16日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比145ドル13セント(0.37%)安の3万8627ドル99セントで終えた。
この日朝方に公表された1月米卸売物価指数(PPI)が前月比0．3％上昇と市場予想を上回り、早期の米利下げ観測が後退。長期金利上昇が重荷となり、ダウ平均は午前中に190ドル近く下げる場面があった。
インフレ抑制と成長実現を両立させる景気の軟着陸期待に支えられ、ダウ平均は一時プラス圏に浮上。ただ、これまで上伸していたハイテク株など幅広い銘柄に利益確定の売りが出たため、引けにかけて値を下げた。
米10年債利回りは一時前日比0.10%高い4.33%に上昇した。「米長期金利が高水準で推移すれば、昨年同様にいずれ相場調整のきっかけとなる」との声があった。
米経済がソフトランディング(軟着陸)できるとの見方や米主要企業の業績改善期待が投資家心理を支え、相場は上げに転じる場面もあった。同日発表の2月の米消費者態度指数(ミシガン大学調べ)速報値は79.6と1月の79.0から改善し、約2年半ぶりの高水準となった。
人工知能(AI)需要が企業業績の拡大を後押しするとの期待も根強かった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、前日夕発表の決算や見通しが評価された半導体製造装置のアプライドマテリアルズ(AMAT)が大幅上昇した。21日に決算を発表する画像処理半導体のエヌビディアもアナリストの目標株価引き上げを受けて上げる場面があった。
ダウ平均など主要株価指数が前日までに過去最高値更新を続けており、相場の過熱感が意識されやすい。半面、株高に乗り遅れないために値ごろ感のある銘柄を物色する動きは続いた。
ダウ平均では全従業員の2%を削減する計画が報じられたスポーツ用品のナイキが安い。バイオ製薬のアムジェンやネットワーク機器のシスコシステムズも下げた。一方、製薬のメルクなどディフェンシブのヘルスケア株が高かった。小売りのウォルマートや化学のダウも上げた。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前日比130.520ポイント(0.82%)安の1万5775.654で終えた。交流サイトのメタプラットフォームズやネット検索のアルファベットの下げが目立った。
【シカゴ日本株先物概況】
16日のシカゴ日経平均先物は下落した。3月物は前日比275円安の3万8300円で終えた。
NYダウは、インフレの根強さを示唆する1月の米卸売物価指数（PPI）発表を受け、3日ぶりに反落した。
同日の米株式市場で主要3指数が下落し、日経平均先物にも売りが波及した。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
38300 ( -310 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
38315 ( -295 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
16日のFTSE100種総合株価指数は3日続伸し、前日比114.18ポイント（1.50%）高の7711.71で終えた。終値として1月上旬以来、約1カ月半ぶりの高水準となる。16日公表した2023年12月通期決算で税引き前利益が市場予想を上回った英ナットウエスト・グループなど銀行株が買われ、指数を押し上げた。
前日の米株高に続いて16日の日本株相場も上昇したことなどを受け、投資家心理が強気に傾いた。16日発表の1月の英小売売上高が市場予想を上回り、英経済に対する懸念が和らいだのも支えとなった。鉱業のアントファガスタや英豪資源大手リオティントなど資源株も上げた。
FTSEは構成銘柄の9割が上昇。金融大手ナットウエストが7.09%高と上昇率トップとなり、産銅大手アントファガスタが5.65%高、金融大手ロイズ・バンキング・グループが3.90%高と続いた。一方、通信大手のエアテル・アフリカが3.22%安、同業のボーダフォンが1.41%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株
価指数
16日のドイツ株価指数（DAX）は3日続伸した。終値は前日比70.75ポイント（0.41%）高の1万7117.44と、連日で最高値を更新した。前日の米株高や16日の日本株相場の上昇を背景に、投資家が運用リスクをとる姿勢を強めた。
個別では、セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズが3.19%高、防衛大手ラインメタルが2.92%高、航空エンジン大手MTUエアロ・エンジンズが2.21%高と買われた半面、コメルツ銀行が2.17%安、航空機大手エアバスが1.72%安と売られた。
■フランス・パリ株価指数
欧州株式市場ではフランスの主要な株価指数であるCAC40も3日続伸し、最高値を更新した。終値は前日比24.76ポイント（0.31%）高の7768.18だった。航空機エンジン大手の仏サフランや仏電機大手シュナイダー・エレクトリックの株価上昇が目立った。
