28日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前週末比166ドル15セント(0.5%)安の3万3892ドル60セントで終えた。
ロシアによるウクライナ軍事侵攻が続く中、株価は不安定な値動きを示した。両国は28日に停戦交渉を行い、近日中に改めて交渉に臨む見通し。ただ、ロシアのプーチン大統領は核戦力に言及して威嚇するなど強硬姿勢を崩しておらず、両国の隔たりは大きい。
米欧が先週末以降相次いで打ち出した強力な対ロ金融制裁も、相場の重しとなった。米欧は26日、銀行決済取引網「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアの一部銀行を排除することを決めた。また、バイデン米政権は28日、ロシアの中央銀行などとの取引を禁じる制裁を発動。この結果、ロシア中銀が米連邦準備制度理事会(FRB)に持つドル資産が事実上凍結され、プーチン政権は通貨ルーブルを買い支えることが難しくなった。
ロシアとウクライナの代表団は28日に初の停戦協議に臨んだ。進展を見極めたいムードが強まり、ダウ平均の下げ幅は一時95ドルまで縮小した。双方が持ち帰って検討することで協議を終えると不透明感を嫌気した売りが出て、午後に下げ幅を589ドルに広げる場面があった。
その後は取引終了にかけて再び下げ渋る展開だった。年明け以降下げがきつかったハイテク株に押し目買いが入った。ハイテク株は世界景気の影響を受けにくいとされるうえ、米長期金利が1.8%台前半に低下したのも高PER(株価収益率)銘柄が多いハイテク株の追い風だった。
個別では景気敏感株が売られ、金融のJPモルガン・チェースが4%安、ゴールドマン・サックスが3%安だった。長期金利低下による利ざや縮小も嫌気された。クレジットカードのビザと工業製品・事務用品のスリーエム(3M)も安い。
一方、顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムは1%高で終えた。ソフトウエアのマイクロソフトのほか、スマートフォンのアップルも小幅ながら上昇した。バイオ燃料企業の買収を発表した石油のシェブロンが3%高となったのもダウ平均を下支えした。
ナスダック総合株価指数は3日続伸した。前週末比56.775ポイント(0.4%)高の1万3751.399で終えた。電気自動車のテスラが7%高と急伸、半導体のエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も高い。
NYダウ工業株30種(ドル)
33,892.60-166.15
S&P500種
4,373.94-10.71
ナスダック
13,751.399+56.775
FTウィルシャー5000
44,814.51-42.79
NY金(ドル/トロイオンス)
1,900.70+13.10
NY原油(ドル/バレル)
95.82+4.23
円・ドル
114.97 – 115.02-0.52
【シカゴ日本株先物概況】
28日のシカゴ日経平均先物は反落した。
3月物は前週末比330円安の2万6650円で引け、28日の大取終値を90円上回った。対ロシアの経済制裁が投資家心理を冷やした。欧米が26日にロシアの大手銀行を国際決済網の国際銀行間通信協会(SWIFT)から締め出す方針を表明した。米財務省は28日、ロシアの中央銀行が米国の金融機関とドルを取引するのを禁じる経済制裁を公表し、景気先行きへの懸念が広がった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
26650 ( +90 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
26650 ( +90 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7458.25(-31.21)
2月28日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前週末比31.21ポイント(0.42%)安の7458.25で引けた。FTSEは指数構成銘柄のうち、下落したのは4割にとどまった。
米欧がロシアの大手銀行などを国際決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除する措置を決めた。欧州景気への先行き不透明感から運用リスクを減らす動きが出た。
個別では、英・ロシア系産金・産銀会社ポリメタル・インターナショナルが56%超の大暴落。ロシア鉄鋼大手エブラズも29%の急落となるなど、ロシア関連銘柄の下げがひときわ目立った。半面、軍需増加を見込んで航空・防衛大手BAEシステムズが10%超の大幅高となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14461.02(-106.21)
2月28日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前週末比106.21ポイント(0.73%)安の1万4461.02で終えた。欧米がロシアへの経済制裁を強めた。ロシアからのエネルギー供給が停滞し、コスト高がドイツ景気の重荷になることが意識された。自動車や素材が安い。
ロシア関連資産の多いドイツ銀行が5.2%安とさえなかった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6658.83(-93.60)
フランスCAC40種指数は1.39%安。朝方は欧州経済にも混乱が広がるとして主要国の株価指数は軒並み急落した。しかし、午後に入ると停戦交渉への期待感などを背景に下げ渋った。
