ダウ反発 58ドル高で最高値更新、税制改革に期待強まるもハイテク株に売り

4日のNYダウ工業株30種平均は反発した。終値は前週末比58ドル46セント高の2万4290ドル05セントと2営業日ぶりに過去最高値を更新した。
週末に上院で税制改革案が可決され、年内の税制改革実現に楽観的な見方が広がり、買いが先行した。法人税率引き下げの収益押し上げ効果が相対的に大きい銀行や小売株などが買われた。
 
また、M&Aを巡る思惑も相場を押し上げた。週末に「メディア大手21世紀フォックスの一部事業の買収協議を再開した」と伝わった映画・娯楽大手のウォルト・ディズニーが5%近く上げ、1銘柄でダウ平均を34ドルあまり押し上げた。フォックスも買われ、業界再編への期待からCBSやCATV大手コムキャストなどにも買いが広がった。
 
ダウ平均の上げ幅は一時300ドルを超えたが、その後は伸び悩んだ。市場では「(税制改革法案の)一本化の過程でつまずく可能性は高く、株高はいきすぎ」と税制改革の曲折を見込む声が出ており、高値圏で目先の利益を確定する売りが出た。
アマゾン・ドット・コムやマイクロソフトなど実効税率の低いIT関連銘柄が売られ上値を抑えた。
 
ナスダック総合株価指数は続落し、前週末比72.220ポイント安の6775.366で終えた。アマゾン、アルファベット(グーグル)、フェイスブックなど主力株が売られた。画像用半導体(GPU)のエヌビディア、半導体製造装置のアプライドマテリアルズ(AMAT)など半導体関連株も下げた。
 
セクター別では、メディアや運輸が上昇する一方で半導体・半導体製造装置やソフトウェア・サービスが下落した。
 
個別では、百貨店大手のメーシーズが高い。年末商戦の滑り出しが好調だとして7000人を追加増員すると発表し、収益拡大の期待が広がった。同業のコールズやホームセンターのホーム・デポ、ロウズなども買われた。ケーブル製造のゼネラル・ケーブル(BGC)は伊の同業プリスミアンによる買収が報じられ、35%近い急騰。食材宅配サービスのブルーエプロン(APRN)はバークレイズによる投資判断引き上げを受け大幅上昇した。
 
一方、医療保険のエトナ(AET)はCVSヘルス(CVS)と690億ドルで買収合意したが下落した。決済サービスのペイパル・ホールディングスも大幅に下げた。7月に買収した金融サービスのTIOネットワークスで約160万人の情報流出が見つかったと1日の取引終了後に発表したのが嫌気された。
 
VIX指数は11.74と上昇(前営業日11.43)。ダウ平均は、先週末の米上院での税制改革法案の可決を受けて史上最高値となる24534.04ドルまで上昇した。しかし、米下院委員会がロシアゲート疑惑で2名の議員を調査、と報じられたことで、上げ幅を縮小して引けた。
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,290.05+58.46             
S&P500種
2,639.44-2.78
ナスダック
6,775.366-72.220
 
米10年債利回り(%)
2.374 +0.011
米2年債利回り(%)
1.8103 +0.032
 
NY金(ドル/トロイオンス)
1,277.70-4.60
NY原油(ドル/バレル)
57.44-0.92
円・ドル
112.46 – 112.47-0.53


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前週末比175円安の2万2480円で取引を終え、大阪取引所の終値を230円下回った。トランプ米大統領とロシアとの不透明な関係を巡る「ロシア疑惑」が再燃したことが意識され、警戒感から売りが優勢だった大阪取引所での取引の流れを受け継いだ。
米税制改革の実現期待からダウ工業株30種平均は過去最高値を更新したが買いの流れは日経平均先物へは及ばなかった。
 

シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
22480 ( -230 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
22485 ( -225 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7338.97(+38.48)
FTSE100種総合株価指数は4営業日ぶりに反発した。前週末1日の終値に比べ38.48ポイント高の7338.97で引けた。銀行株と鉱業株の上げが指数上昇に貢献し、構成銘柄の約7割が上昇した。
米税制改革の実現が期待され、欧米各国株式相場の上昇に連動した。ただ、ポンドが午後に上昇に転じたことに伴い、伸び悩んだ。
個別では、米法人税減税の恩恵を受けるとの見方から、銀行株が買われた。バークレイズとロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の上げが目立った。プルーデンシャルなど保険株も高くなった。
航空株も上がった。アナリストが株価目標を引き上げた建設資材のファーガソンも高くなった。クルーズ運航のカーニバルと、欧州有料テレビ大手のスカイも買われた。
 
半面、製紙のモンディと、総合ヘルスケアのNMCヘルス、投資信託のスコティッシュ・モーゲージ・インベストメント・トラストは下落した。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13058.55(+197.06)
ドイツ株式指数(DAX)は3営業日ぶりに反発した。終値は前週末1日に比べて197.06ポイント高の13058.55だった。米税制改革法案がまとまるとの期待からリスク資産が買われ、欧州各国株式相場が上昇した。
透析器大手のフレゼニウス・メディカル・ケアは4%超の上昇。コメルツ銀行とドイツ銀行、鉄鋼のティッセン・クルップも買われた。下落したのは半導体のインフィニオンテクノロジーズの1銘柄だけだった。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5389.29(+72.40)
 
 

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