「まっさら」

「まっさら」

3月期決算企業の権利落ち分は日経平均株価で236.95円。
市場の試算では日経平均株価で237円、TOPIXで21.5ポイント。
市場予想並みの落ち分だった。

春の麗の青空に綺麗に映える満開のサクラに囲まれながら今期という1年が終わろうとしている。
日々移ろう相場に接していると、時間軸がなくなったようになり気が付いてみればもう1年経過。
明後日からは昨年来高値も年初来高値に戻る。
そして市場は新たな3市場がスタート。
指数には5日線も25日線もまだ登場しないまっさら。 

株高ければ好材料、株低ければ悪材料。
相場はニュースを食べて生きているが、実は相場がニュースを作っている。
忍者屋敷の返し扉みたいなものだが、同じことのようで様相は違う。

「東証1部の時価総額は1985年1月に150兆円。
2年後の87年4月には400兆円に達し、
NY市場の時価総額360兆円を一気に上回った」。
「IBMはかつて1950年代にウォール街の投資家たちにとって幅方成長株。
1960年代ゴーゴーファンドの全盛期にゼロックス、コダックとともに集中買いされた。
当時の為替レート1ドル360円で換算すると時価総額は15兆円。
当時の東証1部の時価総額11.6兆円をはるかに上回っていた」。
「1965年度末に個人の持ち株比率は45%弱。
金融機関は23%強。
事業法人は18%強だった。
売買代金に占める個人の比率は1975年頃までは60%だった」。
時代の変化は数字の変化でもある。
因みに、1981年に4兆円だった株式投信。
1984年に8兆円と倍増。
1886年に19兆円と倍増。
1989年に45兆円と倍増した。
まさにバブルの歴史。
ただ株式投信は2月末の純資産が79兆円。
この1年で15兆円増加した。
そしてMRFが12兆円。
ETFも12兆円まで拡大。
まさに家計も増加基調にはなっている。

日興証券という証券会社の超大先輩浦上邦雄氏。
その著書「相場サイクルの見分け方」(日本経済新聞出版)の復刻版。
今読み返しても新鮮な相場の言葉に溢れている。
まずガーンときたのはコレ。
「蟹は己が甲羅に似せて穴を掘るという。
私の場合も所詮は自らの経験と、乏しい知識の範囲内でしか相場について語れない。
従って、ない及ばざるところは多々あるであろう」。
達人ほどこういう謙虚さがにじみ出るもの。
本物ほどこういう言葉が多い。
恐れを知れるからこそ、こうなれるのだろう。
単なるイケイケドンドンからしてみると勉強になる。

「まずものごとの基本を学び、何度か予想だにしなかった難局を乗り越え、
経験を積まねばならぬ」。
これもその通りだが、見誤りや失敗を反省しない市場関係者が多いのも現実。
「バランス感覚を身に付け、いかにリスクを避けるかに腐心してこそ投資のプロ」。
これも身にしみる。

身に染みたものを列挙してみると・・・。
「株式相場の季節感=株式相場の四季」=
金融相場、業績相場、逆金融相場、逆業績相場」。
「出来高は株価に先行する」。
「騰落レシオは市場への新規資金の流入を表示する」。
「異常なほど過熱のシグナルは相場転換のシグナルとして重視する」。
「株価は高値に近づけば割り安に見えて底値に近づくと割高に見える」。
「金融相場で大相場を示現した銘柄は高値から2割程度下げたからといって
安易に買うべきでない。
それは旬から外れた作物の売れ残りを買うようなもの」。
「新高値銘柄数が急増しはじめたら業種銘柄を分析し、
年初来高値を買った場合でも投資性かは上がる」。
「株価の値上がりが人々の欲望を誘い、株価の大幅な値下がりが恐怖心を呼び起こす」。 

「新安値銘柄数の減少は株価底入れのサイン」。
「家具付きの家を家具の値段で買う=割安株投資」。
「株式市場における長期的な強気材料が年間を通じて
さらに翌年も買い材料にされることは少ない。
株価がその好材料をせっかちに織り込んでしまうからである」。
「株価は心理的要因で動く。
株価は必要以上に大きく上下に振れる」。
「あらゆる立場の人が同じ条件でしかもリアルタイムに入手でき
る唯一最大の情報は株価である。
株価は知った次の瞬間には早くも変化している、
相場は絶えず流動する」。
「チャーチストたちは他人が何をしようとしているかを読もうとする。
株式相場の世界では驚くほど歴史が繰り返されるからだ」。
「株価水準そのものから株式の需給関係が生まれ、
この需給関係そのものが新しい株価を生み出していく」。
「常の相場に向かえ、乗るは大相場のみ。
通いの相場が逆張り、運びの相場は順張り」。
「低位株は低位株以下にはならない。
いずれ中位株か値がさ株になる可能性は否定できない。
値がさ株は中位株や低位株に転落する可能性がある」。
「相場の光と影を見た上で、でも株式市場にはロマンがある」。
「企業収益であれ、金利の動向であれ、その水準や投資価値の問題よりも、
その方向性が重要」。
 「インデックス運用の設定が集中すると、相場に表情がなくなる」。
 1986年の全店ファックス放送は「東京電力、東京ガスを信用で買うべし」。
1987年大発会には「住友信託銀行」とのご宣託だった。
その後の相場はその通り。
 「簡明な運用システムと自らの相場観を必要としないファンドマジャーの
組み合わせによって好成績を上がたファンドを見ると、
マネーマネジメントの明日を見る思いがする」。
1990年に書かれた本が今もって輝きを減じていない。
頭が下がる。

電子端末では「2022年3月は、香港株式市場にとって記録づくしの1カ月となった」との指摘。
悪材料が続き海外投資家は資本制限が厳しい中国本土株の代わりに香港株を売り浴びせた。
香港ハンセン指数の月間の値幅は2年ぶりの大きい水準。
本土株との価格差は12年ぶりの大きさになった。
ハンセン指数の月間値幅は29日時点で4346.63。
20年3月(5071.74)以来の大きさになった。
3月の高値は1日に付けた2万2761.71。
ここから2週間で2割近く下げ、15日には1万8415.08と約6年1か月ぶりの安値。
その後は中国当局の景気下支え策への期待から急速に値を戻23日に2万2000台を回復するジェットコースター相場。
ハンセン指数はチャートの形状でも20年3月を再現。
「ハンセン・ストックコネクト・チャイナAHプレミアム指数」。
値が大きいほど本土株が香港株より割高(香港株が本土株より割安)なことを示す指数は15日、151.71。
香港株が本土株より平均で約5割、割安になった。
およそ12年ぶりの大きさとなった。

(櫻井)。

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