[概況]
今週の外国為替市場では、引き続き英国のEU離脱動向が注目されそうだ。ジョンソン英首相は先週、EUと離脱協定案についての合意を取り付け、19日には英議会にて同協定案承認の可否が決定する見通しであった。
しかし、英議会は離脱協定案の採決前に、当該採決に先だって同案の履行に必要な関連法案の採択を求める修正動議を可決させたことで、離脱協定案の採決は先送りされてしまった。良くも悪くも一区切りがつくと見られていたBrexit問題は再び結論が先延ばされ、今週の懸念事項として残ってしまった格好。
一部報道によれば、ジョンソン首相は22日にも始まるとされる協定案履行に必要な関連法案の議会審議に先立ち、協定案の基本的性質についての議会承認を求める採決を21日に行う予定とのこと。加えて、19日にはジョンソン首相よりEU宛に離脱期限延期を要請する書簡(ジョンソン首相の署名は無し)が送られており、EU側では期限延期の可否についての協議が行われる見通し。
マクロン仏大統領をはじめ、期限延期について否定的な立場を表明しているEU当局者はいるものの、関係者の間では期限延期要請の受領については楽観的な見方が多いとのことで、やはり本問題の行方は英議会が握ることとなりそうだ。英ポンド円は下方へ窓を開け139円台半ばでのスタートとなったものの、現在は140円台を回復してほぼ先週末の水準を維持しており、まだバイアスは傾いていない。
今後は英議会動向の進捗とともに「合意なき離脱」の可能性を織り込みつつ上下に振幅する展開が予想される。また世界経済にも関わる問題であり、影響は他通貨にも波及することが見込まれ注意をしておきたい。
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