28日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比74ドル08セント(0.2%)安の3万3852ドル66セントで終えた。
高インフレや米連邦準備理事会(FRB)の利上げが続くとの見方が消費関連株の一角やディフェンシブ株の重荷となった。一方、ハイテク株の一部は買われ、相場を下支えした。
パウエル議長はこの日、ポルトガルで開かれた会合で、今後の利上げについて「検討から外していない」と発言し、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降の追加引き締めに含みを持たせた。また、現在の金利水準が物価安定の達成に向け「十分景気抑制的でないかもしれない」とも述べ、市場では利上げにより景気が圧迫される可能性が意識された。
「インフレが消費を圧迫するとの見方が意識されやすい」といい、ホームセンターのホーム・デポなど消費関連株が売られた。利上げ継続観測から保険のトラベラーズや医療保険のユナイテッドヘルス・グループといったディフェンシブ株なども軟調だった。
半導体関連株が総じて下落するなか、インテルが安かった。バイデン米政権が人工知能(AI)に使う半導体の中国向け輸出で新たな規制を検討していると伝わり、AI半導体を手掛けるエヌビディアが下落。他の関連株の売りに波及した。米中の緊張が高まるとの懸念も投資家心理の重荷となった面があった。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は0.9%下げた。
ダウ平均は一時170ドル安となったが、引けにかけて下げ渋った。20ドル安前後まで下げ幅を縮めるなど、方向感を探る場面もあった。
米長期金利の低下などを受け、高PER(株価収益率)のハイテク株の一角に買いが入った。顧客情報管理のセールスフォースが上昇し、スマートフォンのアップルは上場来高値を更新した。原油高を受けて石油のシェブロンも高かった。
ナスダック総合株価指数は続伸し、前日比36.077ポイント(0.3%)高の1万3591.750で終えた。27日にスウェーデンのボルボ・カーが電気自動車のテスラの北米充電網に加わると明らかにし、テスラが買われた。アナリストが目標株価を引き上げた動画配信のネットフリックスも高い。
【シカゴ日本株先物概況】
28日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比440円高の3万3240円で終えた。
同日は米ダウ工業株30種平均は、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が利上げ再開を示唆したことが嫌気され、反落した。
一方、日経平均株価は大幅高で終えるなど日本株の先高観が根強く、日経平均先物には買いが優勢だった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
33240 ( +100 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
33295 ( +155 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7500.49(+39.03)
28日のFTSE100種総合株価指数は続伸した。前日に比べ39.03ポイント(0.52%)高の7500.49で取引を終えた。底堅い米経済指標の発表が続き、米景気悪化への懸念が後退する中、前日の米株高が投資家心理を改善させた。商業・専門サービスや消費者サービスといった消費関連や金融、エネルギーなど幅広いセクターに買いが広がった。
FTSE100の構成銘柄では、会計ソフト大手セージが5.11%高で上昇率トップ。投資信託スコティッシュ・モーゲージ・インベストメント・トラストが3.88%高、投資持ち株会社パーシングスクエア・ホールディングスが2.86%高で続いた。一方、オンライン食品販売大手オカド・グループは5.02%安、自動車保険のアドミラル・グループは3.32%安、鉱業大手アングロ・アメリカンは1.86%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15949.00(+102.14)
28日のドイツ株価指数(DAX)は続伸した。前日に比べ102.14ポイント(0.64%)高の1万5949.00で取引を終えた。米景気悪化の懸念が後退し、投資家心理の改善につながった。DAX指数を構成する40銘柄のうち35銘柄が上昇するなど、幅広いセクターが買われた。
欧州中央銀行(ECB)主催の国際金融会議で、主要な中央銀行総裁によるパネル討議が28日、開かれた。市場では金融引き締めにさらに前向きになるタカ派発言が出るとの警戒感が高まっていたが、タカ派姿勢を一段と強めるような発言は聞かれなかった。重要イベントで大きな波乱がなかったことから、株式を買い直す動きも出た。
個別では、エネルギー大手シーメンス・エナジーが6.74%高、医療機器のザルトリウスが3.77%高、防衛大手ラインメタルが2.59%高だった。半面、通販大手ザランドは5.76%安、素材化学大手コベストロは3.27%安、総合電機大手シーメンスは3.07%安と売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7286.32(+70.74)
フランスCAC40種指数は0.98%高だった。前日発表された米経済指標が強い内容だったことから、米景気後退懸念が和らぎ、金融株や工業株などを中心に買いが入った。
