21日のNYダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発し、前日比55ドル64セント高の2万4782ドル29セントで終えた。
税制改革による業績拡大が見込まれる主要企業が、相次いで従業員に還元する方針を発表したことが好感され、終日堅調推移した。但しクリスマスの連休を控えて閑散取引となっており、7-9月期GDP確報値がやや下方修正されたほか、週間新規失業保険申請件数は予想より増加したため、上値も限られた。
米金利が高止まりしたこともあり、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株が大幅高。原油相場の上昇を追い風にシェブロンやエクソンモービルも買われ、4銘柄でダウ平均を約85ドル押し上げた。
個別では従業員の最低賃金引き上げを発表した金融大手のウェルズ・ファーゴや、特別賞与の支給を発表したCATV・メディア大手コムキャストの上げが目立った。
ただ、ダウ平均は取引終盤に伸び悩んだ。航空機のボーイングがブラジル社の買収交渉に入ったと発表した。短期的な財務負担への警戒感からボーイング株が1%ほど下げ、1銘柄でダウ平均を20ドル弱押し下げた。
一部報道で、米ホワイトハウスが空席の米連邦準備理事会(FRB)副議長にローレンス・リンゼー元FRB理事の起用を検討していると伝わった。相場の反応は限られた。
ナスダック総合株価指数は3日ぶりに小反発し、前日比4.402ポイント高の6965.361で終えた。チャーター・コミュニケーションズやコムキャストなどCATV関連株の上げが目立った。一方、フェイスブックやアマゾン・ドット・コムなど主力株が取引終盤にかけて下げに転じた。アプライドマテリアルズなど半導体関連株も売られ、上値は重かった。
セクター別では、メディアやエネルギーが上昇する一方で半導体・半導体製造装置や公益事業が下落した。
個別では、玩具メーカーのハズブロ(HAS)は一部アナリストによる投資判断引き上げを受け、上昇した。スポーツ用品販売のフィニッシュ・ラインが大幅高。17年9~11月期決算で既存店売上高が市場予想に反して増え、好感した買いが入った。飲料のロングアイランドアイスティーは社名を「ロング・ブロックチェーン」に変更すると発表したのを手掛かりに買いが殺到し、一時は前日終値の4倍近くに急伸した。
一方、医薬品のバイオジェン・アイデック(BIIB)はアルツハイマー薬の臨床試験で効果を確認できず、下落した。四半期決算で明らかにした業績見通しが慎重と受け止められた雇用サービスのペイチェックスも安い。
VIX指数は9.62と低下(前営業日9.72)。反発した米主要株価指数を受けて、VIX指数は前日比低下しての推移が続いた。指数がプラス幅を縮小するとVIXも一時9.86まで上昇したが、株価の下げ渋りとともに再び低下傾向となった。
NYダウ工業株30種(ドル)
24,782.29+55.64
S&P500種
2,684.57+5.32
ナスダック6,965.361+4.402
米10年債利回り(%)
2.4826 -0.014
米2年債利回り(%)
1.8775 +0.017
NY金(ドル/トロイオンス)
1,270.60+1.00
NY原油(ドル/バレル)
58.23+0.14
円・ドル
113.32 – 113.33 -0.25
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は小幅に反落した。3月物は前日比35円安の2万2790円で終え、大阪取引所の終値を10円下回った。取引終了にかけて円が強含んだほか米株式相場が伸び悩み、売りが優勢になった。
クリスマスの祝日を今週末に控え市場参加者は限られ、取引は低調だった。この日の3月物安値は2万2690円、高値は2万2910円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
22790 ( -10 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
22835 ( +35 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7603.98(+78.76)
FTSE100種総合株価指数は反発。前日終値に比べ78.76ポイント高の7603.98と、11月に付けた最高値を更新した。米株の上昇が波及し、午後に上げ幅を拡大した。資源株と金融株を中心に構成銘柄の約7割が上昇した。
堅調な金属、原油相場を受けて、前日に引き続き主力の鉱業株が買われた。石油株は全面高。午後に入り、売りに押されていた金融株に買いが広がり、指数の上げに貢献した。銀行株、保険株、資産運用株はいずれも全銘柄が上げた。
個別銘柄では医療のメディクリニック・インターナショナルが7%高と大幅上昇した。前日安く引けたことで割安感が出て買われたようだ。総合ヘルスケアのNMCヘルスも高くなった。
半面、バークリー・グループをはじめ住宅建設株が下落した。英政府が不動産貸借権を巡り新規制の導入する方向と伝わったことが投資家心理を冷やした。
総合公益会社のユナイテッド・ユーティリティーズが安くなったほか、ファッションのバーバリー・グループも下落。ともに配当の権利落ちとなった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13109.74(+40.57)
ドイツ株式指数(DAX)は3日ぶり反発。終値は前日比40.57ポイント高の13109.74だった。2日続落した反動もあり、買いが先行した。
医療機器のフレゼニウスと半導体のインフィニオンテクノロジーズが大幅上昇。新社長の人事を発表した化学のBASFも上げた。2018年5月に現ブルーダーミュラー副社長が社長に就任する。
一方で電力株と銀行株が下落した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5385.97(+33.20)
