「不協和音こそ美しい」

 
同時に響く二つ以上の音が協和融合しない状態にある和音を不協和音という。
7世紀以降の西洋音楽で登場した言葉だ。
和音の3つ以上の楽音に1つでも他の楽音と不協和音程の関係にある楽音があること。
あるいはモーツァルトの弦楽四重奏曲第19番ハ長調の通称。
「ハイドン四重奏曲」中の第6作。
通称は第1楽章の冒頭で用いられる不協和音に由来するという。
要は耳に心地良くなく、あまり聞きたくない和音ということ。
だから不調和な関係のたとえにも使われる。
今の米中関係などまさに不協和音だろう。
しかし・・・。
思考を転じると不協和音というのは耳に残る。
以前広報担当をしていたとき。
代理店が持ってきたCM局候補が3つあった。
一つはきれいなピアノの旋律。
一つは美しいソプラノの合唱。
そしてもう一つは不協和音の塊のような男性のテノール。
多くの担当者はピアノの旋律を支持した。
しかし採用になったのは不協和音の塊。
実際にTVで流れてみると、心には染みないが旋律は妙に脳裏に残った。
「イヤなもの」は「イイもの」よりも心に残るのである。
だから、相場でも誰が見てもきれいな銘柄よりもどこか瑕疵がありそうな銘柄に人気が集まる。
優等生よりは不良の方がどうも人気がある。
とてもおもしろい現象だ。
バブルだって主力銘柄が醸成したわけではなくどこか怪しげな銘柄が主役だった。
そう考えると不協和音こそ美しい。
そして不協和音満載の今は最高の一時なのかも知れない。
「欅坂46」の「不協和音」という曲の歌詞。
「不協和音を僕は恐れたりしない。
嫌われたって僕には僕の正義があるんだ。
殴ればいいさ。
一度妥協したら死んだも同然。
支配したいなら僕を倒してから行けよ」。
僕=トランプ大統領に見えてきてならない。
そして「不協和音で既成概念を壊せ。
同じ意見だけではおかしいだろう。
意思を貫け。
ここで主張を曲げたら生きている価値がない」。
結構意味深だ。
傷を舐めあって調和して「赤信号みんなで渡れば怖くない」といって損を重ねてきたバブル崩壊以降。

(櫻井)。

 

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