ダウ反落129ドル安、景気後退の懸念で

5日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前営業日の1日に比べ129ドル44セント(0.4%)安の3万0967ドル82セントで終えた。
米景気が後退局面に入るとの懸念が強まり、資源や金融など景気敏感株を中心に売りが広がった。半面、米長期金利の低下を受けてハイテク株には買いが入り、ダウ平均を下支えした。
 
欧州では、ロシアからの液化天然ガス(LNG)供給不安を背景にしたエネルギー高で、景気後退懸念が高まり、各国の株価が下落した。この日のダウ平均は、欧州の株安が波及し、投資家がリスク回避姿勢を強め、売りが先行して取引が始まった。
米原油先物相場が大幅安となり一時1バレル97ドル台前半と4月下旬以来の安値をつけた。金や銅など国際商品も軒並み下落した。
 
米債券市場では長期金利の指標となる10年債利回りが一時、2.78%まで低下。利回りで10年債が2年債を下回る「逆イールド」が再び発生した。逆イールドは景気後退の予兆とされ、高インフレと米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め加速で、「米景気後退を見込むリスク回避の取引が本格化してきた」との声があった。投資家心理の悪化に伴う売りが幅広い銘柄に先行し、ダウ平均の下げ幅は700ドルを超える場面があった。
 
ただ、午後に入ってからは下げ幅を縮小した。米長期金利の低下を受け、金利上昇局面で売られてきた高PER(株価収益率)のハイテク株の一角が買い直された。
 
原油安を受けて石油のシェブロンが3%下落した。建機のキャタピラーや化学のダウ、航空機のボーイングの下げも目立った。景気減速懸念の高まりで債券市場では利回り曲線の平たん化が進んでおり、長短金利差の縮小が収益の逆風になりやすいJPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスなど金融株も下げた。
 
半面、顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップル、ソフトウエアのマイクロソフトなどハイテク株が上昇し、ダウ平均を下支えした。足元で下げが目立っていたスポーツ用品のナイキや映画・娯楽大手のウォルト・ディズニーなど消費関連株の一角も買い直された。
 
ナスダック総合株価指数は続伸し、前営業日の1日に比べ194.393ポイント(1.7%)高の1万1322.238で終えた。交流サイトのメタプラットフォームズや検索サイトのアルファベット、半導体のエヌビディアなど主力株が上昇した。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
30,967.82-129.44
S&P500種
3,831.39+6.06
ナスダック
11,322.238+194.393
FTウィルシャー5000
38,899.83+127.65
NY金(ドル/トロイオンス)
1,763.90-37.60
NY原油(ドル/バレル)
100.42+0.92
円・ドル
135.75 – 135.77-0.33
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

5日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前営業日の1日に比べ65円安の2万6245円で引け、5日の大取終値を95円下回った。
NYダウは景気後退懸念が終日くすぶり、軟調推移した。引けにかけ、暗号資産市場が回復したほかハイテクの上昇で下げ幅を縮めた。
 
 
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
26245 ( -95 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
26290 ( -50 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7025.47(-207.18)
5日のFTSE100種総合株価指数は大幅に反落した。前日に比べ207.18ポイント(2.86%)安の7025.47で引けた。インフレの高止まりに伴う、欧米の中央銀行の金融引き締めによる世界的な景気悪化の懸念から原油先物相場が下落。エネルギー株を中心に売りが膨らんだ。銀行株など景気敏感株も下落した。FTSEでは、指数構成銘柄の6割超が下落。原油など商品相場の値下がりを嫌気し、石油大手シェル(8.5%安)や資源大手グレンコア(8.0%安)など資源エネルギー関連株が大幅安となった。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12401.20(-372.18)
5日のドイツ株価指数(DAX)は大幅に続落した。前日に比べ372.18ポイント(2.91%)安の1万2401.20と約1年8カ月ぶりの安値で終えた。ロシアからの供給停止の不安を背景に天然ガスの先物価格が上昇しており、エネルギー高によるドイツ経済への悪影響を懸念した売りが出た。自動車株や化学株など幅広いセクターに売りが出た。DAXでは、ダイムラートラック(7.8%安)やフォルクスワーゲン(4.9%安)など自動車関連株が売られた。CACでもルノーが5.8%安とさえなかった。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5794.96(-159.69)
フランスCAC40種指数は2.68%安だった。
景気後退への懸念からリスク回避ムードが強まり、売りが先行した。米国株が大幅に下落して始まると、下げを拡大した。

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