「4年前もこんな感じだった」

 
「4年前もこんな感じだった」
 
ちょうど4年前の8月末に書いていたこと。
時間が進んでも市場心理はたいして変わらないという気がする。

昨日の売買代金1兆6000億円。
日経平均の日中値幅は約100円、後場はわずか34円だった。
「まんじゅう怖い」ならぬ「ジャクソンホール怖い」で固まった展開。
解きほぐすにはそれなりの好材料が必要になるのだろう。
ただ利上げ=株安という安易な図式は実は時間軸を数か月眺めにすれば過去該当していないのも事実。
今回だってQE3の終了で米国の株価は上昇。
そして昨年の利上げ以降、半年ほどで3指数揃って史上最高値を更新した。
マーケットの常識は世間の非常識みたいなもの。
蟷螂の斧みたいな観測に見えてくるのも致しかたなかろう。
何かを待って閑散かつ動意に乏しい展開はいつもの事と割り切った方が良い。
空売り比率はまだ42%台。
しかし先週の裁定買い残はわずか611億円とはいえ3週ぶりに増加し5345億円。
日経朝刊では「TOPIX先物の残高が2013年1月以来の低水準。
中長期投資家による日本株先高感の後退」との解釈。
むしろマイナス金利の影響での残高減少と見たい。
減ったものはいつかは増えるのがゼロサム世界のマーケットの定理でもある。
騰落レシオは85%で過熱感まったくなし。
PER14倍割れ。
しかも25日移動平均16578円が下をサポートしてくれている。
8月4日に10.1まで低下したRCIは17日に81まで上昇して昨日36。
16697円を越えれば上値を追えると見たい。
 
NYでは主要3指数が過去最高値圏で推移。
その一方で株価の先行指標とされるダウ輸送株指数の出遅れが指摘されている。
2014年12月29日に9217.44ポイントの過去最高値を付けた。
そこから1年8カ月。
過去最高値を更新していないし、14%程度低い水準。
「79年~13年までは4カ月程度先行性があった」のがダウ輸送株指数。
このアノマリーが効かなくなってきているのである。
表現は「ビハインド」。
NYダウは2月以降7カ月連続で上昇した。
一方輸送株指数は4~6月に3カ月連続でマイナス。
この復活は待たれるところ。
 
どうして市場関係者は不毛の議論が好きなのだろうか。
何も出る筈のない金融トップの避暑会合のジャクソンホールをめぐってアレコレと。
結論が出ないのが心地よいのだろうか。
意味のない会話とスケジュール探訪を繰り返しての「まんじゅう怖い」。
雇用統計とか英国のEU離脱とか、あるいは米国経済や中国経済の行方。
原油や金の動向まで詳細に並べ立ている。
毎回繰り返しているのに飽きないものだ。
ジャクソンホールとかブレグジットなんてカタカナに酔っているとしか思えない。
「それがどうした」くらいの気概が欲しいものでもある。
何も生産することなく、社会に寄与しているとも思えない存在が市場関係者。
なんて揶揄されないことが重要なのだろう。
 
早朝、道々考えたこと。
「動き始めた汽車の窓辺で見かけた銘柄に注目する専門家。
言ってみればサライの世界で面白くはないが株価は動く。
そしていつの間にか最初から注目していたような口調となる。
この変身ぶりは勉強になることでもある。
一方。
まったく動き始めていないけれど朝の街角で遠い夢を追う銘柄に注目する専門家。
時間が経過してから動き始めていつの間にか他人の注目株となる。
いつか帰るその時まで夢は捨てないと粘ってみても消費した時間は多過ぎる」。
どちらがいいのだろうかなんて考えて広げた日経朝刊。
スクランブルの見出しは「逆境の中小型株運用」。
苦戦が続く中小型株の運用では人目につきにくい地味な銘柄を探す動きが続いている。
引用されていた投資家さんの言葉。
「他の人が注目しない銘柄を探すのが醍醐味」。
これは確かに快感でもあろう。
「一時人気だった任天堂やバイオ株には目もくれない」。
徹底した投資哲学がうかがわれる。
「急成長期待で買われた株は人気が離れるのも早い」。
そして「大型株優位の相場だからといって上昇する主力株買いに追随しても人並みの収益」。
逆説的な結論は「人の行く裏に道ありを実践するチャンスは今の中小型株にあるのかも知れない」。
我慢が肝要ということなのだろう。
しかし他人が見出してくれた銘柄にコメントする方がはるかに楽なのも現実。
後から来て先頭に立つのはたやすい。
これを先駆者の悲劇といってしまえば容易いのだが・・・。

(櫻井)。

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