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[7776]セルシード

[02月28日更新]

セルシードは売り一巡して反発の動き、食道再生上皮シートの22年承認申請目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートは日本で22年承認申請を目指し、同種細胞由来軟骨再生シートは21年企業治験開始に向けて開発を加速する。株価は2月15日発表した食道再生上皮シートに係る治験結果を嫌気して急落したが、12月安値まで下押すことなく売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。

 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて細胞シート同士を接着させることもできる。

 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■新中期経営計画策定

 2月15日に新中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)を発表した。概要は、日本で22年の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す、軟骨再生シートの21年治験開始に向けた開発を加速する、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する、細胞シート再生医療および支援製品の組織・インフラ体制を構築する、再生医療支援製品の新製品開発および受託製造を推進して更なる収益機会獲得を目指す、日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極推進して収益拡大を目指すとしている。

 なお事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売、再生医療支援事業は細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売である。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートは日本で22年承認申請目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 また18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。細胞シート受託加工の事業化に向けた動きが着実に進展している。

 なお2月15日に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表した。安全性は確認できたものの、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、日本で22年製造販売承認申請を目指す。

■軟骨再生シートは同種細胞由来の21年企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。

 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)され、高齢化により患者数の増加が予想されている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請し、18年10月自己細胞由来シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過し、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして21年企業治験開始を目指す。

 なお18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。

 また18年3月には、東海大学と共同出願している移植用軟骨再生シートに関する基本特許が成立する見込みとなったと発表している。登録国はドイツ、フランス、イギリスなど欧州10ヶ国である。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は当初想定を上回るペースで完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正され、台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 さらに今後の世界展開に向けて、既契約先である台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■21年12月期収益本格化目標

 18年12月期の連結業績は、売上高が10億26百万円、営業利益が1億40百万円の黒字、経常利益が1億40百万円の黒字、純利益が1億29百万円の黒字だった。売上高は計画を下回ったが、台湾MetaTech社関連で9億60百万円を計上し、開発業務委託費用や細胞培養施設の維持費用などが想定を下回ったことも寄与して各利益は黒字となった。

 新中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)では、目標値を19年12月期売上高3億円、各利益11億円の赤字、20年12月期売上高3億50百万円、各利益13億円の赤字、21年12月期売上高20億円、営業利益と経常利益3億円の黒字、純利益2億25百万円の黒字としている。自己細胞由来軟骨再生シートで19年下期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

■株価は売り一巡して反発の動き

 株価は2月15日発表した食道再生上皮シートに係る治験結果を嫌気して急落したが、12月安値まで下押すことなく売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。2月27日の終値は784円、時価総額は約90億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月18日更新]

セルシードの18年12月期決算は各利益とも黒字転換

■2019年12月期から3ヵ年の中期経営計画を発表

 セルシード<7776>(JQG)は15日に、18年12月期連結業績を修正、各利益とも黒字転換とし、また併せて中期経営計画を発表した。

 売上高は前回予想を1億44百万円下回る10億26百万円(前期比9億41百万円増)、営業損益は同1億20百万円上回る1億40百万円(前期は10億24百万円の赤字)、経常損益は同90百万円上回る1億40百万円(同9億64百万円の赤字)、最終損益は同89百万円上回る1億29百万円(同9億66百万円の赤字)へと修正した。

 売上高は、再生医療支援事業では17年12月期とほぼ同水準の推移だったが、細胞シート再生医療事業では、台湾企業 (MetaTech社)の他に契約締結に至った案件はなく一部業績予想を下回った。 また利益面では、開発業務委託費用や細胞培養施設の維持費用等の支出額が当初想定を下回ったことで業績予想を上回った。

 また、併せて中期経営計画(19年〜21年)を発表。事業展開として、食道再生上皮シートの日本での22年承認取得・販売開始、軟骨再生シートの21年治験開始に向けた開発を加速、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手、細胞シート再生医療および支援製品の組織・インフラ体制を構築、再生医療支援製品の新製品開発推進・収益機会獲得、日本発細胞シート工学の世界展開のための事業提携の積極推進・収益拡大としている。

 今期19年12月期の業績予想(計画)は、売上高3億円、営業利益11億円の赤字、経常利益11億円の赤字、純利益11億円の赤字とし、今後の業績目標は、20年12月期の売上高3億50百万円、営業利益13億円の赤字、経常利益13億円の赤字、純利益13億円の赤字、そして21年12月期の売上高20億円、営業利益3億円、経常利益3億円、純利益2億25百万円としている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月30日更新]

セルシードは急反発して戻り歩調、食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指している。また19年1月には自己細胞シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。株価は急反発して戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。

 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて細胞シート同士を接着させることもできる。

 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開

 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。

 子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す

 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指している。

 事業化・収益化に向けた基本方針は、国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指す。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。

■食道再生上皮シートは19年承認取得・販売開始目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月には「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年12月期第2四半期には症例登録が終了した。

 今後の計画としては、日本で19年上期に「口腔粘膜由来食道細胞シート」の製造販売承認申請、19年中に製造販売承認取得および薬価収載後の販売開始、20年に販売本格化を目指している。

 なお18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月には再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。細胞シート受託加工の事業化に向けた動きが着実に進展している。

 欧州では子会社CellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談して治験準備中だが、今後は次期開発品目の候補品目の一つとして開発優先順位を検討する。

 食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。

■軟骨再生シートは20年に企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己軟骨再生シート、同種軟骨再生シート)については、17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。

 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)され、高齢化により患者数の増加が予想されている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞については東海大学が先進医療申請準備を進めている。18年10月には東海大学が申請した自己細胞シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過した。また19年1月には厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。

 今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進むことになる。なお本件が実施に至った際には、先進医療で使用される細胞シートの受託加工を当社が有償で実施予定である。

 同種細胞については17年2月に東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして20年に企業治験開始を目指している。

 なお18年3月には、東海大学と共同出願している移植用軟骨再生シートに関する基本特許が成立する見込みとなったと発表している。登録国はドイツ、フランス、イギリスなど欧州10ヶ国である。

 18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は当初想定を上回るペースで完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正され、台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 さらに今後の世界展開に向けて、既契約先である台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■20年以降の食道再生上皮シート収益化期待

 中期経営計画(18年〜20年)では事業展開として、食道再生上皮シートの日本での19年承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、細胞シート再生医療および支援製品のサプライチェーン体制構築、再生医療支援製品の新製品開発推進・収益機会獲得、日本発細胞シート工学の世界展開のための事業提携の積極推進、収益の拡大・黒字化を掲げている。

 目標数値は、18年12月期売上高11億70百万円、営業利益20百万円、経常利益40百万円、純利益40百万円、19年12月期売上高12億50百万円、営業利益20百万円、経常利益50百万円、純利益40百万円、そして20年12月期売上高14億50百万円、営業利益1億10百万円、経常利益1億10百万円、純利益1億円としている。

 細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは19年製造販売承認取得・販売開始を目指している。20年12月期以降の収益化を期待したい。

■株価は急反発して戻り歩調

 株価は12月25日の安値583円から急反発している。戻り歩調だ。1月21日には1408円まで上伸した。その後は急反発の反動で上げ一服の形だが、上値を試す展開を期待したい。1月29日の終値は1093円、時価総額は約125億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
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