「金字塔」

「金字塔」
 
火曜日経朝刊の大機小機の見出しは「ゾンビ化した投資信託制度」。
興味深い意見だった。
「業者本位で運営されてきたツケ」。
「流行のテーマを追いかけ、本体の投資家に株式を高値で買わせてきた。過去幾度も経験したように、株式相場が低迷すると投信が死に体になってしまう」。
「運用業者として投信への自己投資が認められていない」。
「運用業者の報酬は固定料率が原則。報酬が運用成績に連動すれば、運用業者はパフォーマンスを高めるために専門能力の研鑽と発揮に最大限の努力を払うだろう」。
そして結論。
「新聞紙面の複数ページに渡る投信の基準価格欄が墓標ではなく金字塔になることを願いたい」。
痛切な指摘だった。
 
昨日のストボでのインタビューは会社四季報編集長。
脳裏に残ったことがいくつかあった。
●巻頭の業種別業績展望
前下期以降、景気が急減速した。
今号営業利益予想を前号より引き下げた業種は、水産農林、鉱業、不動産を除く28業種。
20年3月期は全33業種のうち10業種が前期比減益(前期は17業種)。
主な要因は、米中貿易摩擦、原材料高、人件費の上昇など。
ただ、全体では今期4.6%経常増益見通し。
最高益更新見込みの企業は1000社近い。
 
●「見出し」ランキング
企業業績が正念場を迎えている。
1年前は最高益、続伸、反発、連続最高益など好調な業績を表す見出しが上位を占めた。
今号は2ケタ増益を表す続伸が3位を守ったほかは、最高益、連続最高益はランクダウン。
反発、上向くなど回復を表す見出しとともに、反落、続落が上位に入った。
一方、連続増配が順位を上げるなど、株主還元を重視する企業が増えている。
本文で、増配や連続増配の記述がある会社は800社を超える。
 
●特集はTSR(株主総利回り)。
これは配当と株価騰落を合わせ、どれだけ投資リターンを得られたかを表す指標。
有価証券報告書で記載が義務化されるのを先取りしている。
もう一つは最近3年間で企業が業績計画を修正した数をまとめた上方修正・下方修正回数。
上方修正回数が多ければ、当初計画が慎重な傾向があるか、業績に追い風が吹いていると判断できる。
 
●今号で目に付いたのは「中古、リユース」で100社を超える。
新品需要を掘り起こすために中古買い取りに参入するといった企業が目立つ。
他には消費税、増税も100社以上、値上げは200社近く。
話題のテーマであるAI、IoT、ロボット、EV、RPAも増えている。
今号は「5G」が倍増している。
キャッシュレスやスマホ決済、副業、(中国からの)生産移管なども目に付く。
株主提案や買収防衛策に関する記述も目立つ。
株主提案を受けた会社は過去最多。
機関投資家が企業価値の向上を求めるケースが増えている。
 
バンクオブアメリカ・メリルリンチの6月の機関投資家調査(7~13日実施)。
投資家が貿易摩擦や景気減速への懸念を強め、リスク回避に急速に傾いている。
現金や米国債の保有を増やす一方、株式保有を減らす投資家が多かった。
保有資産に占める現金の比率は5.6%と前月から1ポイント上昇。
米連邦債務問題が深刻化した2011年8月以来、7年10カ月ぶりの上昇幅となった。
混み合った取引は「米国債の買い」(27%)が「米ハイテク株の買い」(26%)を抜いてトップ。
「ドル買い」(18%)、「欧州株売り」(9%)が続いた。
 
世界の株式保有について。
当初設けた配分を上回る「オーバーウエート」にしていると答えた投資家の比率から、当初配分を下回る「アンダーウエート」にしていると答えた投資家の比率を引いた値はマイナス21%、前月から32ポイント下がり09年3月以来の低水準だった。
地域別では米国株の保有は増やす一方、欧州や日本株の保有は減らした。
世界の債券の保有残高は差し引きマイナス22%と前月から12ポイント水準を切り上げた。
今後1年間で世界景気が「加速する」との回答から「減速する」との回答を差し引いた値はマイナス50%。
5月調査のマイナス5%から大幅に悪化。
「投資家心理は金融危機後で最も弱気に傾いていた」という見方だ。
 
大和のレポートは「市場区分見直しに伴うウェイト差上位」。
東芝(6502)、マクドナルド(2702)、メルカリ(4385)、そーせい(4565)、ハーモニック(6324)、ナカニシ(7716)、ミクシイ(2121)、アトム(7412)、セリア(2782)、
日精機(7287)、アンジェス(4563)、ワークマン(7564)、サイバダイン(7779)、ユニバーサル(6425)、フクダ電(6960)、ラクスル(4384)、ハイレックス(7279)、歌舞伎座(9661)、
UT(2146)、パークシャ(3993)、ラクス(3923)、MCJ(6670)、マネフォ(3994)、SHIFT(3697)、東映アニメ(4816)、弁護士(6027)、帝国ホ(9708)、日本KFC(9873)、ヨネックス(7906)、日特エンジ(6145)。

(櫻井)
 

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