23日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比448ドル96セント(1.3%)安の3万4358ドル50セントで終えた。米原油先物相場が大きく上昇し、高インフレが米景気を冷やすとの懸念から消費関連株などに売りが優勢となった。
この日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、カザフスタンとロシアをつなぐパイプライン経由の輸出が停止されたとの報を受けて供給混乱への懸念が高まり、大幅高となった。新たに中心限月となった米国産標準油種WTI5月物の清算値(終値に相当)は前日比5.66ドル高の1バレル=114.93ドル。
世界的な需給逼迫(ひっぱく)懸念を背景に、原油相場は17日以降、再び上昇基調をたどっている。米国内では急騰したガソリン価格が一段高となり、米経済をけん引する個人消費を冷やしかねないとの警戒感が強まった。
また、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は21日、必要に応じて0.5%の大幅利上げに踏み切る可能性を明言。サンフランシスコ連邦準備銀行のデイリー総裁もこの日、経済指標次第では5月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBが0.5%の利上げを行う可能性に言及した。
消費関連株が売られ、ホームセンターのホーム・デポが4%下落。クレジットカードのアメリカン・エキスプレスや同業のビザも売られた。
米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制のため金融引き締めを急ぐとの見方も投資家心理の重荷となった。このところ買われていたハイテク株の一角が売られ、顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムは3%下落。ソフトウエアのマイクロソフトも下げた。
米長期金利は22日夜に一時2.41%と2019年5月以来の水準に上昇したが、23日は前日終値(2.38%)を下回る場面が目立った。最近の長期金利の上昇と歩調を合わせて買われていた金融のゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株に利益確定売りが出た。
ナスダック総合株価指数も反落し、前日比186.213ポイント(1.3%)安の1万3922.604で終えた。交流サイトのメタプラットフォームズや動画配信のネットフリックスが安い。半導体のエヌビディアは3%下げた。
NYダウ工業株30種(ドル)
34,358.50-448.96
S&P500種
4,456.24-55.37
ナスダック
13,922.604-186.213
FTウィルシャー5000
45,544.71-576.08
NY金(ドル/トロイオンス)
1,937.30+15.80
NY原油(ドル/バレル)
114.47-0.46
円・ドル
121.07 – 121.08+0.01
【シカゴ日本株先物概況】
23日のシカゴ日経平均先物は反落した。6月物は前日比65円安の2万7385円で引け、23日の大取終値を475円下回った。
原油高を手掛かりにインフレの高まりが景気を冷やすとの懸念が広がり、日経平均先物は米株とともに売られた。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
27385 ( -475 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
27430 ( -430 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7460.63(-16.09)
23日のFTSE100種総合株価指数は6営業日ぶりに反落した。前日に比べ16.09ポイント(0.22%)安の7460.63で引けた。インフレ加速で消費が押し下げられるとの懸念が広がった。前日までの上昇で、利益確定の売りも出やすかった。FTSEは指数構成銘柄の約8割が下落。石油大手BPは4.5%高、同シェルは3.9%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14283.65(-189.55)
23日のフランクフルト株式市場でドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日比189.55ポイント(1.31%)安の1万4283.65で終えた。原油価格の上昇で、ユーロ圏の景気を懸念した売りが優勢だった。DAXでは料理宅配大手デリバリーヒーローが6.3%安と売り込まれた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6581.43(-77.98)
フランスCAC40種指数は1.17%安の6581.43だった。
