示唆した。金融引き締め加速を警戒し、幅広い銘柄に売りが膨らんだ。
パウエル議長はこの日の講演で「インフレがあまりに高過ぎる」と述べた上、必要な場合に0.5%の大幅な利上げを行う可能性を示唆した。市場ではタカ派な内容と受け止められる中、ダウは下げ幅を拡大し、取引終盤まで軟調な展開を維持した。
ウクライナ情勢の不透明感も投資家心理の重荷だった。ロシア国防省が20日、港湾都市マリウポリのウクライナ軍に降伏するよう要求したがウクライナ側は拒否したという。紛争の一段の激化を警戒し、米原油先物相場が急伸したのも、消費の減速懸念を強めた。ダウ平均の下げ幅は一時400ドルを超えた。
ただ、下値では買いが入り、ダウ平均は下げ幅を縮小する場面もあった。資源価格の高騰でリセッション(景気後退)懸念が高まっている欧州から米国株に資金を移す動きが活発化し、米株相場の下値を支えているとの見方があった。
旅客機が中国で墜落したボーイングが4%下落した。ガソリン高が消費に響くとの見方からクレジットカードのビザ、映画・娯楽のウォルト・ディズニー、ホームセンターのホーム・デポなど消費関連株の下げが目立った。
米長期金利が一時、前週末比0.17%高い(債券価格は安い)2.32%と、2019年5月以来の水準に上昇した。長期金利の上昇で相対的な割高感が増した高PER(株価収益率)のハイテク株も売られやすかった。ソフトウエアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムが下げた。
半面、資源高が業績の追い風になるとの見方から建機のキャタピラーと石油のシェブロンは買われた。
ナスダック総合株価指数は5営業日ぶりに反落し、前週末比55.377ポイント(0.4%)安の1万3838.460で終えた。交流サイトのメタプラットフォームズと動画配信のネットフリックスが2%前後下げた。
NYダウ工業株30種(ドル)
34,552.99-201.94
S&P500種
4,461.18-1.94
ナスダック
13,838.460-55.377
FTウィルシャー5000
45,574.44-53.15
NY金(ドル/トロイオンス)
1,929.50+0.20
NY原油(ドル/バレル)
112.90+0.78
円・ドル
119.46 – 119.48+0.61
【シカゴ日本株先物概況】
21日のシカゴ日経平均先物は小幅に続伸した。6月物は前週末比20円高の2万7060円で引け、18日の大取終値を330円上回った。
パウエルFRB議長の講演が伝わり、株式市場は下げ幅を拡大。議長は、必要なら毎会合で0.25%を上回る利上げを実施する意向を示し、必要に応じて中立金利を上回る引き締めに動く可能性も示唆した。
日経平均先物は米株とともに売りが先行した。その後は米株が下げ渋るにつれて戻した。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
27060 ( +330 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
27110 ( +380 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7442.39(+37.66)
21日のFTSE100種総合株価指数は4日続伸した。前週末に比べ37.66ポイント(0.51%)高の7442.39で引けた。原油高を受けたエネルギー株の上昇が指数を押し上げた。
FTSEでは、指数構成銘柄の6割超が下落したものの、産銅大手アントファガスタ(8.1%高)や石油大手シェル(4.1%高)、同BP(4.1%高)など資源関連株が堅調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14326.97(-86.12)
21日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前週末比86.12ポイント(0.60%)安の1万4326.97で終えた。ウクライナとロシアとの紛争長期化への懸念が投資家心理を冷やした。
個別では、料理宅配大手デリバリーヒーロー(7.5%安)やスポーツ用品プーマ(3.4%安)など消費関連株の下げが目立った。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6582.33(-37.91)
フランスCAC40種指数は0.56%安の6582.33だった。
