[概況]
今週の外国為替市場は、新型コロナウイルス感染問題が与える経済への影響に改めて焦点が集まりそうだ。為替市場ではこれまで、同問題に絡んだ経済・金融情勢の先行き不透明感を警戒して各所で進んだ米ドルの手元流動性確保を目的とした急速な米ドル買いと、その後の各国当局による大規模な流動性ひっ迫解消に向けた取り組みを好感した、行き過ぎた米ドル買いの収束によって、米ドル相場を中心に乱高下の展開が続いていた。
しかし、一時1.3%付近まで暴騰した米10年債利回りが足元では0.6%台へと低下しているように、米ドルの流動性問題に端を発した商状は落ち着いたと見てよさそうで、今後は冒頭に記載したように、実体経済への影響に改めて注目が集まることが予想される。その上で、3日に発表される米雇用統計は、米国におけるウィルス感染拡大が本格化した後で初めての大型なハードデータでもあり、米ドル相場に大きな影響を与えそう。
今回のデータの集計期間には、カルフォルニア州をはじめとした複数の州が非常事態宣言下におかれ、トランプ大統領が国家非常事態宣言を宣言した13日も含まれている。今後、一段の悪化が見込まれることにはなるが、具体性のある予測たてる上でも注目度は自ずと高まるだろう。現時点での市場予測は、非農業者部門雇用者数が-10.0万人(前回:+27.3万人)、失業率は3.9%(前回:3.5%)が中心値となっているが、21日までの1週間における新規失業保険申請件数(2日発表分も要注目)が328.3万件(前週までは概ね22万件前後)と前代未聞の水準に膨れ上がっていることを鑑みると、市場予想値から乖離する結果となる可能性も十分にある。
米ドル円は、5日移動平均線(30日時点:109.523円)を割り込み、短期的な下落トレンドに移行しており、9日以降の上昇トレンドの半値押し水準(106.71円)や、61.8%押し水準(105.20円)等を意識する展開も視野に入れておきたい。
[提供:カネツFX証券株式会社]
