ダウ反発75ドル高、利上げ停止への期待で

23日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比75ドル14セント(0.2%)高の3万2105ドル25セントで終えた。

米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止が近いとの観測からハイテク株を中心に買われ、一時は481ドル高まで上昇した。ただ、累積的な利上げで銀行の資金調達コストが上がり、融資姿勢が厳しくなるとの懸念が根強い。景気悪化を見越した売りも出て、ダウ平均は下げに転じる場面もあるなど不安定な展開だった。

前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の声明では、今後の見通しについて、「いくらかの追加金融引き締めは適切」とし、前回会合までの「継続的な利上げが適切」から表現を変更した。FOMC参加者の政策金利見通しでは、年内にあと1回の利上げを実施するシナリオを示した。
FRBのパウエル議長は会見で、信用不安を背景にした銀行の与信環境の悪化について、「事実上、利上げと同じ」と述べ、金融引き締め効果を生むとの考えを示した。

長期金利は3.3%台(前日終値は3.44%)に低下する場面があった。金利低下で相対的な割高感が薄れ、高PER(株価収益率)のハイテク株買いを後押しした。

イエレン米財務長官は23日午後の議会公聴会で「預金保護のために追加的な措置を講じる用意がある」と述べた。前日の公聴会で預金保険の拡大に慎重論を述べて株売りを誘った経緯があるだけに、23日は相場の一定の支えになった。

ダウ平均は481ドル高まで上げた後は売りに押されて165ドル安まで下げる場面があり、1日を通しては不安定な展開だった。市場では預金金利の上昇による利ざや縮小で銀行経営が圧迫され、貸し渋りが強まるとの警戒が強い。金融株が総じて下げ、エネルギーや資本財など景気敏感セクターも売りが優勢だった。

ダウ平均の構成銘柄では、ソフトウエアのマイクロソフトとスマートフォンのアップルが高い。一方、石油のシェブロンや保険のトラベラーズなどが下げた。

ナスダック総合株価指数は反発した。前日比117.442ポイント(1.0%)高の1万1787.398で終えた。エヌビディアやマイクロン・テクノロジーなど半導体株の上げが目立った。

 


【シカゴ日本株先物概況】

23日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比45円高の2万7025円で引けた。
米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止は近いとの見方からハイテク株を中心に米株式相場が上昇し、日経平均先物にも買いが優勢だった。

シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
27025 ( -95 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
27095 ( -25 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7499.60(-67.24)

23日のFTSE100種総合株価指数は4営業日ぶりに反落した。前日に比べ67.24ポイント(0.89%)安の7499.60で引けた。イングランド銀行(英中央銀行)が23日の金融政策委員会で11会合連続の利上げに踏み切った。金融引き締めによる景気悪化への警戒感から消費関連銘柄やエネルギー株などが売られた。欧米の金融システム不安がくすぶり銀行株も下落した。
個別では、たばこ大手ブリティッシュ・アメリカン・タバコが5.5%安と下落率トップ。スタンダード・チャータード(3.0%安)やHSBCホールディングス(2.9%安)、バークレイズ(2.0%安)など銀行株は軒並み下げた。原油安を受け、シェル(2.0%安)やBP(1.1%安)も売られた。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15210.39(-5.80)

23日のドイツ株価指数(DAX)は小幅に4営業日ぶりに反落し、前日比5.80ポイント(0.04%)安の1万5210.39で終えた。22日の米連邦準備理事会(FRB)に続き、23日には英イングランド銀行など欧州の複数の中央銀行が相次ぎ政策金利の引き上げを決定。金利動向に敏感な不動産株を中心に売りが出た。

一方、23日の米株式市場でダウ工業株30種平均が反発して始まったことからドイツ株にも買いが波及し、下値は堅かった。

個別では、コメルツ銀行(4.1%安)とドイツ銀行(3.2%安)が下落率トップと2位だった。

■フランス・パリ株価指数
CAC40 7139.25(+8.13)

前日のイエレン米財務長官の発言を受けて金融システムに対する警戒感が再び高まり、銀行株を中心に売りが広がった。DAXやCACは取引終盤にかけて値を戻した。
個別では、CACのソシエテ・ジェネラル(2.3%安)やBNPパリバ(2.2%安)も売られた。

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