5日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前営業日の3日に比べ129ドル83セント(0.4%)安の3万4288ドル64セントで終えた。
5日発表の中国と欧州の経済指標の悪化を受け、世界景気の先行き不透明感が強まった。米連邦準備理事会(FRB)による利上げ継続の観測も株式相場の重荷となった。
米商務省がこの日発表した5月の米製造業受注(季節調整済み)は前月比0.3%増と3カ月連続のプラスだったが、市場予想の0.8%を下回った。また、同日発表された中国の6月のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)は、5カ月ぶりの低水準だった。前月比3.2ポイント低下の53.9だった。
一方、欧州では6月のユーロ圏総合PMI(改定値)は49.9と、好不況の境目となる50を下回り、半年ぶりの低水準となった。欧州中央銀行(ECB)が利上げを継続するなか、景況感が一段と悪化するとの懸念を高めた。
米連邦準備制度理事会(FRB)が午後に公表した6月13~14日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、「何人かの参加者は6月会合で政策金利を0.25%引き上げることが好ましいとの見方を示していた」ことが明らかになった。市場では「7月の会合で利上げを決める確率を高める内容だ」と受け止められた。
米国と中国の経済的な対立が再び激しくなりかねないとの懸念も株式相場の重荷となった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは4日、「バイデン米政権が中国企業を対象にクラウドコンピューティングサービスの利用制限を設ける準備を進めている」と報じた。3日には中国が一部の半導体関連素材の輸出規制を発表していた。
ダウ平均は3日にほぼ7カ月ぶりの高値を付けた後で、主力銘柄に利益確定目的の売りが出やすい面もあった。「4日の独立記念日の祝日の後で休暇中の市場参加者も多いうえ、7日には6月の米雇用統計の発表を控えていることもあり、5日は買い意欲に乏しかった」との見方もあった。
半導体のインテルが3%下げた。工業製品・事務用品のスリーエム(3M)や金融のゴールドマン・サックス、スポーツ用品のナイキも安かった。半面、航空機のボーイングや顧客情報管理のセールスフォース、ドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスは買われた。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前営業日比25.119ポイント(0.2%)安の1万3791.654で終えた。半導体関連株に売りが優勢だった半面、交流サイトのメタプラットフォームズやネット検索のアルファベットが買われた。
【シカゴ日本株先物概況】
5日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前営業日の3日に比べ495円安の3万3120円で終えた。世界景気や米利上げ長期化への警戒感、米国や中国のさえない経済指標を受け5日は米株式相場が下落した。
投資家心理が弱気に傾くとの見方から日経平均先物には売り優勢となった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
33120 ( -200 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
33170 ( -150 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7442.10(-77.62)
5日のFTSE100種総合株価指数は3日続落した。前日に比べ77.62ポイント(1.03%)安の7442.10で取引を終えた。5日発表の中国の経済指標が悪化し、同国景気の先行き懸念が強まった。需要減速を警戒し、エネルギーや資源など商品関連銘柄に売りが出た。
FTSE100では、オンライン食品販売大手オカド・グループ(6.79%安)や保険大手プルデンシャル(3.89%安)、水道大手セバーントレント(3.51%安)などが売られた一方、教育・メディア大手ピアソンは2.45%高で買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15973.58(-101.59)
5日のドイツ株価指数(DAX)は3日続落した。前日に比べ101.59ポイント(0.63%)安の1万5937.58で取引を終えた。5日発表のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)改定値が速報値から下方修正され、ユーロ圏景気の減速懸念が強まった。欧米の中央銀行による金融引き締め継続が、景気をさらに冷やすとの警戒感も重荷だった。金融や小売り、資本財など景気敏感銘柄が売られた。
個別では、エネルギー大手シーメンス・エナジーが5.64%安と下落率トップ。保険大手アリアンツが2.65%安、スポーツ用品大手アディダスが2.36%安と続いた。
一方、自動車部品大手コンチネンタルは3.39%高、航空機大手エアバスが1.19%高とそれぞれ上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7310.81(-59.12)
フランスCAC40種指数は0.80%安で引けた。アジア株安を受け、欧州市場も軟調に推移した。
