25日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比247ドル48セント（0.7%）高の3万4346ドル90セントで終えた。
パウエル議長はこの日、西部ワイオミング州で開催中の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演し、インフレが強いとの見解を示した上で、「適切なら、さらに利上げする用意がある」と言及。この発言を受け、ダウは上げ幅を縮める一方、値を戻すなど序盤は荒い動きを見せた。
ただ、「発言内容は従来と変わらない」（市場関係者）との受け止めが次第に広がったことに加え、直近の株安による値頃感から買い戻されたたため、その後は上昇基調に転じた。
講演後は米債券市場で長期金利が上昇し、相対的な割高感が意識された株式は売りが優勢となる場面があった。
売り一巡後は、議長発言があまりにも想定内だと捉えた市場参加者による買いが入り、再び上昇に転じた。「昨年の今ごろは利上げサイクルの終わりが見えなかったのに対し、今はその終盤にさしかかっていることが意識された。年内追加利上げの有無は取るに足らないこと」との見方もあり、投資家心理の改善につながった。
パウエル議長がコアインフレが減速基調にあることや、低い失業率を維持したまま労働需給の逼迫が緩和している状況を評価したことも株式市場では好感された。一時はダウ平均の上げ幅が300ドルを超えた。
個別では、航空機のボーイングが3%上昇で終え、ダウ平均を支えた。主力小型機である「737Max」の中国への納入を4年ぶりに再開する準備をしているとブルームバーグ通信が25日に報じ、買いを誘った。クレジットカードのビザや建機のキャタピラー、化学のダウなども上げた。半面、バイオ製薬のアムジェンと通信のベライゾン・コミュニケーションズは下落した。
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比126.674ポイント（0.9%）高の1万3590.646で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや電気自動車（EV）のテスラ、ネット検索のアルファベットなどが買われた。
【シカゴ日本株先物概況】
25日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比170円高の3万1860円で引けた。
米連邦準備制度理事会（FRB）のパウエル議長が講演で追加利上げの可能性に言及したものの、影響は限定的だった。
NYダウ工業株30種平均が上昇し、日経平均先物にも買いが及んだ。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
25日のFTSE100種総合株価指数は小幅に4日続伸した。前日に比べ4.95ポイント（0.07%）高の7338.58で引けた。英国の景況感が悪化していることから英イングランド銀行（中央銀行）の過度な金融引き締め観測が後退し、英国株相場を支えた。もっとも、26日に英中銀のブロードベント副総裁がパネル討議に参加するのを控え、持ち高を大きく傾ける動きは限られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
25日のドイツ株価指数（DAX）は小幅に反発し、前日比10.33ポイント（0.07%）高の15631.82で終えた。欧州中央銀行（ECB）による追加利上げの可能性が後退していることを好感する買いが優勢だった。
ただ、25日にはラガルドECB総裁が米国で開かれている国際経済シンポジウム（ジャクソンホール会議）で講演する。発言内容を見極めたいという雰囲気もあり、持ち高を大きく傾ける動きは限られた。
個別では、エネルギー大手イーオンが0.98％高、化粧品大手バイヤスドルフが0.88％高、香料大手シムライズが0．76％高と買われる一方、素材化学大手コベストロは2．15％安、自動車部品大手コンチネンタルは1.43％安、医療機器のザルトリウスも1.25％安だった。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は0.21％高（同0．91％高）だった。
各市場とも中盤までは堅調に推移したものの、米ジャクソンホール会議でのパウエル連邦準備制度理事会（FRB）議長の講演がタカ派的な内容だったことを嫌気し、上げ幅を削る展開となった。一方、同会議でのラガルド欧州中央銀行（ECB）総裁の講演を控え、様子見ムードも強かった。
