「机上の空論」

NY株式市場は金融セクター主導で大幅高。
NASDAQは3日連続で終値ベースの過去最高値を更新した。
「米国産品の輸入を年700億ドル増やすとする中国側の提案について政府が検討している」との報道も好感された。
G7を控えての警戒感後退という印象が醸し出されて格好だ。
4月の貿易収支は、輸出増が寄与して赤字額が462億ドル(市場予想は491ドルの赤字)と7カ月ぶりの低水準で着地。
第2四半期の景気加速を裏付ける格好だ。
債券は売られ米10年国債利回りは2.975%と一時1週間半ぶりの水準までに上昇した。
その結果、金利上昇による利益拡大への期待から金融株買われたとの解釈。
住宅ローン申請指数が7週間ぶりに上昇したことも追い風となった。
究極的は買い材料は「貿易赤字の縮小」となろうか。
ECBが年内に債券買い入れ策を終了するとの見方も債券売りの拍車をかけたとの解釈も聞こえる。
13日のFOMCでの利上げ確率は94%。
イタリアのコンテ首相の所信表明演説後の討論で「ユーロ離脱について一度も考えたことがない」とコメント。
ユーロは対ドルで上昇。
ドル円は110円台前半。
VIX(恐怖)指数は11.64%まで低下した。
 
日経平均は寄り付き19円安で10時過ぎにプラ転。
上昇幅は86円と小幅だが久々の水曜日高(4月18日以来7週ぶりプラス)。
SQ週の荒れる水曜日は平穏に通過した。
日経平均、TOPIXは続伸だったが、東証1部の値下がり銘柄が1026で値上がり銘柄数963を上回った。
新興株指数はマザーズ、ジャスダックともに続落。
東証1部の新安値57に対し新高値が56。
再び新安値銘柄が優勢。
「任天堂やファナック、安川電機、DMG森などFA系の大物が新安値。
ドコモ、JR東海、イオンなどディフェンシブ系銘柄が新高値では迫力は感じられない」という声が聞こえる。
25日線(22568円)からは0.3%のプラスかい離。
騰落レシオは94.24%と過熱感薄。
松井証券信用評価損益率速報で売り方▲11.828%。
買い方▲9.946%。
意外と売り方の粘りが感じられる数字だ。
空売り比率が40.2%と2日ぶりに40%を超えてきたのは売り方の抵抗姿勢だったのかも知れない。
Quick調査の6月1日時点の信用評価損率はマイナス9.99%と2週連続の悪化。
マイナス10%以内は許容範囲だ。
6月1日時点の裁定買い残は2396億円減の2兆4390億円。
メジャーSQ前の大幅減少は毎回のこと。
裁定売り残は923億円増の7704億円と2週連続の増加。
これも売り方抵抗の印となった。
日経VIは14.36%まで低下。
日経平均採用銘柄のEPSは1662円でPERは13.61倍。
シカゴ225先物終値は大証日中比110円高の22750円。
5月24日のマドは埋めた。
次は5月23日(22952円)と5月22日(22949円)の細かいマド埋めに挑戦だ。
勝手雲の黒いねじれは22684円水準だがこれも上抜けてこよう。
ドル円は110円台前半まで戻してきた。
今年の木曜は14勝8敗と分の良い曜日。
気学では「強象日にして高値を見る日。買い方針よし」と都合が良い。
明日は「前日来強いと反落する」と都合が悪い。
横ばっているボリンジャーのプラス1σ水準の22814円に挑戦というところ。
 
いつも不思議に思うのは「累積売買代金」。
今朝の日経でも登場したし多くの市場関係者がこれを使う。
紙芝居的にはスッキリしているのだが、どうも違うといつも思う。
2017年9月からの東証1部の累積売買代金。
22000円~23000円の価格帯で商いが膨らんでいる。
この価格帯まで株価が戻ると売りが出やすくなっており上値が重くなっている一因。
「とみられている」という逃げの言葉もついている。
日経平均の価格帯売買代金は22000円~22500円が108兆円。
22500円~23000円が114兆円。
他の価格帯に比べてケタが一つ大きい。
「22500円を超えると手仕舞い売りが出やすくなり上値が重い要因になる」とのコメント。
23000円~23500円では累積売買代金は15兆円と急減。
売り圧力は弱まりそうだという。
「23000円を超えれば23500円までは比較的早く上昇する」との予想だ。
でも・・・。
だったらなぜ5月21日に23031円で止まってしまったのだろう。
当時も同じ論法が登場していたのは記憶に新しい。
あそこで止まって反落したからその下の価格帯の累積売買代金が増加したとも言えるだろう。
そして時間軸の取り方の可変性もある。
なぜ2017年9月からの時間軸なのだろう。
おそらく今回の上昇の起点だからというのだろうが、年初から半年前にすると風景は変る。
都合の良い時間軸を使えばいかようにも図は描けるのが罫線だからだ。
そもそも買った人がその後売らないというのがこの累積売買代金の前提。
でも売った人の論理はここにはない。
売った人はここまで上がって初めて買うのだろうか。
買った人はここまで必ず持ち続けるのだろうか。
そんなことはないだろう。
投資家心理と投資家の行動を無視して机上でだけ考えると辻褄の合わないことは多い。
一瞬説得されそうになるが、突き詰めていくとバケの皮が剥がれそうになることも多い。
 
NYダウは346ドル高の25146ドルと反発。
NASDAQは51ポイント高の7689ポイントと3日続伸。
S&P500は23ポイント高の2772ポイントと3日続伸。
ダウ輸送株指数は69ポイント高の10838ポイント。
3市場の売買高は68.8億株と増加。
CME円建ては大証比110円高の22750円。
ドル建ては大証比110ポイント高の22750ポイント。
225先物大証夜間取引は日中比110円高の22750円。
ドル円は110.16円。
10年国債利回りは2.973%。
 
 
◇━━━ カタリスト━━━◇
 
TATERU(1435)・・・動兆。
 
TATERUに注目する。
旧社名はインベスタースクラウド。
同社はアパート経営プラットフォーム「TATERU」をWeb展開。
土地在庫が少ないことがプライオリティで建築請負棟数は900超(前期720)。
管理戸数も安定増。
民泊関連事業の3子会社も黒字化。
業績は好調。
今12月期連結営業利益は71億円(前期比21%増)の見通し。
シェアハウス「かぼちゃの馬車」の問題は、同社にとってはむしろ投資家増の方向。
レオスキャピタルの大量保有報告も好感。
 
(兜町カタリスト櫻井)

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