4日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前日比127ドル17セント(0.38%)高の3万3129ドル55セントで終えた。米長期金利の上昇(債券価格の下落)が一服したうえ、朝発表の米雇用指標が労働需給の緩和を示したとの受け止めが広がり、株買いにつながった。一方、6日発表の9月の米雇用統計の内容を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な株買いは手控えられた。米財政運営を巡る不透明感が投資家心理の重荷となっており、ダウ平均は下げに転じる場面があった。
米民間雇用サービス会社ADPが朝方発表した9月の全米雇用報告によると、非農業部門の民間就業者数の増加幅は市場予想を大きく下回った。週末に公表される注目の雇用統計を控え、ADPの数字を受けて米金融引き締め長期化への警戒感が幾分和らぎ、米長期金利上昇を抑える要因となった。
4日の米債券市場で長期金利は4.7%台で推移した。米東部時間の4日未明に4.88%と連日でおよそ16年ぶりの高水準を付けた後で、利益確定や持ち高調整の債券買いが入った。金利の低下で、相対的な割高感が薄れた高PER(株価収益率)のハイテク株を中心に、株を買い直す動きが入った。
同日発表の9月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業(サービス業)景況感指数は53.6と、市場予想(53.7)にほぼ並んだ。8月(54.5)から低下したものの、好不況の境目とされる50を上回った。個別項目では「新規受注」や「雇用」が減速した。
市場では「本当に高インフレが減速し、労働需給も緩和してきているのかどうか見極めるためには、6日発表の(9月の)雇用統計がカギとなるだろう」との声が聞かれた。
米連邦議会下院は3日、野党・共和党トップのマッカーシー議長の解任動議を可決した。9月30日に成立したつなぎ予算の期限となる11月中旬までに、それ以降の追加予算が成立するかどうかは不透明感が投資家心理を圧迫した。
米メディアによると、下院は11日にも新議長選出の採決を実施する方向で調整している。後任候補者が複数浮上しているものの、市場では「政府機関の一部閉鎖への可能性がやや高まっており、短期的に市場参加者の不安を誘っている」との見方も出ていた。
個別では、ソフトウエアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォースが上昇。小売りのウォルマートやスポーツ用品のナイキ、製薬のメルクも高かった。一方、通信のベライゾン・コミュニケーションズや映画・娯楽のウォルト・ディズニーは安かった。原油価格が下落し、石油のシェブロンも売られた。
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比176.544ポイント(1.35%)高の1万3236.010で終えた。画像処理半導体のエヌビディアやネット通販のアマゾン・ドット・コム、電気自動車のテスラなどが買われた
【シカゴ日本株先物概況】
4日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前日比40円安の3万710円で終えた。
米経済指標を受けて金融引き締め長期化を巡る懸念が後退する中、米株式相場は上昇したが、日経平均株価が大きく下落して約5カ月ぶりの安値で終えておりシカゴ市場では先物に売りが優勢だった。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
30710 ( +310 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
30735 ( +335 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7412.45(-57.71)
4日のFTSE100種総合株価指数は3日続落した。前日に比べ57.71ポイント(0.77%)安の7412.45で引けた。英原油先物相場が前日比で一時4%を超えて下落。シェルやBPといったエネルギー関連の銘柄が大きく下げ、指数を下押しした。グレンコアなど素材関連も安い。
原油先物相場の下落は、4日発表の9月のADP全米雇用リポートで雇用者の増加数が市場予想を大きく下回ったことなどがきっかけ。米国で長く続く金融引き締めが景気悪化や原油需要の減退につながる可能性が意識された。
FTSEの構成銘柄では、ホテル大手ウィットブレッドが3.78%安、賭け屋大手エンテインが3.69%安、航空・防衛大手BAEシステムズが3.65%安だった。
一方、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は4.45%高、流通大手テスコは4.28%高、保険大手アビバは3.22%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数DAX 15099.92(+14.71)
4日のドイツ株価指数(DAX)は小幅ながら3営業日ぶりに反発し、前日比14.71ポイント(0.09%)高の1万5099.92で終えた。同日発表された9月のドイツのサービス業企業の景況感を示す指数(改定値)が速報値から上方修正されたことなどが支えとなった。一方、ドイツの金利上昇は重荷で、指数は午後に伸び悩んだ。
業種別ではヘルスケアやIT関連が買われた。スイスを本拠とする超広帯域(UWB)無線技術のスタートアップ企業を買収したと発表したインフィニオンテクノロジーズの上昇が目立った。
個別では、半導体大手インフィニオンが3.95%高、香料大手シムライズが1.97%高、医療機器のシーメンス・ヘルシニアーズが1.42%高となった半面、日用品大手ヘンケルは1.90%安、防衛大手ラインメタルは1.77%安、化学品商社ブレンタークは1.47%安で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6996.73(-0.32)
フランスCAC40種指数はほぼ横ばい。
堅調な米経済を背景とした金利の高止まりがこの日も株式相場の重しとなった。
