14日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比151ドル52セント(0.39%)高の3万8424ドル27セントで終えた。
米経済統計などの材料に欠け、相場は方向感に乏しい動きが続いた。ただ、値を下げたハイテク株など幅広い銘柄への買い注文に加え、米連邦準備制度理事会(FRB)高官が利下げに前向きな姿勢を示したため、終盤にかけて上伸。インフレ抑制と成長実現を両立させる景気の軟着陸見通しも相場を支えた。
前日に公表された1月の消費者物価指数(CPI)上昇率が市場予想を上回り、早期の米利下げ観測が急速に後退した。一方、FRB高官であるシカゴ連銀のグールズビー総裁が14日の会合で、利下げ開始時期について「(インフレ)目標の2%に達するまで待つことを支持しない」と説明。発言を受け、「金融引き締めは長引かない」との見方も浮上した。
14日には取引終了にかけて買いが優勢になった。米国株のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に対する高い評価が投資家心理を支えた。シカゴ連銀のグールズビー総裁は14日の講演でインフレ減速に楽観を示したうえ、インフレ率が政策目標の「2%を達成するまで利下げ開始を待つことを支持しない」と述べた。
ダウ平均の構成銘柄ではないが画像処理半導体のエヌビディアを中心に主要ハイテクや半導体が買われた。「相場をけん引してきた銘柄に買いが戻り、投資家の安心感につながった」。エヌビディアは2%あまり上昇した。時価総額は1兆8000億ドルを超え、ネット検索のアルファベットを上回った。今週に入ってネット通販のアマゾン・ドット・コムも抜いていた。
半面、ダウ平均は80ドル近く下げる場面もあった。FRBの利下げ開始が市場の想定より遅れるとの見方が投資家心理を冷やした。14日も米長期金利が4.2%台後半〜4.3%台前半(前日終値は4.31%)と高水準で推移し、株式の相対的な割高感が意識された。
前日に下げが目立った顧客情報管理のセールスフォースや半導体のインテルが高い。建機のキャタピラーや化学のダウなどの景気敏感株も買われた。一方、スマートフォンのアップルや小売りのウォルマートは下落した。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発し、前日比203.547ポイント(1.30%)高の1万5859.146で終えた。13日夕発表の決算や見通しを受けて配車サービスのリフトが3割あまり急伸した。
【シカゴ日本株先物概況
14日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比415円高の3万8100円で終えた。同日の米株式相場は前日の大幅安を受けて買い戻しが入り反発した。
投資家心理が強気に傾いた。日本株の先高観が根強いこともあり、シカゴ市場で日経平均先物に買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
38100 ( +330 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
38115 ( +345 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7568.40(+56.12)
14日のFTSE100種総合株価指数は反発し、前日比56.12ポイント(0.74%)高の7568.40で終えた。同日発表された1月の英消費者物価指数(CPI)で、前年同月比の上昇率が前月並みにとどまり、市場予想ほど高まらなかった。英国で政策金利が長い期間、高い水準に据え置かれるとの懸念が和らぎ、投資家心理の支えとなった。
FTSEの構成銘柄では、飲料大手コカ・コーラ・ヘレニック・ボトリング・カンパニーが7.98%高と上昇率トップ。同社は、2023年決算が過去最高益になったと発表し、24年の利益が一段と拡大するとの見通しを示した。住宅大手パーシモンが3.08%高、小売大手フレイザーズ・グループが2.85%高と続いた。
一方、賭け屋大手エンテインが4.15%安、産金大手のフレスニロとエンデバー・マイニングがそれぞれ1.12%安、1.01%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 16945.48(+64.65)
14日のドイツ株価指数(DAX)は反発し、前日比64.65ポイント(0.38%)高の1万6945.48で終えた。前日に上昇した欧米金利が14日の取引で水準を切り下げ、投資家心理が上向いた。
14日発表の2023年10〜12月期のユーロ圏域内総生産(GDP)改定値が前期比ゼロ%と速報値と同じで、市場予想にも一致した。欧州経済に対する過度な懸念が和らいだのも株価の支えとなった。
個別では、スポーツ用品大手アディダス(2.50%高)やヘルスケア大手フレゼニウス(2.39%高)、医薬大手メルク(1.75%高)と買われた一方、高級車メーカーのポルシェ(1.14%安)や電力大手RWE(1.09%安)が売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7677.35(+52.04)
フランスCAC40種指数は0.68%高だった。昨日の下落から反発。航空宇宙・防衛関連株やハイテク株が伸びた。