15日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発し、前日比383ドル25セント(1.1%)高の3万5927ドル43セントで終えた。
米連邦準備理事会(FRB)は15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリング(量的緩和の縮小)加速を決め、来年の利上げ回数を従来の1回から3回に増やすとの予想を示した。
FRBは新型コロナウイルス危機への対応で導入した量的緩和策の縮小を加速させる方針を発表。また、物価高が長引いていることを受けて、「インフレ率は、主に一時的と見込まれる要因を反映し、高い状態にある」とのこれまでの文言を声明から削除した。会合参加者による金利見通しでは、利上げを来年3回、2023年に3回、24年に2回実施する可能性が示された。
一連の政策決定が市場の想定内だったことから、会合後に株価は上昇に転じた。「金利見通しが予想よりタカ派寄りだった」との声もあったものの、一部の投資家が警戒していたほどのタカ派路線は示されなかった。ここ数日株式市場がリスク回避に傾いていたこともあり、反動で買い優勢となった。
朝は売り先行で始まった。FOMCを控えて積極的な買いが手控えられたほか、11月の米小売売上高が前月比0.3%増と市場予想(0.8%増)を下回ったのを嫌気した売りが出た。
午後2時にFRBがFOMC結果を発表すると、相場は上昇に転じた。FRBは来年1月から新規の資産購入額を月300億ドルずつ減らす方針を決め、減額幅は11月に決めた月150億ドルから2倍に拡大した。高インフレの長期化を受け、予想通り、声明では物価押し上げ要因は「一時的」との表現を削除した。
会合後の記者会見でハウエルFRB議長は利上げ時期について明言を避けた。市場では「来年の利上げは米経済の回復ペース次第と慎重姿勢を見せ、株式の買い安心感につながった」との声が聞かれた。
FOMCを受けて長期金利は上昇したが、1.46%近辺と前日終値(1.44%)に比べて小幅の上昇で推移した。長期金利の落ち着きを受け、ハイテク株など高PER(株価収益率)銘柄への買いにつながった。
スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフト、顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムが高い。医療保険のユナイテッドヘルス・グループや製薬のメルクなどディフェンシブ銘柄も上昇した。クレジットカードのビザや映画・娯楽のウォルト・ディズニー、工業製品・事務用品のスリーエムなど景気敏感株の一角にも買いが広がった。
ナスダック総合株価指数も3営業日ぶりに反発し、前日比327.943ポイント(2.2%)高の1万5565.583で終えた。交流サイトのメタプラットフォームズ(旧フェイスブック)やネット通販のアマゾン・ドット・コムなど主力株が上昇。このところ軟調だったエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体株も大幅高となった。
NYダウ工業株30種(ドル)
35,927.43+383.25
S&P500種
4,709.85+75.76
ナスダック
15,565.583+327.943
NY金(ドル/トロイオンス)
1,764.50-7.80
NY原油(ドル/バレル)
71.45+0.72
円・ドル
113.97 – 114.09+0.24
【シカゴ日本株先物概況】
15日のシカゴ日経平均先物は反発した。3月物は前日比595円高の2万8865円で引け、15日の大取終値を395円上回った。
15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が市場の予想範囲内と受け止められ、買い安心感が強まった。FOMCではテーパリング(量的緩和の縮小)加速を決定し、来年の利上げ回数を3回に増やす見通しを示した。高インフレに対処するFRBの方針で安心感が広がり、引けにかけては上げ幅を拡大した。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
28865 ( +395 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
28925 ( +455 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7170.75(-47.89)
15日のFTSE100種総合株価指数は6日続落した。前日の終値に比べ47.89ポイント(0.66%)安の7170.75で引けた。構成銘柄の6割超が下落した。
英国では新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染が拡大しており、経済活動の先行きを懸念した売りが続いた。旅行関連株のほか、商品価格の下落を受けて資源関連株も売られた。医薬品株やサイバーセキュリティーのダークトレースなどハイテク株は上げた。
個別では、アナリストが目標株価を引き下げた鉱業のアントファガスタと害虫駆除のレントキル・イニシャルの下げが目立った。航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が5.1%安、有害生物管理会社レントキル・イニシャルが4.7%安と売られた。
一方、複合企業DCCが9.0%高と大幅高で引けた。サイバーセキュリティーのダークトレースが6.0%高、配管・暖房流通大手ファーガソンが2.5%高と買われた。(了)
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15476.35(+22.79)
15日のドイツ株式指数(DAX)は6営業日ぶりに反発した。終値は前日と比べて22.79ポイント(0.15%)高の1万5476.35だった。
前日まで下落基調が続いたことから買いが優勢になった。
個別では、前日に下落した医療機器のザルトリウスと分子診断のキアゲンの上げが目立った。半導体のインフィニオンテクノロジーズも上昇した。
一方、ファッション通販のザランドと食材・レシピ宅配のハローフレッシュは続落した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6927.63(+32.32)
フランスの株価指数CAC40は上昇した。
