20日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前週末比196ドル82セント(0.49%)安の3万9806ドル77セントで終えた。
先週終盤に初めて4万ドル台を突破したダウ平均はこの日、利食い売りが広がりマイナス圏に沈んだ。米金融大手JPモルガン・チェースは自社株買いを行わない方針を示したことが投資家に嫌気され、大幅に下落。米長期金利の上昇も相場の重荷となった。
一方、今週に米半導体大手エヌビディアの決算発表を控え、同社株や他の半導体銘柄が上昇。人工知能(AI)ブームによる業績の押し上げが期待されている。マイクロソフトも生成AIを活用した新製品を発表し、値上がりした。
米連邦準備理事会(FRB)が年後半には利下げを開始し、米経済はソフトランディング(軟着陸)できるとの観測から前週末にかけて株買いが広がった。ダウ平均は5月に入り、前週末までに2180ドルあまり上昇した。4万ドルの大台に乗せた達成感や相場の短期的な過熱感への警戒もあり、消費関連株やディフェンシブ株などに売りが出た。
20日に投資家向け説明会を開いたJPモルガンが4%安となった。ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が計画よりも早期に退職する可能性を示唆したと受け止められたほか、足元の株価では「大量の自社株買いはできない」との見方を示したと伝わった。
ダウ平均は前週末につけた過去最高値(4万0003ドル)を上回って推移する場面もあった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、エヌビディアが買われた。22日の2024年2〜4月期決算発表を前に複数のアナリストが目標株価を上方修正し、業績期待が広がった。アナリストが投資判断を引き上げたマイクロン・テクノロジーも買われ、半導体関連株の上昇が投資家心理を支えた。
人工知能(AI)関連の業績期待が高く、マイクロソフトやアップルなどハイテク株も買われた。市場では「前週末にかけて相対的に堅調だったバリュー(割安)株からグロース(成長)株へと循環物色が広がった」との声が聞かれた。
個別銘柄ではシスコシステムズやトラベラーズ、ホーム・デポ、マクドナルドが売られた。一方、キャタピラーやボーイング、インテルが上昇した。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発した。前週末比108.908ポイント(0.65%)高の1万6794.874で終えた。15日以来となる過去最高値を更新した。半導体関連株への買いが目立ち、エヌビディアとマイクロンのほか、クアルコムが上昇。マイクロソフトが新たに開発したパソコンにクアルコムの半導体を搭載したと発表し、買い材料視された。
【シカゴ日本株先物概況】
20日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前週末比550円高の3万9295円で終えた。この日は先週終盤の上昇を受けNYダウ平均は、利益確定の売りが優勢となり、反落した。一方、ナスダック総合株価指数は、最高値を更新するなど米ハイテク株が上昇したほか、日経平均株価が約1カ月ぶりの高値となり、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39295 ( +225 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39310 ( +240 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 8424.20(+3.94)
20日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに小幅に反発し、前週末比3.94ポイント(0.04%)高の8424.20で終えた。銅やニッケルといった非鉄金属の先物価格上昇を背景に、スイスのグレンコアなど資源株が買われ、指数を支えた。
FTSEの構成銘柄では、航空エンジン大手ロールス・ロイスが4.47%高と上昇率トップ。産金大手フレスニロは3.98%高、エンジニアリング会社ウィアーグループは3.77%高と続いた。一方、格安航空大手イージージェットが3.24%安、高級衣料のバーバリー・グループが3.00%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 18768.96(+64.54)
20日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反発し、前週末比64.54ポイント(0.34%)高の1万8768.96で終えた。独ラインメタルや欧州エアバスなど防衛・航空関連の銘柄が買われ、指数を支えた。
ソフトウエア大手SAPなどテクノロジー株にも買いが入った。他方、自動車株には売りが優勢だった。
個別では、防衛大手ラインメタルが3.75%高、素材化学大手コベストロが2.15%高、航空エンジン大手MTUエアロ・エンジンズが1.49%高と買われた半面、エネルギー大手シーメンス・エナジーが2.60%安、高級車メーカーのポルシェが1.89%安と売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 8195.97(+28.47)
フランスCAC40種指数は0.35%高だった。
