ダウ反落、米金融引き締め長期化を懸念

8日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比207ドル68セント(0.6%)安の3万3949ドル01セントで終えた。

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は7日、今後も予想を上回る経済指標が続けば、政策金利の目標到達点を引き上げる可能性があると表明。極めて堅調な労働市場が示された1月の米雇用統計に言及した上で、インフレ低下は「相当な時間がかかり、スムーズではない」との見通しを示した。
この日は米主要経済指標の発表に乏しく、パウエル氏の発言が改めて意識される中、金融引き締め長期化への懸念が台頭。ダウは朝方から売り優勢で推移し、終日軟調な展開だった。
ヘルスケア以外の幅広い業種で売りが優勢になった。

FRBのウォラー理事が8日の講演で、インフレ抑制について「努力は報われ始めたが、まだこれからだ。長い戦いになるかもしれない」と金融引き締め継続を示唆した。前週末の強い米雇用統計を受けてインフレへの警戒度を高めたようだ。同氏はFRB高官の中でも論客として知られ、発言が市場で注目されやすい。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も同日、「十分に引き締め的な金融政策を継続する必要がある」と述べた。

市場では「政策金利が想定よりも高い水準に長くとどまる可能性が改めて意識された」との声があった。前日にはFRBのパウエル議長が「ディスインフレのプロセスが始まった」との従来の見解を繰り返し、市場には楽観的な見方が広がっていた。

利上げ継続が米景気悪化を招くとの懸念から景気敏感株が売られた。スマートフォンのアップルなどハイテク株も全般に安い。一方、業績が景気に左右されにくいヘルスケア株は総じて上昇した。

ナスダック総合株価指数は反落し、前日比203.266ポイント(1.7%)安の1万1910.520で終えた。ネット検索のアルファベットが8%安と急落。検索サービスでの人工知能(AI)活用で、ライバルのマイクロソフトに出遅れるとの懸念が売りを誘った。

 


【シカゴ日本株先物概況】

8日のシカゴ日経平均先物は下落した。3月物は前日比265円安の2万7395円で引けた。
米連邦準備理事会(FRB)高官らの金融引き締めに積極的な「タカ派」発言を受けて米株式相場が下落し、日経平均先物にも売りが優勢だった。

シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
27395 ( -205 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
27420 ( -180 )

( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

FTSE100 7885.17(+20.46)
8日のFTSE100種総合株価指数は小幅に続伸した。前日に比べ20.46ポイント(0.26%)高の7885.17で取引を終えた。石油のBPが買われ、指数を押し上げた。7日に発表した2022年12月期決算が大幅増益となり、併せて発表した増配と自社株買いが好感された。
 
7日の米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言が想定したほど金融引き締めに前向きな「タカ派」寄りでなく、投資家の買い安心感を誘った面もあった。指数は前週に付けた過去最高値を上回る場面もあった。
 
個別では、構成銘柄の5割強が上昇。石油大手BPと通信大手BTグループが3.3%高とけん引した。衣料小売り大手ネクストと住宅大手パーシモンは2.0%高、保険会社ヒスコックスは1.9%高だった。一方、包装資材大手DSスミスは4.0%安、同業モンディは2.3%安、段ボール大手スマーフィット・カッパは3.3%安だった。
 
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15412.05(+91.17)
 
8日のドイツ株価指数(DAX)は4営業日ぶりに反発し、前日比91.17ポイント(0.60%)高の1万5412.05で終えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の7日の発言が想定より金融引き締めに積極的なタカ派寄りではないと受け止められ、買いを誘った。
 
個別では、製薬大手バイエルが6.0%高と急伸し、産業ガス大手リンデが3.0%高、人工透析企業フレゼニウス・メディカルケアが2.3%高、エネルギー大手イーオンが1.7%高で続いた。半面、医療機器のザルトリウスは2.6%安、通販大手ザランドは1.8%安、セメント大手ハイデルベルクセメントは1.7%安だった。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7119.83(-12.52)
 
フランスCAC40種指数は0.18%安だった。
 

 

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