「今年2勝9敗の水曜日」

「今年2勝9敗の水曜日」
 
NY株式市場は急反落。
NYダウは300ドル超の値下がり。
NASDAQも3%近い下落となった。
今度の下落材料はトランプ大統領のワシントンではなく個別銘柄動向。
個人情報の取扱いへの懸念から相変わらずFBが大幅安。
同社のザッカーバーグCEOは議会でデータのプライバシー問題などについて証言する方針だ。
また半導体のエヌビディアが大幅下落。
ウーバーテクノロジーが自動運転車の事故により試験を世界的に中断。
これを受けで同社も自動運転車の試験を世界的に中断した。
「同社株は年初来26%上昇しており、SOX指数(10%上昇)の上昇率を上回っていた」。
そんな声も聞こえる。
もっともこれらの個別材料は大幅高した前日もあったし、何か変化したわけではない。
一つのことしか見ない株式市場の特徴でもあるが、真の悪材料は他になるような気がする。
単に「買いが減って売りが増えた」という解釈の方がスッキリする。
S&P500は最高値から9.1%下落した水準。
アルファベット(グーグル)、テスラなども下落。
10年国債利回りは一時2.783%と6週間ぶりの低水準。
背景は350億ドルの5年債入札の応札倍率が昨年9月以来の高水準となったこと。
「米中貿易摩擦を巡る根強い懸念は債券需要を後押しした」との解釈だ。
ハイテクセクターの悪材料よりもコチラの方が株安要因と思えなくもない。
105円90銭台まであったドル円は105円台半ばの水準。
 
今年2番めの上昇幅となった火曜日。
日経平均は連日の3ケタ上昇かつ高値引けで21000円台を回復した。
「市場3番目の上場幅となったNYダウ。
佐川前国税庁長官の証人喚問通過。
3月期末の配当再投資の動きが重なった」との見方だ。
200日移動平均(21312円)を2日ぶりに回復してホッと一息というところだった。
25日線〈21591円)からは1.3%のマイナス乖離。
騰落レシオは92.84%。
松井証券信用評価損益率速報で売り方は▲11.591%。
買い方は▲10.213%。
マザーズ銘柄ネットストック信用評価損益率で売り方は▲12.54%。
買い方は▲14.05%。
空売り比率は45.2%で6日連続40%超。
23日現在の信用買い残は前週比735億円増の3兆6759億円。
07年9月以来10年半ぶりの高水準だ。
信用売残は769億円増の9402億円。
日経平均採用銘柄のEPSは1881円でPERは12.68倍。
20174円でPER12倍割れだ。
シカゴ225先物終値は大証日中比415円安の20695円。
期末配当権利落分が約160円だから実質250円安程度の下落換算となる。
課題はこの落ち分を埋められるかどうか。
昨日急騰しただけにバーは21317円と高い。
ココをクリアして初めて次への一歩になる。
勝手雲の下限は21640円、上限は21719円。
ボリンジャーのマイナス2σの20763円で止まるかどうか。
またマイナス3σの20349円まで突っ込むのかどうか。
本来「大陽線2本は底打ちのサイン」なのだが、今年2勝9敗の水曜日だけに懸念は残る。
気学では「一方に偏重して動く日。波動につくべし」。
これも難解だ。
 
日経朝刊では岩田規久男前日銀副総裁のインタビュー記事。
「物価2%達成に必要なのは共同声明の再構築だ。
金融政策がデフレ脱却に向けた仕組みを整える一方で財政政策は不十分。
2%到達前に日銀が出口を模索するといの見方は金融市場の誤解だ。
増税は慎重な判断が必要で、教育国債の発行も一案だ。
2%未達の最大の理由は14年4月の消費増税だ。
多くのリフレ派が反対したこの増税がなければ14年夏頃に2%に到達した筈。
19年10月の消費増税は消費を冷やして物価を下押ししないと確信しない限り再延期が必要」。
記憶しておきたいコメントである。
 
時価総額の700兆円が壁になった東京株式市場。
今度は信用買い残の3兆6000億円が立ちはだかるのかどうか。
上場企業の含み益が26兆円と過去最高になったら本当に「持ち合い」が解消するのかどうか。
20年近くも持ち合い解消をしてきていまだに持ち合っている株を売れるのかどうか。
「歴史は古文書だけでなく当時の人間の気持ちになって考える」という言葉がある。
相場も「人間の気持ちになって考える」ことが必要な気がする。
「私の履歴書」の宗教学者山折哲雄氏の今日の結び。
「イスラエルの旅で痛切に思ったことは、当たり前ではあるが、やはり現地を歩いてみなければ、
その入口すらわからないものだということ」。
そして「大機小機」は「ESGと情報の非対称性」。
「ESGに関しては情報のギャップを埋める調査が必要となる。
企業を訪問し、話を聞き、評価することの重要性である。
ESGは長期的に企業価値を高め得る。
しかし、企業に出向き、社員を観察し、できれば社長に会わなければESG調査として意味をなさない」。
20年近くESG調査に関わった御仁の結論としては当たり前すぎる。
しかしこの当たり前が欠如しているのも市場なのだろうか。
 
NYダウは344ドル安の23857ドルと反落。
NASDAQは211ポイント安の7008ポイント。
S&P500は45ポイント安の2612ポイント。
ダウ輸送株指数191ポイント安の10181ポイント。
3市場の売買高は75.7億株。
CME円建ては大証比415円安の20695円。
ドル建ては大証比370ポイント安の20740ポイント。
225先物大証夜間取引は日中比400円安の20710円。
ドル円は104.40円。
10年国債利回りは2.786%。
 
◇━━━ カタリスト ━━━◇
 
JES(6544)・・・動兆。
 
ジャパンエレベータサービスに注目する。
同社は独立系でエレベーターの保守・保全、リニューアル展開。
保守契約、リニューアルとも拡大。
関西の契約獲得に期待感。
香港を拠点としたインドの開拓も視野に入ってきた。

(兜町カタリスト櫻井)

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