ダウ反落165ドル安 2カ月ぶり安値、ハイテク株に売りが広がる

27日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比165ドル52セント安の2万4117ドル59セントと5月3日以来ほぼ2カ月ぶりの安値で終えた。
 
トランプ大統領が、中国による対米投資制限について対米外国投資委員会(CFIUS)の役割強化での対応を選択し、強硬措置を避けたことが好感され、買いが先行した。原油相場の上昇も好感されたが、主要ハイテク株や長期金利低下を受けて金融株に売りが広がり、下げ幅を縮小して軟調推移となった。
 
米政権は中国企業による対米投資制限について、米財務省などが管轄する既存の対米外国投資委員会(CFIUS)を活用すると26日夜に伝わった。市場では強硬的な追加制裁を見送ったとの見方から買いが先行。ダウ平均は285ドルあまり上げる場面があった。
 
しかし、クドロー国家経済会議(NEC)委員長が米テレビでのインタビューで、大統領の説明は中国に対する態度の軟化を示すものではないと発言。29日にも公表される規制案が貿易摩擦に及ぼす影響が見通せない中、ハイテク株を中心に当面の利益を確定する売りが広がり、株価は下げに転じた。
 
一方、米原油在庫の取り崩しなどを受け、この日の米原油先物相場は3年7カ月ぶりの高値まで上伸。業績向上への期待からシェブロンやエクソンモービルなどのエネルギー株が買われ、ダウの下値を支えた。
 
セクター別では、エネルギーや公益事業が上昇する一方で半導体・半導体製造装置や消費者・サービスが下落した。
 
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比116.542ポイント安の7445.085と5月31日以来ほぼ1か月ぶりの安値で終えた。
 
 
個別では、食品のコナグラ・ブランズ(CAG)は、同業のピナクル・フーズ(PF)と109億ドルで買収合意したものの、財務負担が嫌気され、下落。26日夕に発表した四半期決算で売上高が減少した外食大手のソニックにも売りが膨らんだ。
ソフトウェアのマイクロソフト(MSFT)や検索大手のアルファベット(GOOGL)、ネット小売のアマゾン(AMZN)など、主要ハイテク株が売られた。
 
一方、原油高を受け石油のシェブロンやエクソンモービルが買われた。エネルギー会社のチェサピーク・エナジー(CHK)や深海油田開発のトランスオーシャン(RIG)などエネルギー銘柄が堅調推移となった。
モルガン・スタンレーが「オーバーウエート」で投資判断を開始したと伝わった通信のAT&Tは小幅高で終えた。
 
 
VIX指数は17.91と前日から上昇した(前営業日15.92)。
米株はトランプ大統領の「中国投資制限で最も厳しい措置は取らないと決定した」と発言を受けて買いが先行し、ダウ平均は一時250ドル超高まで上昇した。
VIX指数も一時14.76まで低下。ただ、クドロー国家経済会議(NEC)委員長が「トランプ米大統領は中国に対して譲歩しない」と発言したことで、米株が下げに転じ、VIX指数は上昇した。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,117.59-165.52
S&P500種
2,699.63-23.43
ナスダック
7,445.085-116.542
 
米10年債利回り(%)
2.8274 -0.053
米2年債利回り(%)
2.508 -0.029
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,256.10-3.80
NY原油(ドル/バレル)
72.31-0.45
円・ドル
110.25 – 110.26+0.53

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は反落した。9月物は前日比175円安の2万2130円で終え、大阪取引所の終値を100円下回った。
米中貿易摩擦への警戒感が根強く、取引終了にかけて米株式相場とともに下げた。中国の知的財産権侵害を巡るトランプ政権の強硬姿勢が和らいだとの見方から、買いが先行したものの続かなかった。
この日の9月物の安値は2万2090円、高値は2万22405円
 
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22130 ( -100 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22165 ( -65 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7621.69(+83.77)
FTSE100種総合株価指数は米中貿易摩擦の緩和観測を受け、2日続伸となった。
前日26日の終値に比べ83.77ポイント高の7621.69で引けた。構成銘柄の約7割が上昇した。
欧州各国の株式相場は朝方にそろって下落していたが、ムニューシン米財務長官の米中貿易摩擦に関する発言などが好感されたほか、通貨ポンド安も相場を後押しした。
原油相場の一段高で石油のBPとロイヤル・ダッチ・シェルの値上げ幅が拡大し、株価指数の上昇に大きく貢献した。
 
個別では、英ソフトウエア会社マイクロフォーカスが4.7%高で上昇率トップ。ネット専業スーパーのオカド・グループの値上がりが目立った。レジャー・外食のウィットブレッドは、通期業績が予想範囲内に達するとの見通しを示し大幅高となった。アナリストが投資判断と株価目標をともに引き上げたスーパーマーケットのセインズベリーの上げも大きくなった。
 
半面、英オンライン食品デリバリー大手ジャスト・イートは7.1%安で下落率トップ。予想外の業績不振が伝えられた。英流通・アウトソーシング会社ブンズルは1.3%安で軟調。英金融大手ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド、同バークレイズなどの銀行株もさえなかった。
 
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12348.61(+114.27)
ドイツ株式指数(DAX)は3営業日ぶりに反発した。終値は前日26日と比べて114.27ポイント高の12348.61だった。
欧州各国の株式相場は朝方にそろって下がっていたが、米国株高に伴い、欧州もそれぞれ上昇に転じた。
 
個別では、鉄鋼のティッセン・クルップが大幅高だった。同社とインドのタタ製鉄両社のそれぞれの欧州鉄鋼事業について統合が近いと伝わり、買いが広がった。機械のリンデの値上がりも大きかった。
一方、アナリストが株価目標を引き下げたドイツ銀行の値下がりが目立った。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5327.20(+45.91)

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