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[6562]ジーニー

[02月14日更新]

ジーニーは22年3月期3Q累計大幅増益で3Qは過去最高、通期予想据え置きだが上振れ余地

 ジーニー<6562>(東マ、新市場区分グロース)は2月10日の取引時間中に22年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。広告プラットフォーム事業、マーケティングSaaS事業とも伸長して大幅増益だった。先行投資が完了して収益拡大フェーズに入り、第3四半期の利益は過去最高となった。そして第3四半期累計時点で利益は21年3月期通期実績を上回る水準に拡大した。通期予想を据え置いたが上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は株主優待制度導入を好感して1月の昨年来安値圏から反発の動きを強めている。さらに第3四半期累計業績も評価して戻りを試す展開を期待したい。

■22年3月期3Q累計大幅増益で21年3月期通期実績を上回る水準

 22年3月期第3四半期累計の連結業績(収益認識会計基準適用のため売上高の前期比増減率は非記載、利益への影響はなし)は、売上高が103億84百万円、営業利益が4億円(前年同期は37百万円)、経常利益が4億17百万円(同2百万円)、EBITDAが8億32百万円(同3億円)、親会社株主帰属四半期純利益が3億07百万円(同23百万円の赤字)だった。

 広告プラットフォーム事業、マーケティングSaaS事業とも伸長して大幅増益だった。収益認識基準の影響額として、売上高と売上原価がそれぞれ10億80百万円減少しているが、利益への影響はなかった。会計基準変更影響を除く従来基準ベースの売上高は12.9%増の114億64百万円だった。先行投資が完了して収益拡大フェーズに入り、第3四半期の利益は過去最高となった。そして第3四半期累計時点で各利益は21年3月期通期実績(営業利益1億95百万円、経常利益1億49百万円、EBITDA5億87百万円、親会社株主帰属当期純利益1億01百万円)を上回る水準に拡大した。

 セグメント別(調整前、22年3月期から一部組み換え、収益認識会計基準適用のため前期比増減率は非記載)に見ると、広告プラットフォーム事業は売上高が82億08百万円で、利益(全社費用等調整前営業利益)が12億12百万円(前年同期は7億43百万円)だった。Web動画リワード広告フォーマットの提供開始、気象庁ホームページの広告運用事業における広告配信システムの提供開始、DOOH領域での広告配信拡大などにより、第3四半期の売上総利益は前年同期比29%増加して過去最高だった。

 マーケティングSaaS事業は売上高が7億94百万円で、利益が36百万円(同53百万円の赤字)だった。各プロダクトの機能強化や拡販などで有料アカウント数が増加基調である。なお新商品「GENIEE DATA CONNECT」の提供を開始した。海外事業は売上高が14億45百万円で利益が1億13百万円(同67百万円)だった。リセラーおよびパートナーシップの強化を推進した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が29億68百万円、営業利益が50百万円、EBITDAが1億93百万円、第2四半期は売上高が34億90百万円、営業利益が1億22百万円、EBITDAが2億62百万円、第3四半期は売上高が39億26百万円、営業利益が2億28百万円、EBITDAが3億77百万円だった。第3四半期の営業利益とEBITDAは過去最高だった。なお広告プラットフォーム事業は第3四半期と第4四半期が繁忙期となる季節特性がある。

 通期連結業績予想は据え置いて、売上高が134億25百万円〜137億39百万円、営業利益が6億40百万円〜8億40百万円(21年3月期比3.3倍〜4.3倍)、経常利益が6億20百万円〜8億20百万円(同4.2倍〜5.5倍)、EBITDAが12億59百万円〜14億59百万円(同2.1倍〜2.5倍)、親会社株主帰属当期純利益が5億26百万円〜6億65百万円(同5.2倍〜6.5倍)としている。配当予想は未定である。

 22年3月期はSaaS型プロダクト開発・機能強化などへの先行投資が完了して収益拡大フェーズとしている。通期レンジ予想の上限値に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.6%、営業利益が47.6%、経常利益が50.9%、EBITDAが57.0%、親会社株主帰属当期純利益が46.2%だが、第3四半期の営業利益とEBITDAが過去最高だったことや、広告プラットフォーム事業で第3四半期と第4四半期が繁忙期となる季節特性があることなどを勘案すれば、通期予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は反発の動き

 株価は株主優待制度導入(1月27日公表)を好感して1月の昨年来安値圏から反発の動きを強めている。さらに第3四半期累計業績も評価して戻りを試す展開を期待したい。2月10日の終値は767円、時価総額は約138億円である。
情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[02月01日更新]

ジーニーは2つの新ブランドを立ち上げ、株主優待制度も導入

 ジーニー<6562>(東マ、新市場区分グロース)は、マーケティングテクノロジー領域のリーディングカンパニーを目指している。1月26日にはPurpose設定およびプロダクト名・ロゴ刷新を発表し、2つの新ブランド(広告プラットフォーム領域のGENIEE Ads Platform、マーケティングSaaS領域のGENIEE Marketing Cloud)を立ち上げた。22年3月期はマーケティングSaaS領域が成長軌道に乗って大幅増益予想としている。収益拡大を期待したい。また1月27日には株主優待制度導入を発表した。4月4日移行予定の新市場区分についてはグロース市場に移行する。株価は地合い悪化も影響して昨年来安値圏で軟調だが、1月28日には株主優待制度導入も好感して反発の動きを見せている。売り一巡して出直りを期待したい。なお2月10日に22年3月期第3四半期決算発表を予定している。

■マーケティングテクノロジー領域のリーディングカンパニー

 マーケティングテクノロジー領域(広告プラットフォーム領域、企業のDXを支援するマーケティングSaaS領域)のリーディングカンパニーを目指し、集客〜販促〜受注までを一気通貫で実行・管理できる唯一のセールス&マーケティングプラットフォームとして、利便性に優れて費用対効果が高く、精度も高い総合マーケティングソリューションを提供している。

 20年11月に高速・高精度検索エンジン開発のビジネスサーチテクノロジを子会社化、21年8月に顧客獲得・管理チャットポットサービスを開発・提供するREACTを完全子会社化した。また1月27日には、マルジュのアドテクノロジーサービスを承継する分割会社を子会社化(22年2月予定)すると発表した。

 収益面の季節特性として、広告プラットフォーム領域は広告主の予算配分の影響を受けるため、12月および年度末の3月に売上が集中し、全体としての業績も下期偏重型となっている。ただしマーケティングSaaS領域の拡大によって平準化が進む見込みだ。

 なお14年にソフトバンク(現ソフトバンクグループ)と資本業務提携し、現在はソフトバンク<9434>の持分法適用会社となっている。ソフトバンクと協業してクロスボーダーサービスの強化・拡大を推進している。

■Purposeを設定してプロダクト名・ロゴを刷新

 21年3月期の売上高構成比はアド・プラットフォーム事業が80%、マーケティングソリューション事業が10%、海外事業が11%だった。22年3月期から事業区分を、インターネット広告に関わる広告プラットフォーム事業、企業のDXを支援するマーケティングSaaS事業、および国内のプロダクトを東南アジア中心に展開する海外事業に変更した。

 1月26日にPurpose(存在意義)の設定、およびプロダクト名・ロゴの刷新を発表した。

 Purposeに関しては、Business Purpose(ジーニーのプロダクトやサービスが実現する世界)で「誰もがマーケティングで成功できる世界を創る」、Corporate Purpose(組織の長期目標・存在意義)で「日本発の世界的なテクノロジー企業となり、日本とアジアに貢献する」とした。

 プロダクト名・ロゴ刷新に関しては、2つの新ブランド(広告プラットフォーム領域のGENIEE Ads Platform、およびマーケティングSaaS領域のGENIEE Marketing Cloud)を立ち上げた。

 GENIEE Ads Platform(広告プラットフォーム領域)のプロダクトは、サブブランドとしてGENIEE SSP、GENIEE DSP、GENIEE DOOH、GENIEE AFFILIATE、GENIEE DMSで構成される。

 GENIEE Marketing Cloud(マーケティングSaaS領域)のプロダクトは、サブブランドとしてGENIEE SFA/CRM(従来のちきゅう)、GENIEE CHAT(従来のChamo、Engagebot)、GENIEE MA(従来のMAJIN)、GENIEE SEARCH(従来のproboポップリンク・ポップファインド)、および新規プロダクトのGENIEE BIと、GENIEE DATACONNECTで構成される。

■GENIEE Ads Platformは独自アドテクノロジーが強み

 GENIEE Ads Platform(広告プラットフォーム領域)は、インターネット広告市場において、広告収益を最大化するサプライサイド(ネットメディア向け)のGENIEE SSPが取引実績2万社で国内シェア1位、デマンドサイド(広告主向け)のGENIEE DSPが広告主数500社で国内NO.1のデータ保有量を誇っている。

 ネットメディアの広告収益最大化を図る独自のアドテクノロジー(ウェブサイトやスマートフォンアプリ等に各々の閲覧者に合った広告を瞬時に選択して表示させる技術)を強みとしている。ネット広告取引市場においては、RTB(広告枠を自動で瞬時にオークション形式で取引するシステム)によって取引されるが、同社独自の広告配信最適化アルゴリズムで効果的な広告配信を実現している。さらにビッグデータやAIを活用して広告配信の精度向上や自動化に取り組んでいる。

 21年7月には、21年5月開始したWeb動画リワード広告において、UNICORNが運営する国内最大規模の全自動マーケティングプラットフォーム「UNICORN」と連携した。

 21年9月には、Cookie規制への対策としてGENIEE SSPとGENIEE DSPが、DMP最大手であるインティメート・マージャー<7072>の3rd Party Cookieを利用せず、異なるドメイン間で3rd Party Dateの活用が可能な共通IDソリューションIM―UIDと連携し、広告配信検証を開始した。

■DOOH分野に積極展開

 GENIEE Ads Platform(広告プラットフォーム領域)の拡大戦略として、大型屋外サイネージ、タクシー広告、駅内広告、歯科医院待合サイネージなど、DOOH(自宅以外の場所で接触する屋外デジタル広告)分野に積極展開している。

 18年11月タクシー後部座席に設置されたデジタルサイネージ向け広告配信プラットフォームを開発し、19年2月DeNA<2432>のタクシー配車サービスでの本格運用を開始した。19年11月にはメディカルアシストTVと業務提携し、歯科医院デジタルサイネージ向けプログラマティックOOH広告配信を開始した。

 20年1月にはヒットと業務提携し、20年2月に首都高速道路沿い大型屋外ビジョン向けプログラマティックOOH広告配信を開始、20年3月に東京・渋谷ハチ公口および大阪・御堂筋沿いにプログラマティックOOH広告配信を開始した。

 20年8月にはユニカと業務提携して、DOOH向け広告配信サービスYUNIKA VISION DOOHの提供を開始、20年10月には日本自動ドアおよびYmixと業務提携して、Fast Beautyが運営する全国約88店舗ヘアカラー専門店fufuに設置するタブレット端末へ広告配信を開始した。

 21年5月には、デジタル屋外広告プラットフォームGENIEE DOOHがユナイテッドマーケティングテクノロジーのBypassと連携開始した。またホープ<6195>と業務提携した。気象庁ホームページ広告運用事業における広告配信システムを共同で構築・提供・運用する。21年7月にはGENIEE DOOHとSpotX Japanの動画広告配信プラットフォームSpotXが連携した。

■DX支援のGENIEE Marketing Cloudを強化

 GENIEE Marketing Cloud(マーケティングSaaS領域)は、SaaS型のビジネスモデルで、企業のマーケティング活動のDX化を支援するソフトウェア・ツールを提供している。国内導入実績は1万社以上となっている。

 主要プロダクトは、CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システムのGENIEE SFA/CRM(従来のちきゅう)、チャット型Web接客プラットフォームのGENIEE CHAT(従来のChamo、Engagebot)、マーケティングオートメーションツールのGENIEE MA(従来のMAJIN)、サイト内検索のGENIEE SEARCH(従来のproboポップリンク・ポップファインド)である。さらに新規プロダクトとして、GENIEE BIや、GENIEE DATACONNECTも強化する。

 GENIEE SFA/CRMは顧客管理および商談管理に特化したシンプルな設計のクラウド型サービスである。GENIEE CHATは顧客獲得と顧客満足を最大化する国産NO.1のチャットポットである。GENIEE MAMAJINは企業のさまざまなマーケティング活動を自動化できるプラットフォームである。GENIEE SEARCHは高速・高精度を実現する独自技術を搭載している。GENIEE DATACONNECTは21年11月に提供開始した。社内にデータエンジニアがいなくても、社内複数システムに存在するデータを簡単に連携・統合できるツールである。

■24年3月期IFRSベースでEBITDA27億円〜32億円目標

 中期目標として、24年3月期にIFRSベースで売上高250億円〜300億円、売上総利益80億円〜90億円、営業利益20億円〜25億円、EBITDA27億円〜32億円を掲げている。なお日本基準ベースでは営業利益は18億円〜23億円となる。

 マーケティングテクノロジー領域のリーディングカンパニーとなるべく、広告プラットフォーム領域を伸ばしながら、マーケティングSaaS領域の急成長を目指す。またプライム市場への上場を目標として、流動性/ガバナンス/経営成績・財政状態の基準のクリアを目指すとしている。会計基準はIFRSの適用を検討する方針だ。

■22年3月期大幅増益予想、マーケティングSaaS領域が成長軌道

 22年3月期連結業績予想(収益認識基準適用のため売上高の前期比増減率は非記載、利益への影響なし)は、売上高が134億25百万円〜137億39百万円、営業利益が6億40百万円〜8億40百万円(21年3月期比3.3倍〜4.3倍)、経常利益が6億20百万円〜8億20百万円(同4.2倍〜5.5倍)、EBITDAが12億59百万円〜14億59百万円(同2.1倍〜2.5倍)、親会社株主帰属当期純利益が5億26百万円〜6億65百万円(同5.2倍〜6.5倍)としている。収益認識基準を適用しない場合の売上高予想は150億49百万円〜153億63百万円(21年3月期比7.0%増〜9.3%増)となる。配当予想は未定である。

 第2四半期累計は、売上高が64億58百万円、営業利益が1億72百万円の黒字(前年同期は1億23百万円の赤字)、経常利益が1億93百万円の黒字(同1億40百万円の赤字)、EBITDAが4億55百万円の黒字(同47百万円の赤字)、そして親会社株主帰属四半期純利益が1億38百万円の黒字(同1億19百万円の赤字)だった。

 広告プラットフォーム領域、マーケティングSaaS領域とも伸長して黒字転換した。なお収益認識基準の影響額として、売上高と売上原価がそれぞれ7億31百万円減少している。会計基準変更影響を除く従来基準ベースでは、売上高は11,8%増の71億89百万円だった。売上総利益は61.4%増加した。

 セグメント別(調整前、22年3月期から区分変更して一部を組み換えているため前期比増減率は非記載)に見ると、広告プラットフォーム事業は売上高が52億57百万円でセグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が7億50百万円だった。気象庁ホームページの広告運用事業における広告配信システム提供開始、デジタルDOOH領域での広告配信量の拡大など、新機能開発やシェア拡大などで売上総利益が前年同期比39%増加した。

 マーケティングSaaS事業は売上高が5億15百万円でセグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が13百万円だった。プロダクト機能強化や拡販などでアカウント数が増加し、売上高が120%増と成長した。海外事業は売上高が7億26百万円で営業利益が57百万円だった。リセラーおよびパートナーシップの強化を推進した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が29億68百万円で営業利益が50百万円、第2四半期は売上高が34億90百万円で営業利益が1億22百万円だった。

 22年3月期はSaaS型プロダクト開発・機能強化などへの先行投資が完了して収益拡大フェーズとしている。経済環境の不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、第2四半期累計は想定(売上高57億20百万円、営業利益77百万円の赤字、経常利益87百万円の赤字、EBITDA2億20百万円、親会社株主帰属四半期純利益86百万円の赤字)を大幅に上回った。また通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は低水準の形だが下期偏重の収益特性がある。通期ベースでも収益改善基調を期待したい。

■株主優待制度を導入、22年3月末対象から実施

 1月27日に株主優待制度の導入を発表(詳細は会社HP参照)した。毎年3月末現在3単元(300株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じた優待ポイントを「ジーニー・プレミアム優待倶楽部」で商品と交換する。22年3月末対象から実施する。

■株価は売り一巡

 21年8月13日発表の自己株式取得(上限35万株・3億50百万円、取得期間21年8月16日〜22年8月15日)については、21年12月31日時点で累計取得株式数4万7900株となっている。

 株価は地合い悪化も影響して昨年来安値圏で軟調だが、1月28日には株主優待制度導入も好感して反発の動きを見せている。売り一巡して出直りを期待したい。1月28日の終値は704円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS147円12銭で算出)は約4.8倍、時価総額は約127億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月27日更新]

ジーニーは22年3月期大幅増益予想、マーケティングSaaSビジネスが成長軌道

 ジーニー<6562>(東マ)はマーケティングテクノロジー領域のリーディングカンパニーを目指し、企業のDXを支援するマーケティングSaaSビジネス領域の強化や広告プラットフォームビジネスの収益力向上を推進している。22年3月期はマーケティングSaaSビジネス領域が成長軌道に乗って大幅増益予想としている。第2四半期累計の進捗率は、営業利益が1.7億円とYoYで2.9億円改善し、前通期の1.9億円並みまで拡大。

 広告業界の繁忙期が12月と3月ということもあり、当社は下期偏重の業績構造となっている。前期は、営業利益が下期で3.1億円。今期は上期に1.7億円達成しており、前期下期実績3.1億円と下期施策及び上期実績等を踏まえると、業績予想レンジの達成が見えてきた。なお12月17日に東京証券取引所に提出した「事業計画及び成長可能性に関する事項」をHP上で開示している。株価は地合い悪化も影響して年初来安値圏だが売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。

■マーケティングテクノロジー領域のリーディングカンパニー

 マーケティングテクノロジー領域のリーディングカンパニーを目指し、企業のDXを支援するマーケティングSaaSビジネス領域の強化や広告プラットフォームビジネスの収益力向上を推進している。

 21年3月期の売上高構成比はアド・プラットフォーム事業が80%、マーケティングソリューション事業が10%、海外事業が11%だった。なお22年3月期から事業区分を、インターネット広告に関わる広告プラットフォーム事業、企業のDXを支援するマーケティングSaaSビジネス領域のマーケティングSaaS事業、および国内のプロダクトを東南アジア中心に展開する海外事業に変更した。

 20年11月には高速・高精度検索エンジン開発のビジネスサーチテクノロジを子会社化した。また21年8月には顧客獲得・管理チャットポットサービスを開発・提供するREACTを完全子会社化した。

 収益面の季節特性として、広告プラットフォーム事業では広告主の予算配分の影響を受けるため、12月および年度末の3月に売上が集中する傾向がある。なお14年にソフトバンク(現ソフトバンクグループ)と資本業務提携し、現在はソフトバンク<9434>の持分法適用会社となっている。ソフトバンクと協業してクロスボーダーサービスの強化・拡大を推進している。

■広告プラットフォーム事業は独自アドテクノロジーが強み

 広告プラットフォーム事業はインターネット広告市場において、広告収益を最大化するサプライサイド(ネットメディア向け)のGENIEE SSPが取引実績2万社で国内シェア1位、デマンドサイド(広告主向け)のGENIEE DSPが広告主数500社で国内NO.1のデータ保有量を誇っている。

 ネットメディアの広告収益最大化を図る独自のアドテクノロジー(ウェブサイトやスマートフォンアプリ等に各々の閲覧者に合った広告を瞬時に選択して表示させる技術)を強みとしている。ネット広告取引市場においては、RTB(広告枠を自動で瞬時にオークション形式で取引するシステム)によって取引されるが、同社独自の広告配信最適化アルゴリズムで効果的な広告配信を実現している。さらにビッグデータやAIを活用して広告配信の精度向上や自動化に取り組んでいる。

 21年7月には、21年5月開始したWeb動画リワード広告において、UNICORNが運営する国内最大規模の全自動マーケティングプラットフォーム「UNICORN」と連携した。

 21年9月には、Cookie規制への対策としてGENIEE SSPとGENIEE DSPが、DMP最大手であるインティメート・マージャー<7072>の3rd Party Cookieを利用せず、異なるドメイン間で3rd Party Dateの活用が可能な共通IDソリューションIM―UIDと連携し、広告配信検証を開始した。

■広告プラットフォームはDOOH領域に展開

 広告プラットフォーム事業の領域拡大戦略として、大型屋外サイネージ、タクシー広告、駅内広告、歯科医院待合サイネージなど、DOOH(自宅以外の場所で接触する屋外デジタル広告)領域に積極展開している。

 18年11月タクシー後部座席に設置されたデジタルサイネージ向け広告配信プラットフォームを開発し、19年2月DeNA<2432>のタクシー配車サービスでの本格運用を開始した。19年8月にはジオネクサスにDOOH広告配信プラットフォームをOEM提供した。19年11月にはメディカルアシストTVと業務提携し、歯科医院デジタルサイネージ向けプログラマティックOOH広告配信を開始した。

 20年1月にはヒットと業務提携し、20年2月に首都高速道路沿い大型屋外ビジョン向けプログラマティックOOH広告配信を開始、20年3月に東京・渋谷ハチ公口および大阪・御堂筋沿いにプログラマティックOOH広告配信を開始した。

 20年7月には京王エージェンシーと業務提携してデジタル広告効果の可視化に向けた実証実験を開始、20年8月にはユニカと業務提携してDOOH向け広告配信サービスYUNIKA VISION DOOHの提供を開始、20年10月には日本自動ドアおよびYmixと業務提携してFast Beautyが運営する全国約88店舗ヘアカラー専門店fufuに設置するタブレット端末へ広告配信した。

 21年5月には、デジタル屋外広告プラットフォームGENIEE DOOHがユナイテッドマーケティングテクノロジーのBypassと連携開始した。またホープ<6195>と業務提携した。気象庁ホームページ広告運用事業における広告配信システムを共同で構築・提供・運用する。21年7月にはGENIEE DOOHとSpotX Japanの動画広告配信プラットフォームSpotXが連携した。

■DX支援マーケティングSaaSビジネス領域を強化

 マーケティングSaaS事業は、クラウド上でアプリケーションを提供するSaaS型のビジネスモデルで、企業のマーケティング活動を効率化するソフトウェアを提供している。

 具体的にはCRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システムちきゅう、マーケティングオートメーションツールMAJIN、チャット型Web接客プラットフォームchamo、サイト内検索proboを展開している。

 CRM/SFAシステムちきゅうは、顧客管理CRMシステムおよび商談管理SFAシステムを一体化させたクラウド型サービスである。マーケティングオートメーションMAJINは企業のマーケティング活動を自動化し、効率的に購買・契約等を行うためのプラットフォームである。取引実績は合計で約1万社に達している。チャットボットツールchamoは4500社の導入実績を持つ国産NO.1のチャットツールである。

 21年11月には、社内にデータエンジニアがいなくても、社内複数システムに存在するデータを簡単に連携・統合できるGENIEE DATA CONNECTの提供を開始した。

 集客〜販促〜受注までを一気通貫で実行・管理できる唯一のセールス&マーケティングプラットフォームとして、企業のDXを支援するマーケティングSaaSビジネス領域の成長を加速させる方針だ。

■24年3月期(IFRSベース)EBITDA27億円〜32億円目標

 24年3月期の目標値には、IFRSベースで売上高250億円〜300億円、売上総利益80億円〜90億円、営業利益20億円〜25億円(日本基準ベースで18億円〜23億円)、EBITDA27億円〜32億円を掲げている。

 マーケティングテクノロジー領域のリーディングカンパニーとなるべく、広告プラットフォーム事業を伸ばしながら、マーケティングSaaS事業の急成長を目指す。またプライム市場への上場を目標として、流動性/ガバナンス/経営成績・財政状態の基準のクリアを目指すとしている。会計基準はIFRSの適用を検討する方針だ。

■22年3月期大幅増益予想、マーケティングSaaSビジネスが成長軌道

 22年3月期連結業績予想(収益認識基準適用のため売上高の前期比増減率は非記載、利益への影響なし)は、売上高が134億25百万円〜137億39百万円、営業利益が6億40百万円〜8億40百万円(21年3月期比3.3倍〜4.3倍)、経常利益が6億20百万円〜8億20百万円(同4.2倍〜5.5倍)、EBITDAが12億59百万円〜14億59百万円(同2.1倍〜2.5倍)、親会社株主帰属当期純利益が5億26百万円〜6億65百万円(同5.2倍〜6.5倍)としている。収益認識基準を適用しない場合の売上高予想は150億49百万円〜153億63百万円(21年3月期比7.0%増〜9.3%増)となる。配当予想は未定である。

 第2四半期累計は、売上高が64億58百万円、営業利益が1億72百万円の黒字(前年同期は1億23百万円の赤字)、経常利益が1億93百万円の黒字(同1億40百万円の赤字)、EBITDAが4億55百万円の黒字(同47百万円の赤字)、そして親会社株主帰属四半期純利益が1億38百万円の黒字(同1億19百万円の赤字)だった。

 広告プラットフォーム事業、マーケティングSaaS事業とも伸長して黒字転換した。なお収益認識基準の影響額として、売上高と売上原価がそれぞれ7億31百万円減少している。会計基準変更影響を除く従来基準ベースでは、売上高は11,8%増の71億89百万円だった。売上総利益は61.4%増加した。

 セグメント別(調整前、22年3月期から区分変更して一部を組み換えているため前期比増減率は非記載)に見ると、広告プラットフォーム事業は売上高が52億57百万円でセグメント利益が7億50百万円だった。気象庁ホームページの広告運用事業における広告配信システム提供開始、デジタルDOOH領域での広告配信量の拡大など、新機能開発やシェア拡大などで売上総利益が前年同期比39%増加した。

 マーケティングSaaS事業は売上高が5億15百万円でセグメント利益が13百万円だった。プロダクト機能強化や拡販などでアカウント数が増加し、売上高が120%増と成長した。海外事業は売上高が7億26百万円でセグメント利益が57百万円だった。リセラーおよびパートナーシップの強化を推進した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が29億68百万円で営業利益が50百万円、第2四半期は売上高が34億90百万円で営業利益が1億22百万円だった。

 22年3月期はSaaS型プロダクト開発・機能強化などへの先行投資が完了して収益拡大フェーズとしている。経済環境の不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、第2四半期累計は想定(売上高57億20百万円、営業利益77百万円の赤字、経常利益87百万円の赤字、EBITDA2億20百万円、親会社株主帰属四半期純利益86百万円の赤字)を大幅に上回った。また通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は低水準の形だが下期偏重の収益特性がある。通期ベースでも収益改善基調を期待したい。

■株価は売り一巡

 22年4月4日移行予定の新市場区分については、新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果でグロース市場適合を確認し、21年9月24日開催の取締役会でグロース市場選択を決議した。今後、所定のスケジュールに基づいて手続を進める。

 8月13日発表の自己株式取得(上限35万株・3億50百万円、取得期間21年8月16日〜22年8月15日)については、21年11月30日時点で累計取得株式数4万7900株となっている。

 株価は地合い悪化も影響して年初来安値圏だが売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。12月24日の終値は791円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS147円12銭で算出)は約5.4倍、時価総額は約143億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
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