29日のNYダウ工業株30種平均は続落し、終値は前週末比249ドル04セント安の4万8461ドル93セントだった。米株式相場が最高値圏で推移するなか、ハイテク株を中心に持ち高調整の売りが優勢となった。銀先物相場の急落を受けたリスク回避姿勢も広がった。ダウ平均の下げ幅は320ドルを超える場面があった。
米連邦準備制度理事会(FRB)が30日公表する連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(今月9、10両日開催)の内容を見極めたいとの思惑から、様子見ムードも漂った。
トランプ米大統領が南米ベネズエラの港湾施設を攻撃したと表明するなど地政学リスクが高まったが、「現時点では(影響の)判断が付かない」(日系証券)との見方が浮上し、反応は限定的だった。
一方、FRBが来年も利下げを実施し、景気浮揚につながるとの期待感が下値を支えた。
S&P500種株価指数は24日に最高値を更新したあとで、29日は主力株の一角に利益確定の売りが出やすかった。エヌビディアやアマゾン・ドット・コム、マイクロソフトといったハイテク株の売りが目立った。ニューヨーク銀先物相場が急落したことも投資家心理に影響した面があった。
29日の取引で銀先物(中心限月)は前週末比8.7%安で終えた。一日の下落率が2021年2月以来大きさとなり、金などほかの貴金属も連れ安した。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループが前週末、複数の金属先物の証拠金要件を引き上げると発表し、売りが出た。
市場では、貴金属の下落が「株式などリスク資産の売りを誘った」との声が聞かれた。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、金鉱山のニューモントや鉱山のフリーポート・マクモランといった関連銘柄の下落も目立った。その他のダウ平均の構成銘柄では、ゴールドマン・サックスやユナイテッドヘルス・グループ、キャタピラーが下げた。
半面、原油高を受けてシェブロンが買われた。ウォルマートやナイキも高かった。
ナスダック総合株価指数は続落した。終値は前週末比118.748ポイント(0.50%)安の2万3474.349だった。テスラやメタプラットフォームズが売られた。
〔ロンドン株29日 続落〕
休場明け29日の英FTSE100種総合株価指数は小幅に続落し、前営業日比4.15ポイント(0.04%)安の9866.53で終えた。
同日の米株式市場でダウ工業株30種平均が下落していることを受け、英国株にも売りが出た。
ロシアとウクライナの和平交渉進展への思惑から防衛関連株が下げたことも指数を下押しした。
FTSEの構成銘柄では、通信大手エアテル・アフリカが2.50%高、医療機器のコンバテックが2.10%高、商業用不動産大手ランド・セキュリティーズが2.06%高と上昇。
一方、産金大手エンデバー・マイニングは3.97%安、防衛大手バブコック・インターナショナル・グループは3.41%安、投資持ち株会社パーシングスクエア・ホールディングスは1.63%安となった。
〔ドイツ株29日 小幅続伸〕
休場明け29日のフランクフルト株式市場でドイツ株価指数(DAX)は小幅に続伸し、前営業日の23日に比べ11.06ポイント(0.04%)高の2万4351.12で終えた。
日用品など消費関連の一角に買いが入った。もっとも市場参加者は少なく、物色の方向感には乏しかった。
個別では、スポーツ用品大手アディダスが2.34%高、自動車部品大手コンチネンタルが1.97%高、不動産大手ボノビアが1.42%高と買われた半面、ドイツ銀行は1.65%安、防衛大手ラインメタルは0.97%安、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は0.67%安で取引を終えた。
欧州株式市場で、フランスの株価指数CAC40は4営業日ぶりに反発し、前営業日の24日に比べ0.10%高で終えた。
