10日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比186ドル45セント(0.6%)高の3万3704ドル10セントで終えた。
12日に発表される昨年12月の米消費者物価指数(CPI)に注目。ロイター通信の集計によると、市場予想は前月比横ばいで、前月(0.1%上昇)からの減速が見込まれている。市場関係者は「足元で経済指標が改善してきている」と指摘しており、CPI減速などへの期待がこの日の株価を下支えした。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が同日の講演で金融政策運営に関して踏み込んだ発言をしなかった。市場ではタカ派寄りの発言が警戒されていたため、買い安心感につながった。
パウエル議長はスウェーデンで開かれた国際会議で「インフレ時には物価の安定を回復するために、短期的に不人気な政策も求められる」と語った。このところFRB高官による利上げ継続に前向きな発言が目立っていたが、パウエル氏の講演では「特にタカ派的な発言がなかったことで投資家は安堵した」という。
CPIをはじめ、今週から来週にかけ、インフレ動向を占う上で重要な複数の物価関連統計が発表される。金融大手を筆頭に、今週から米企業の昨年10~12月期の決算発表も始まるため、市場では様子見姿勢も広がっている。
米原油先物相場が上昇し、資源高の恩恵を受けやすい建機のキャタピラーや化学のダウが買われた。ソフトウエアのマイクロソフトなどハイテク大手も堅調だった。金融のゴールドマン・サックスやクレジットカードのビザと同業のアメリカン・エキスプレスなど景気敏感株も上げた。
一方、アナリストが投資判断を引き下げた航空機のボーイングは安い。前日に続いてディフェンシブ株の一角に売りが出て、医療保険のユナイテッドヘルス・グループや飲料のコカ・コーラが安い。
ナスダック総合株価指数は3日続伸し、前日比106.980ポイント(1.0%)高の1万0742.630で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや交流サイトのメタプラットフォームズ、動画配信のネットフリックスが買われた。
【シカゴ日本株先物概況】
10日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比60円高の2万6255円で引けた。パウエルFRB議長からは具体的な政策への言及は無く、10日の米株式市場の主要株価指数がそろって上昇した。日経平均先物にも買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
26255 ( +95 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
26285 ( +125 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7694.49(-30.45)
10日のFTSE100種総合株価指数は6営業日ぶりに反落した。前日に比べ30.45ポイント(0.39%)安の7694.49で引けた。英国でのインフレ継続が消費を下押しするとの警戒感が強い。飲食料品・たばこ株や小売株など消費関連銘柄に売りが出た。前日まで5日続伸していたため、目先の利益を確定する売りも出やすかった。
個別では、構成銘柄の約5割が下落。工業・電子製品大手RSグループが4.8%安と下落率トップで、たばこ大手ブリティッシュ・アメリカン・タバコが4.0%安、通信会社エアテル・アフリカが3.5%安で続いた。一方、自動車保険大手アドミラル・グループは2.9%高、医療機器会社コンバテックは2.1%高、産銅大手アントファガスタは1.6%高だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14774.60(-18.23)
10日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに小幅に反落した。前日に比べ18.23ポイント(0.12%)安の1万4774.60で終えた。連日で大幅高となっていた後で利益を確定する目的の売りが優勢だった。
個別では、通販大手ザランドが3.0%安、エネルギー大手シーメンス・エナジーが2.8%安と下げた半面、製薬大手バイエルは4.1%高、医療サービス大手フレゼニウス・メディカルケアは2.6%高と買われた。
■フランス・パリ株価指数
