8日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比158ドル64セント（0.4%）安の3万5314ドル49セントで終えた。
米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスは7日、米中小銀10行の格付けを1段階引き下げたほか、大手銀6行も格下げ方向で見直すと公表した。
これを受け、今年春の一連の米銀経営破綻で強まった銀行経営を巡る懸念が再浮上し、ダウは取引序盤からリスク回避の売りが優勢な展開となった。金融株主導でダウの下げ幅は一時400ドルを超えたものの、午前に3万5000ドル台割れを辛うじて回避すると、その後はじりじりと値を戻す展開が続いた。
ムーディーズは7日夜にM&Tバンクなどを格下げしたほか、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンやステート・ストリートなど大手行の格付けを引き下げ方向で見直すと発表した。資金調達コストの上昇や金融当局による資本規制の強化、商業用不動産向け融資にともなうリスクの拡大などを挙げた。
米地銀の経営不透明感が再燃したうえ、大手銀の業績悪化懸念も意識され、金融株全般の売りに波及。ダウ平均では、格付けの見直し対象になっていないゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースが売られた。
8日発表の7月の中国の貿易統計でドル建ての輸出と輸入の前年同月比の減少率がともに2ケタとなった。中国の内需の弱さと世界景気の減速を示したと受け止められ、素材や資本財など景気敏感株の売りを誘った。
ダウ平均は一時465ドル下げたが引けにかけては下げ渋った。10日に7月の米消費者物価指数（CPI）、11日に同じく7月の米卸売物価指数（PPI）の発表を控える。米連邦準備理事会（FRB）の金融政策を左右するインフレ指標を見極めたい投資家が多かった。
ダウ平均では顧客情報管理のセールスフォースやソフトウエアのマイクロソフトなどハイテクも売られた。一方、バイオ製薬のアムジェンと映画・娯楽のウォルト・ディズニーが上昇した。
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比110.074ポイント（0.8%）安の1万3884.324で終えた。半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス（AMD）などが売られた。
【シカゴ日本株先物概況】
8日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比95円安の3万2310円で終えた。
米格付け大手が米銀行の格付けを引き下げや中国景気の不透明感などから同日の米株式相場が下落。投資家が運用リスクを取りにくくなるとの見方から日経平均先物にも売りが優勢だった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
32310 ( +20 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
32335 ( +45 )
※( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7527．42（－27．07）
8日のFTSE100種総合株価指数は続落した。前日に比べ27.07ポイント（0.36%）安の7527.42で終えた。イタリア政府が7日、金利収入が膨らんだ銀行に対して40%の追加課税を導入すると伝わった。イタリアの株式相場が下げ、他の欧州株にも売りが波及した。格付け会社が一部の米地銀の長期債務格付けを引き下げたことも重なり、金融セクターが下落した。中国景気の先行き不安も重荷で、素材や工業の下げも目立った。
FTSEの構成銘柄では、資産運用大手アバディーンが11.67％安と最も大きく売られた。産金大手フレスニロは3.37％安、投資会社メルローズ・インダストリーズも2.98％安となった。
一方、保険大手ビーズリーは5.16％高、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループは2.33％高、保険会社ヒスコックスは1.64％高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15774．93（－175．83）
8日のドイツ株価指数（DAX）は続落し、前日比175.83ポイント（1.10%）安の1万5774.93で終えた。イタリア政府が7日、金利収入が膨らんだ銀行に対して40%の追加課税を導入すると伝わった。イタリアの株式相場の下げが波及し、銀行の下げが目立った。7月の中国の貿易統計では輸出と輸入がともに2桁減となった。中国景気の先行き不安から、景気敏感株にも売りが出た。
個別では、ドイツ銀行が3.84％安、コメルツ銀行が3.34％安、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが3.23％安だった。半面、製薬大手メルクは1.19％高、エネルギー大手イーオンは1.05％高、化粧品大手バイヤスドルフは0.97％高で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7269．47（－50．29）
フランスCAC40種指数は0．69％安だった。イタリアのメローニ政権が国内銀行の余剰利益への課税を閣議決定したことが嫌気され、欧州全体で金融株に売りが膨らんだ。
