「清明を声明が邪魔しそう」

NY株式市場は3日続伸。
VIX(恐怖)指数は18.94まで低下した。
「当局者が交渉に向け意欲を示したことから米中貿易摩擦を巡る懸念が後退した」との解釈。
ボーイングなどが反発。
フェイスブックのザッカーバーグCEOのコメント。
「情報流出が発覚して以降、利用状況や広告収入に大きな影響はみられない」。
同社株も反発した。
トランプ攻撃を受けて下落していたアマゾンも反発。
ハイテク関連も上昇した。
「今後発表される企業決算への注目度も高まっている」との見方だ。
10年国債利回りは2.83%まで上昇(価格は下落)。
それでも株高だから金利上昇嫌気というよりも「債券から株式へ」への資金の流れと見た方がよかろう。
先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比2.4万件増の24.2万件。
市場予想の22.5万件を上回って着地。
失業保険受給者総数は1973年以来の低水準となった。
もっとも今回の失業保険申請件数は雇用統計と調査期間が重なっておらず関連性はない。
米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長。
「米国と中国がいずれ貿易問題で打開し、両国の貿易障壁は削減される公算が大きい」とのコメント。
ドルにも追い風となりドル円は一時107.49円まで下落した。
「中国が措置の完全実施に踏み切る公算は小さい。
ゲーム理論上の確率が妥協の方向へと傾くよう練られている」という見方だ。
 
 
木曜の日経平均は222円高でのスタート。
一時418円高まであって325円高。
5日線(21420円)や25日線(21398円)をクリア。
しかも5日線が25日線を上回りゴールデンクロス。
200日線(21359円)、節目の21500円、3月メジャーSQ値21575円もクリアした。
「三角持ち合いの頂点からの上放れパターン」と言う声が聞こえる。
「3月23日の974円安(20617円)が当面の底だった」というのは後付け講釈。
だが2週間で風景は変わった。
3月第4週の投資部門別売買動向で海外投資家が12週ぶりに買い越しに転じてことも明るさを増した。
新高値は115銘柄(前日98)と3ケタ。
新安値は32銘柄(前日50)。
騰落レシオは93.95%。
松井証券信用評価損益率速報で売り方▲12.119%。
買い方▲9.000%。
空売り比率は38.3%に低下。
40%超は12日連続で止まった。
売り方の抵抗は消えた可能性が高いと読みたい。
日経平均採用銘柄のEPSは1699円でPERは12.74倍。
これも結果論ながら12.22倍が底だったと言えよう。
シカゴ225先物終値は大証日中比220円高の21870円。
高値は21915円まであった。
ドル円も107円台前半と復調。
右から下がりの角度が少なくなってきた25日線がサポートしてくれよう。
ボリンジャーのプラス1σは21716円だからプラス2σは22034円。
3月12日高値21971円をクリアすれば22000円台が視野に入ってくる。
「今夜は雇用統計という声には惑わされたくない」という声も聞こえる。
「清明節」だけに清々しさに期待だ。
もっとも・・・。
余計だったのはトランプ米大統領の昨日の清明ならぬ声明。
「中国の不当な報復を踏まえて」1000億ドルの対中追加関税の検討を通商代表部(USTR)に指示。
USTRは中国が「米国の知的財産を不当に取得する行為を再三にわたり実行してきた」と判断したという。
少し市場が落ち着くとすぐにご乱心。
ゲーム理論などと言っている場合でもないだろう。
 
米国の2月の貿易収支。
赤字額は前月比1.6%増の575億9100万ドル。
金額ベースで2008年10月以来、9年4カ月ぶりの高水準だった。
市場予想は約568億ドル。
ただ、対中赤字は大きく縮小。
2月はモノの赤字が08年7月以来の高水準となった。
サービスの黒字額は12年12月以来の低水準。
赤字額は6カ月連続増加。
対中のモノの貿易赤字は18.6%減の292.62億ドル。
輸出が横ばいで輸入が14.7%減少した。
一方、メキシコとの貿易赤字は46.6%と急増。
「経済が底堅く成長すれば輸入増につながる。
トランプ政権が打ち出す1.5兆ドル規模の減税で貿易赤字が拡大する」。
ある意味パラドックスでもある。
因みに対米黒字のトップは中国、2位がドイツ、3位がメキシコ。
日本は4位だ。
27日のトランプ大統領とメルケル首相の会談は注目されようか。
 
興味深かったのは昨日のロイターのコメント。
「日米金利差が3%を超えれば、ドル高/円安に振れるのか」。
3月29日の参院財政金融委員会で、麻生財務相は「少なくとも米国金利がいま2%台で、こっちはゼロ。
限りなく3%に近いところまで来ている。
これまでの長い、数十年間の歴史をみると、日米の金利差が3%ならドル高/円安に振れる」と答弁。
この読みが正しいのかどうかは別だが、過去の事例は面白い。
日米10年国債の名目金利差は80年台前半には6%以上に開いいていた。
4%半ばまで開いた90年代半ばから98年ごろにかけてはドル/円は円安トレンド。
伝統的に日本と米国は平均して2%程度のインフレ格差がある。
2%以上金利差が開けば実質金利でも米国の方が優位となるからドル高傾向だ。
しかし99年夏ごろから2000年にかけては、日米金利差は4%後半まで拡大。
ドル/円は120円台から101円台まで下落した。
当時はITバブルの真っ最中。
「株買いの円買い」がお題目だった。
結局金利が株式に与える影響は一方向ではないし為替も同様。
その都度、都合の良い解釈で移り変わる。
つまり核心ではないと言えるのかも知れない。
それよりはマーケットシナリオや市場心理、あるいは資金動向や需給を見るほうが良いとも言えよう。
 
アンジェス(4563)が欧州で高血圧DNAワクチンに関する特許を取得。
3月14日には動脈硬化症を対象としたDNAワクチンに関する米国内における特許を取得。
日夜頑張っている印象だ。
 
NYダウは240ドル高の24505ドルと3日続伸。
NASDAQは34ポイント高の7076ポイント。
S&P500は18ポイント高の2662ポイント。
ダウ輸送株指数6ポイント安の10388ポイント。
3市場の売買高は64億株。
CME円建ては大証比220円高の21870円。
ドル建ては大証比255ポイント高の21905ポイント。
225先物大証夜間取引は日中比190円高の21530円。
ドル円は107.39円。
10年国債利回りは2.833%。
 
 
◇━━━ カタリスト ━━━◇
 
ネオジャパン(3921)・・・動兆。
 
ネオジャパンに注目する。
同社は企業や官公庁向けパッケージ販売とクラウドサービスが中核。
販売累計ユーザーは370万。
クラウドサービスが拡大基調。
教育プラットフォームにも期待感。
「働き方改革」も追い風。
業績は好調で前1月期まで6期連続増収増益。
今期も増収増益見通しだ。

(兜町カタリスト櫻井)

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