ダウ反落し251ドル安 EUなどへの関税発動で貿易戦争の懸念

5月31日のNYダウ工業株30種平均は前日比251ドル94セント安の2万4415ドル84セントと反落で終えた。
 
トランプ政権は31日午前、鉄鋼・アルミニウムの輸入制限措置の対象から一時的に除外していたEUやカナダ、メキシコに対し、追加関税を6月1日から発動すると発表。報復措置の応酬となる世界的な貿易戦争に発展するとの懸念から、米株式市場では発表後にダウが大幅下落した。
 
貿易摩擦が激化するとの警戒感から、海外で事業を展開する日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や建機のキャタピラー、航空機のボーイングなどが売られた。
ダウの下げ幅は一時310ドルを超えた。
 
投資家心理の悪化を受けて安全資産とされる米国債には資金が流入した。米長期金利が低下し、利ざやが縮小するとの思惑からゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなどの金融株が売られたのも相場の重荷だった。
 
 
ナスダック総合株価指数は前日比20.336ポイント安の7442.117で終えた。欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が米グーグル系の自動運転技術開発会社のウェイモとの提携拡大を発表し、アルファベット(グーグル)が買われ指数を下支えした。
 
セクター別では、自動車・自動車部品やソフトウェア・サービスが上昇する一方で家庭用品・パーソナル用品や食品・生活必需品小売が下落した。
 
個別では、ディスカウントストアのダラー・ゼネラル(DG)やダラー・ツリー(DLTR)は決算内容が嫌気され大幅下落。アナリストによる投資判断の引き下げを受け半導体大手のマイクロン・テクノロジーにも売りが膨らんだ。
小売大手のシアーズ・ホールディングス(SHLD)は、売上高の減少や一株損失の拡大を受けて急落。欧州地域からの売上比率が高いオートバイメーカーのハーレー・ダビッドソン(HOG)は、EUの報復関税による業績懸念から売られた。
 
一方、ゼネラル・モーターズ(GM)が大幅高。自動運転を手掛けるグループ会社がソフトバンク・ビジョン・ファンドから出資を受けると発表した。EUなどへの鉄鋼関税発動の発表を受けて、USスチールには買いが優勢だった。
 
 
VIX指数は15.43と上昇(前営業日14.94)。米国がEU・加・メキシコからの鉄鋼・アルミ輸入に関税を課す決定を下し、貿易戦争を懸念したリスク回避が強まった。
米株は大幅反落。VIX指数は一時16.29と、昨日の低下幅を大きく縮小する動きとなった
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,415.84-251.94
S&P500種
2,705.27-18.74
ナスダック
7,442.117-20.336
 
米10年債利回り(%)
2.8622 +0.018
米2年債利回り(%)
2.4355 +0.025
 
NY金(ドル/トロイオンス)1,304.70-1.80             
NY原油(ドル/バレル)
67.27+0.23
円・ドル
108.79 – 108.80+0.03

 


【シカゴ日本株先物概況】

 
シカゴ日経平均先物は反落した。6月物は前日比155円安の2万2100円で終え、大阪取引所の終値を90円下回った。
トランプ米政権が31日、欧州連合(EU)やカナダ、メキシコに対し、6月1日から鉄鋼とアルミニウムに輸入関税を発動すると発表し、投資家心理が悪化した。貿易摩擦が激化するとの懸念から米株式相場が下落し、つれ安した。
6月物の安値は2万2015円、高値は2万2270円。
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
22100 ( -90 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
22100 ( -90 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7678.20(-11.37)
FTSE100種総合株価指数は反落した。前日30日の終値に比べ11.37ポイント安の7678.20で引けた。構成銘柄の半数以上が下落した。午前は高値圏で推移したが、午後に下げに転じた。
 
個別では、銀行株と電力・ガス供給のナショナル・グリッドの下げが株価指数を押し下げた。ロイズ・バンキング・グループなど銀行株は売られた。小売りのマークス・アンド・スペンサー(M&S)と電力・ガス供給のナショナル・グリッドは、配当権利落ちで下げ幅が大きくなった。
 
半面、たばこのブリティッシュ・アメリカン・タバコとインペリアル・ブランズが上昇した。CRHは3%超上がった。利益率を改善するため、欧州と南北アメリカの一部部門を統合すると発表し、好感された。
情報・出版のインフォーマも大幅高となった。同社による英イベント主催会社の買収について、英当局の審査を通過したことなどが買い材料となった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12604.89(-178.87)
ドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日30日と比べて178.87ポイント安の12604.89だった。
 
個別銘柄では、ドイツ銀行は7%超下がった。米連邦準備理事会(FRB)が昨年に同行の米国事業について、問題のある状態だと評価していたと伝わり、売りが広がった。同業のコメルツ銀行の下げも目立った。フォルクスワーゲンやダイムラーなど自動車株も売られた。トランプ米大統領がドイツの自動車メーカーを米国市場から締め出す意向を示したと報じられたことが嫌気された。
一方、上昇したのは、ドイツ取引所と素材メーカーのコベストロなど4銘柄だけだった。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5398.40(-28.95)
フランスの株価指数CAC40の終値は前日に比べて0.53%下落した。

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