ダウ反発126ドル高、軟着陸期待で

8日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比126ドル13セント(0.30%)高の4万2080ドル37セントで終えた。米経済が大幅な悪化を避けられるとの見方が主力株の上昇につながった。前日に下げが目立ったアップルを含むハイテク株が買われ、相場を支えた。
 
連邦準備制度理事会(FRB)高官がこの日の会合などで、米経済の軟着陸(ソフトランディング)達成に向けて自信を示したことが株価の追い風となった。
 
アトランタ連邦準備銀行のボスティック総裁は8日の会合で、FRBのインフレ抑制と雇用最大化の目標に「米経済は近づいている」との見解を明らかにした。また、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで、インフレが緩和する中、底堅い雇用は米経済が健全性を保っていることを示す例だと指摘した。

一方、米フロリダ州に接近中のハリケーン「ミルトン」の動向や、中東情勢の緊迫化に伴う原油相場の上昇懸念は株価の重荷となった。

8日は原油高が一服し、米原油先物相場は前日比4.6%安で終えた。幅広い製品の原燃料になる原油の値上がりが米国のインフレ圧力を強めるとの懸念がひとまず後退。インフレが鈍化傾向を維持すれば、米連邦準備理事会(FRB)による追加の利下げが見込まれ、米経済はソフトランディング(軟着陸)できるとの観測が投資家心理を支えた。

前日に下げが目立ったアップルやアマゾン・ドット・コムといったハイテク株が買い直された。マイクロソフトも高い。ダウ平均の構成銘柄ではないが、新製品の需要が強いとの観測からエヌビディアは4%上昇した。8日の香港株式相場が大幅に下げ、市場では「投資資金が米国の主力ハイテク株に向かいやすかった」との見方もあった。

ダウ平均は80ドル近く下げる場面もあった。米長期金利が8日午前に一時4.05%と8月上旬以来の高水準を付け、株式の相対的な割高感が意識される場面があった。「中東情勢の緊迫化は積極的な取引の手控えにつながった」との声も聞かれた。大型のハリケーンが米南部フロリダ州に接近しており、影響を見極めたい雰囲気もあった。

10日には9月の米消費者物価指数(CPI)、11日には9月の米卸売物価指数(PPI)が発表される。前週末発表の9月の米雇用統計が労働市場の底堅さを示し、FRBによる利下げペースが想定より緩やかになるとの観測が広がった後で、物価動向を確認したい投資家も多かった。

個別銘柄ではインテルやセールスフォース、トラベラーズが高い。先端素材事業の分離を発表したハネウェル・インターナショナルも買われた。一方、キャタピラーやダウ、シェブロンが下げた。アナリストが投資判断を引き下げたアメリカン・エキスプレスも安い。

ナスダック総合株価指数は反発した。前日比259.012ポイント(1.44%)高の1万8182.916で終えた。半導体株ではエヌビディアのほか、ブロードコムの上げが目立った。メタプラットフォームズやアルファベット、テスラ、ネットフリックスも買われた。

NYダウ    42080.37 ( +126.13 )
S&P500    5751.13 ( +55.19 )
NASDAQ  18182.92 ( +259.02 )
米10年債利回り  4.012 ( -0.015 )

NY(WTI)原油   73.57 ( -3.57 )
NY金      2635.4 ( -30.6 )
VIX指数    21.42 ( -1.22 )

 

【シカゴ日本株先物概況】
 

8日のシカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前日比460円高の3万9375円で終えた。
NYダウ平均は、米景気の先行きに対する楽観論を背景とした買いが先行し、反発した。
この日はハイテク株が主導する形で米株式相場は上昇し、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39375 ( +415 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39525 ( +565 )
 
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 

8日のFTSE100種総合株価指数は反落し、前日比113.01ポイント(1.36%)安の8190.61で終えた。銅やアルミニウムといった非鉄金属の先物相場が下落し、英豪リオティントやスイスのグレンコア、英アングロ・アメリカンといった資源株の売りにつながった。

非鉄金属の先物相場下落は、中国で8日に示された経済政策が物足りない内容だと市場で受け止められたことが背景にある。中国で9月中に打ち出された景気刺激策が非鉄金属の需要下支えにつながるとの見方は根強いものの、市場では8日に追加の施策が示されるとの期待が出ていた。

FTSEの構成銘柄では、業績見通しを下方修正した住宅大手ビストリー・グループが24.31%安と急落。鉱業大手アングロ・アメリカンが6.69%安、産銅大手アントファガスタが5.15%安で続いた。一方、たばこ大手インペリアル・ブランズは4.10%高、8日に2025年9月通期の株主還元策を拡充する方針を示したのが支援材料となった。航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は2.14%高、建機レンタルのアシュテッド・グループは1.35%高となった。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
 

8日のドイツ株価指数(DAX)は続落し、前日比37.63ポイント(0.19%)安の1万9066.47で終えた。中国で8日に示された経済対策で市場が期待していた追加の財政政策に具体的な言及がなく、投資家心理が悪化した。

独ポルシェやメルセデス・ベンツグループなど自動車に売りが優勢だった。8日に中国商務省が欧州連合(EU)産のブランデーに対して反ダンピング(不当廉売)措置を公表したのとあわせて、一部自動車への関税引き上げを検討していると伝わったのも重荷だった。

個別では、高級車メーカーのポルシェが4.00%安、化学大手BASFが3.60%安、総合電機大手シーメンスが2.28%安と下げた半面、業務用ソフトウエア大手SAPは2.35%高、エネルギー大手イーオンは1.50%高、ハノーバー再保険は1.39%高と買われた。

 

■フランス・パリ株価指数

フランスの株価指数CAC40は3営業日ぶりに反落し、前日比0.72%安で終えた。高級ブランド「グッチ」を抱える仏ケリングなど消費関連に売りが出た。中国商務省による措置公表を受けて酒類大手ペルノ・リカールは同4.2%下落した。CAC40の構成銘柄ではないが、酒類大手の仏レミー・コアントローは同6.4%安で終えた。
 

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