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[2492]インフォマート

[11月20日更新]

インフォマートは反発の動き、23年12月期増益予想で2回目の上振れの可能性

 インフォマート<2492>(東証プライム)は企業間の商行為を電子化する国内最大級のBtoB電子商取引プラットフォーム(飲食業向けを中心とする受発注システム、全業界を対象とする請求書システムなど)を運営している。23年12月期第3四半期累計は、利益面は成長に向けた戦略投資の影響で減益だが、売上面は利用企業数が増加して大幅増収と順調だった。そして通期の大幅増益予想(7月21日付で上方修正)を据え置いた。第3四半期累計の利益進捗率が高水準であり、事業環境が良好であることや期末に向けてストック収益が積み上がる構造であることなども勘案すれば、通期会社予想は2回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、第3四半期累計業績を好感する形で反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■国内最大級のBtoB(企業間電子商取引)プラットフォーム

 企業間の商行為を電子化する国内最大級のBtoBプラットフォームを運営している。BtoB−PF FOOD事業のBtoBプラットフォーム受発注は飲食店と食材卸・メーカー間の受発注業務を電子化したシステム、規格書は食の安全・安心に関わる商品規格書を電子管理するツール、BtoB−PF ES事業の請求書は全業界を対象に請求書発行・受取業務を電子化したシステム、商談は全国の食材売り手・買い手が商談できるマッチングサイト、契約書は契約書締結をブロックチェーン基盤上で電子化したシステムである。21年7月には全業界向け受発注BtoB TRADEをリリース、23年7月には自治体のLGWAN(総合行政ネットワーク)に対応したBtoBプラットフォーム on LGWANを本格稼働した。

 22年12月期は、BtoB−PF FOOD事業の売上高が前期比10.4%増の77億26百万円でセグメント利益(調整前営業利益)が0.8%増の21億80百万円、BtoB−PF ES事業の売上高が15.6%増の32億78百万円でセグメント利益が16億64百万円の赤字(前期は11億37百万円の赤字)だった。

 21年6月にはBtoBプラットフォーム請求書が公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の電子取引ソフト法的要件認証制度第1号認証を取得した。22年7月にはBtoBプラットフォーム契約書がJIIMAの電子取引ソフト法的要件認証」「電帳法スキャナ保存ソフト認証」を取得した。22年6月には一般社団法人日本飲食団体連合会(食団連)のオフィシャルパートナーに決定した。22年10月にはBtoBプラットフォームTRADEがJIIMAの電子取引ソフト法的要件認証を取得した。

 23年1月にはBtoBプラットフォーム契約書がサイバートラスト<4498>のiTrustと連携し、新機能「社内文書署名機能」で作成された電子証明書が法務省の商業・法人登記のオンライン申請に利用可能な電子証明書として正式に認定された。23年4月にはBtoBプラットフォームが、経済産業省が推進する「IT導入補助金2023」において補助金対象のITツールとして認定された。

■26年12月期営業利益50億円目標

 中期業績目標には26年12月期売上高200億円、営業利益50億円を掲げ、成長に向けた積極投資と収益源多角化を推進している。5年間平均のCAGR(売上高成長率)は全社16%(FOOD事業8%、ES事業30%)としている。

 将来を見据えた仕掛けとして、既存システム使用料以外の多様な収益源確保(多業界受発注、フード業界縦横展開、海外進出など)や、次世代BtoBプラットフォーム構築に向けた最先端テクノロジーの研究にも取り組んでいる。21年4月にはDX推進プロジェクト「Less is More.Project」を始動し、本プロジェクトの理念に賛同して共に活動する参画企業の募集を開始した。

 また、Food Techに特化した出資枠(ファンド)を設置し、20年6月にはAIを活用した飲食店向けの自動発注クラウドサービス「HANZO自動発注」を開発・提供するGoalsに出資して資本業務提携(22年6月に追加出資)した。さらに23年6月には、国内の旅館・宿泊業の再生支援を行うRQ旅館再生ファンド投資事業有限責任組合に出資した。

 なお、23年2月に創業25周年の節目を迎えたことを踏まえ、23年5月30日よりコーポレートブランドを刷新した。23年6月には「子育てサポート企業」として厚生労働大臣より「くるみん認定」を取得した。

■利用企業数は増加基調

 売上高の約95%が月額システム利用料であり、利用企業数増加に伴って収入が拡大するストック型収益モデルである。利用企業数は増加基調で、22年12月期末の全体の利用企業数は21年12月期末比14万5990社増加の82万5674社、全体の事業所数は21万6907事業所増加の152万6384事業所となった。また22年の流通金額は21年比62%増の30兆590億円で、コロナ禍前の19年を上回り過去最高を更新した。

 利用企業数の内訳を見ると、BtoB−PF FOOD事業の受発注の買い手企業数が21年12月期末比320社増加の3680社、買い手店舗数が2370店舗増加の6万8380店舗、売り手企業数が1908社増加の4万2028社となった。規格書の買い手機能が52社増加の944社、卸機能が7社増加の716社、メーカー機能が165社増加の8764社となった。23年6月にはBtoBプラットフォーム受発注の有料買い手利用店舗数が7万店を突破した。

 BtoB−PF ES事業の請求書は有料契約企業が2087社増加の8615社(受取モデルが1090社増加の5282社、発行モデルが997社増加の3333社)で、請求書ログインは14万6249社増加の81万6777社となった。契約書ログインは1万5540社増加の4万2836社となった。電子帳簿保存法改正による請求書電子化や「脱ハンコ」による契約書電子化の流れで、請求書と契約書が急増している。また23年7月には、BtoBプラットフォーム請求書の利用企業数が90万社を突破した。

 国内最大級のBtoBプラットフォームである。23年2月にはBtoBプラットフォーム請求書が東京商工リサーチの調査において、前回の調査に続いて請求書クラウドサービス市場における国内シェアNO.1を獲得した。23年9月にはBOXIL SaaS AWARD Autumn 2023において、BtoBプラットフォーム請求書が請求書発行部門、BtoBプラットフォーム契約書が電子契約システム部門で、それぞれGood Serviceに選出された。23年10月にはBtoBプラットフォーム請求書が、アイティクラウドが提供するITreview Grid Award 2023 Fallの請求書作成・見積書作成カテゴリの4部門、および請求書受領サービスカテゴリの2部門でLeaderを受賞した。

 BtoBプラットフォーム請求書の採用事例としては、22年3月に三井住友フィナンシャルグループ、ワコール、22年4月にトヨタファイナンス、22年5月にアイリスオーヤマ、22年6月に肥後銀行、サッポログループ物流、神戸市、22年9月にダイナムジャパンHD、22年11月に大分県、東洋水産、23年2月に学校法人國學院大學、23年6月に三井物産、23年8月に滋賀県長浜市、23年10月に三菱地所プロパティマネジメントに採用された。大企業にとどまらず、地方自治体などにおける採用も進展している。

■アライアンスを積極推進

 アライアンス戦略を積極推進している。21年2月には食品卸企業向け受発注・販促サービスのタノムと資本業務提携、21年3月には三井物産と共同出資で特別目的会社I&Mを設立し、中国フードテック企業のトップAcewillのグループ会社である博君と資本業務提携した。22年4月にはプロダクト・データ・プラットフォームを開発・提供するLazuliに出資した。

 21年10月に串カツ田中ホールディングス<3547>と業務提携して設立した合弁会社Restartz(リスターツ)は、22年11月に飲食店舗運営のDXを支援する店舗オペレーション管理アプリ「V−Manage」をリリースし、23年4月に串カツ田中ホールディングスの全ての直営店舗(155店舗)への導入を開始した。そして23年8月末に利用企業数が100社を突破した。また11月10日には、飲食店での外国人労働者数増加に伴う多言語対応(英語、中国語、韓国語、ベトナム語)開始をリリースしている。

 23年2月にはDeepworkと協業して、24年1月に完全義務化される電子帳簿保存法に対応した新サービスSTORAGE by invoxの提供を開始した。23年3月にはDeepworkと協業した新機能「発注書AI−OCR(invox)」を提供開始した。

 また、BtoBプラットフォームによる多様な価値提供の一環として、20年より決済・ファイナンス機能であるBtoBファイナンスの拡張を進めている。その第3弾の取り組みとして23年10月より、NTTデータのTetraBRiDGEとの連携を開始した。

■23年12月期増益予想で再上振れの可能性

 23年12月期連結業績予想(7月21日付で上方修正)は売上高が22年12月期比19.3%増の131億32百万円、営業利益が21.6%増の6億40百万円、経常利益が15.2%増の5億35百万円、親会社株主帰属当期純利益が24.4%増の3億56百万円としている。配当予想(7月21日付で上方修正)は22年12月期比25銭増配の97銭(第2四半期末48銭、期末49銭)としている。

 前回予想(2月14日付公表値)に対して、売上高を2億円、営業利益を3億40百万円、経常利益を3億18百万円、親会社株主帰属当期純利益を2億09百万円、それぞれ上方修正し、従来の減益予想から一転して増益予想とした。利用企業数が順調に増加して売上高が想定を上回り、販管費が人件費を中心に想定を下回ることも寄与する見込みだ。営業利益の上方修正幅3億40百万円の内訳は増収で2億円、コスト未発生で1億39百万円としている。

 修正後の売上高計画は、BtoB−PF FOOD事業が9.3%増の84億42百万円(前回予想は7.9%増の83億35百万円)で、BtoB−PF ES事業が43.1%増の46億89百万円(同40.2%増の45億96百万円)としている。コスト面の計画は売上原価が22.2%増の57億93百万円(同20.0%増の56億89百万円)で、販管費が16.7%増の66億99百万円(同21.0%増の69億42百万円)としている。売上原価ではサーバー増強に伴うデータセンター費の増加が概ね一巡するが、BtoBプラットフォーム請求書に関するアライアンスパートナー経由の新規有料契約数の増加に伴って紹介手数料が想定よりも増加する見込みだ。販管費では保守的に計画した人件費などの未発生により想定を下回る見込みとなった。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比20.4%増の97億14百万円、営業利益が12.3%減の6億34百万円、経常利益が19.9%減の5億45百万円、親会社株主帰属四半期純利益が22.7%減の3億74百万円だった。

 利益面は成長に向けた戦略投資の影響で減益だが、売上面は利用企業数が増加して大幅増収と順調だった。営業利益89百万円減益要因分析は、BtoB−PF ES事業の売上増加+11億12百万円、BtoB−PF FOOD事業の売上増加+5億33百万円、データセンター費の増加▲1億36百万円、ソフトウェア償却費の増加▲3億39百万円、売上原価における手数料(BtoBプラットフォーム請求書におけるアライアンスパートナーへの紹介手数料)等の増加▲3億49百万円、人件費の増加▲2億77百万円、販売促進費の増加▲1億99百万円、販管費における支払手数料(BtoBプラットフォーム受発注およびBtoBプラットフォーム請求書の稼働業務の外注費)の増加▲3億08百万円、その他販管費の増加▲1億23百万円だった。

 BtoB−PF FOOD事業の売上高は前年同期比9.4%増の62億21百万円だった。BtoBプラットフォーム受発注は利用企業数が順調に増加し、フード業界の買い手企業(外食チェーン、ホテル、給食等)および店舗からのシステム使用料売上、外食の復調に伴う食材流通金額の増加により売り手企業からの従量制システム使用料が増加した。受発注ライト、TANOMUの利用も拡大した。

 BtoB−PF ES事業の売上高は46.7%増の34億92百万円だった。BtoBプラットフォーム請求書は、企業のデジタル化推進、インボイス制度の開始と電子帳簿保存法改正に向けた顧客ニーズの高まりも背景として受取モデル・発行モデルの利用企業数が増加した。TEADEの利用も拡大した。

 なお23年12月期第3四半期末時点の全社ベースの利用企業数は22年12月期末比16.6%増の96万2981社、事業所数は17.8%増の179万7353事業所となった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が30億16百万円で営業利益が1億66百万円、第2四半期は売上高が32億53百万円で営業利益が1億99百万円、第3四半期は売上高が34億44百万円で営業利益が2億68百万円だった。期末に向けてストック収益が積み上がる構造である

 通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高74%、営業利益99%、経常利益102%、親会社株主帰属当期純利益105%である。販管費の一部が第4四半期に期ズレとなったことなどを考慮して通期予想を据え置いたが、第3四半期累計の利益進捗率が高水準であり、事業環境が良好であることや期末に向けてストック収益が積み上がる構造であることなども勘案すれば、通期会社予想は2回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、第3四半期累計業績を好感して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。11月17日の終値は442円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS1円56銭で算出)は約283倍、今期予想配当利回り(会社予想の97銭で算出)は約0.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS49円59銭で算出)は約8.9倍、そして時価総額は約1147億円である。情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[11月01日更新]

インフォマートは23年12月期3Q累計減益だが通期増益予想、2回目の上振れの可能性

 インフォマート<2492>(東証プライム)は10月31日の取引時間終了後に23年12月期第3四半期累計連結業績を発表した。利益面は成長に向けた戦略投資の影響で減益だが、売上面は利用企業数が増加して大幅増収と順調だった。そして通期の大幅増益予想(7月21日付で上方修正)を据え置いた。第3四半期累計の利益進捗率が高水準であり、事業環境が良好であることや期末に向けてストック収益が積み上がる構造であることなども勘案すれば、通期会社予想は2回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で水準を切り下げたが調整一巡感を強めている。第3四半期累計の高進捗率を評価して出直りを期待したい。

■23年12月期3Q累計減益だが利益進捗率高水準

 23年12月期第3四半期累計連結業績は売上高が前年同期比20.4%増の97億14百万円、営業利益が12.3%減の6億34百万円、経常利益が19.9%減の5億45百万円、親会社株主帰属四半期純利益が22.7%減の3億74百万円だった。

 利益面は成長に向けた戦略投資の影響で減益だが、売上面は利用企業数が増加して大幅増収と順調だった。営業利益89百万円減益要因分析は、BtoB−PF ES事業の売上増加+11億12百万円、BtoB−PF FOOD事業の売上増加+5億33百万円、データセンター費の増加▲1億36百万円、ソフトウェア償却費の増加▲3億39百万円、売上原価における手数料(BtoBプラットフォーム請求書におけるアライアンスパートナーへの紹介手数料)等の増加▲3億49百万円、人件費の増加▲2億77百万円、販売促進費の増加▲1億99百万円、販管費における支払手数料(BtoBプラットフォーム受発注およびBtoBプラットフォーム請求書の稼働業務の外注費)の増加▲3億08百万円、その他販管費の増加▲1億23百万円だった。

 BtoB−PF FOOD事業の売上高は前年同期比9.4%増の62億21百万円だった。BtoBプラットフォーム受発注は利用企業数が順調に増加し、フード業界の買い手企業(外食チェーン、ホテル、給食等)および店舗からのシステム使用料売上、外食の復調に伴う食材流通金額の増加により売り手企業からの従量制システム使用料が増加した。受発注ライト、TANOMUの利用も拡大した。

 BtoB−PF ES事業の売上高は46.7%増の34億92百万円だった。BtoBプラットフォーム請求書は、企業のデジタル化推進、インボイス制度の開始と電子帳簿保存法改正に向けた顧客ニーズの高まりも背景として受取モデル・発行モデルの利用企業数が増加した。TEADEの利用も拡大した。

 なお23年12月期第3四半期末時点の全社ベースの利用企業数は22年12月期末比16.6%増の96万2981社、事業所数は17.8%増の179万7353事業所となった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が30億16百万円で営業利益が1億66百万円、第2四半期は売上高が32億53百万円で営業利益が1億99百万円、第3四半期は売上高が34億44百万円で営業利益が2億68百万円だった。期末に向けてストック収益が積み上がる構造である

 通期連結業績予想(7月21日付で上方修正)は据え置いて、売上高が22年12月期比19.3%増の131億32百万円、営業利益が21.6%増の6億40百万円、経常利益が15.2%増の5億35百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が24.4%増の3億56百万円としている。配当予想(7月21日付で上方修正)も据え置いて、22年12月期比25銭増配の97銭(第2四半期末48銭、期末49銭)としている。

 事業別売上高の計画はBtoB−PF FOOD事業が9.3%増の84億42百万円、BtoB−PF ES事業が43.1%増の46億89百万円で、コスト面の計画は売上原価が22.2%増の57億93百万円、販管費が16.7%増の66億99百万円としている。売上原価ではサーバー増強に伴うデータセンター費の増加が概ね一巡するが、BtoBプラットフォーム請求書に関するアライアンスパートナー経由の新規有料契約数の増加に伴って紹介手数料などが増加する見込みだ。

 通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高74%、営業利益99%、経常利益102%、親会社株主帰属当期純利益105%である。販管費の一部が第4四半期に期ズレとなったことなどを考慮して通期予想を据え置いたが、第3四半期累計の利益進捗率が高水準であり、事業環境が良好であることや期末に向けてストック収益が積み上がる構造であることなども勘案すれば、通期会社予想は2回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪化の影響で水準を切り下げたが調整一巡感を強めている。第3四半期累計の高進捗率を評価して出直りを期待したい。10月31日の終値は357円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS1円56銭で算出)は約229倍、今期予想配当利回り(会社予想の97銭で算出)は約0.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS49円59銭で算出)は約7.2倍、そして時価総額は約926億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[10月25日更新]

インフォマートは調整一巡、23年12月期増益予想で再上振れの可能性

 インフォマート<2492>(東証プライム)は企業間の商行為を電子化する国内最大級のBtoB電子商取引プラットフォーム(飲食業向けを中心とする受発注システム、全業界を対象とする請求書システムなど)を運営している。23年12月期は増益予想(7月21日付で上方修正)としている。利用企業数が順調に増加し、販管費が想定を下回ることも寄与する見込みだ。修正後の通期予想に対する第2四半期累計の利益進捗率が高水準であり、事業環境が良好であることやストック収益が積み上がる構造であることなども勘案すれば、通期会社予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で9月の年初来高値圏から反落し、水準を切り下げる形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。なお10月31日に23年12月期第3四半期決算発表を予定している。

■国内最大級のBtoB(企業間電子商取引)プラットフォーム

 企業間の商行為を電子化する国内最大級のBtoBプラットフォームを運営している。BtoB−PF FOOD事業のBtoBプラットフォーム受発注は飲食店と食材卸・メーカー間の受発注業務を電子化したシステム、規格書は食の安全・安心に関わる商品規格書を電子管理するツール、BtoB−PF ES事業の請求書は全業界を対象に請求書発行・受取業務を電子化したシステム、商談は全国の食材売り手・買い手が商談できるマッチングサイト、契約書は契約書締結をブロックチェーン基盤上で電子化したシステムである。21年7月には全業界向け受発注BtoB TRADEをリリース、23年7月には自治体のLGWAN(総合行政ネットワーク)に対応したBtoBプラットフォーム on LGWANを本格稼働した。

 22年12月期は、BtoB−PF FOOD事業の売上高が前期比10.4%増の77億26百万円でセグメント利益(調整前営業利益)が0.8%増の21億80百万円、BtoB−PF ES事業の売上高が15.6%増の32億78百万円でセグメント利益が16億64百万円の赤字(前期は11億37百万円の赤字)だった。

 21年6月にはBtoBプラットフォーム請求書が公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の電子取引ソフト法的要件認証制度第1号認証を取得した。22年7月にはBtoBプラットフォーム契約書がJIIMAの電子取引ソフト法的要件認証」「電帳法スキャナ保存ソフト認証」を取得した。22年6月には一般社団法人日本飲食団体連合会(食団連)のオフィシャルパートナーに決定した。22年10月にはBtoBプラットフォームTRADEがJIIMAの電子取引ソフト法的要件認証を取得した。

 23年1月にはBtoBプラットフォーム契約書がサイバートラスト<4498>のiTrustと連携し、新機能「社内文書署名機能」で作成された電子証明書が法務省の商業・法人登記のオンライン申請に利用可能な電子証明書として正式に認定された。23年4月にはBtoBプラットフォームが、経済産業省が推進する「IT導入補助金2023」において補助金対象のITツールとして認定された。

■26年12月期営業利益50億円目標

 中期業績目標には26年12月期売上高200億円、営業利益50億円を掲げ、成長に向けた積極投資と収益源多角化を推進している。5年間平均のCAGR(売上高成長率)は全社16%(FOOD事業8%、ES事業30%)としている。

 将来を見据えた仕掛けとして、既存システム使用料以外の多様な収益源確保(多業界受発注、フード業界縦横展開、海外進出など)や、次世代BtoBプラットフォーム構築に向けた最先端テクノロジーの研究にも取り組んでいる。21年4月にはDX推進プロジェクト「Less is More.Project」を始動し、本プロジェクトの理念に賛同して共に活動する参画企業の募集を開始した。

 また、Food Techに特化した出資枠(ファンド)を設置し、20年6月にはAIを活用した飲食店向けの自動発注クラウドサービス「HANZO自動発注」を開発・提供するGoalsに出資して資本業務提携(22年6月に追加出資)した。さらに23年6月には、国内の旅館・宿泊業の再生支援を行うRQ旅館再生ファンド投資事業有限責任組合に出資した。

 なお、23年2月に創業25周年の節目を迎えたことを踏まえ、23年5月30日よりコーポレートブランドを刷新した。23年6月には「子育てサポート企業」として厚生労働大臣より「くるみん認定」を取得した。

■利用企業数は増加基調

 売上高の約95%が月額システム利用料であり、利用企業数増加に伴って収入が拡大するストック型収益モデルである。利用企業数は増加基調で、22年12月期末の全体の利用企業数は21年12月期末比14万5990社増加の82万5674社、全体の事業所数は21万6907事業所増加の152万6384事業所となった。また22年の流通金額は21年比62%増の30兆590億円で、コロナ禍前の19年を上回り過去最高を更新した。

 利用企業数の内訳を見ると、BtoB−PF FOOD事業の受発注の買い手企業数が21年12月期末比320社増加の3680社、買い手店舗数が2370店舗増加の6万8380店舗、売り手企業数が1908社増加の4万2028社となった。規格書の買い手機能が52社増加の944社、卸機能が7社増加の716社、メーカー機能が165社増加の8764社となった。23年6月にはBtoBプラットフォーム受発注の有料買い手利用店舗数が7万店を突破した。

 BtoB−PF ES事業の請求書は有料契約企業が2087社増加の8615社(受取モデルが1090社増加の5282社、発行モデルが997社増加の3333社)で、請求書ログインは14万6249社増加の81万6777社となった。契約書ログインは1万5540社増加の4万2836社となった。電子帳簿保存法改正による請求書電子化や「脱ハンコ」による契約書電子化の流れで、請求書と契約書が急増している。また23年7月には、BtoBプラットフォーム請求書の利用企業数が90万社を突破した。

 国内最大級のBtoBプラットフォームである。23年2月にはBtoBプラットフォーム請求書が東京商工リサーチの調査において、前回の調査に続いて請求書クラウドサービス市場における国内シェアNO.1を獲得した。23年9月にはBOXIL SaaS AWARD Autumn 2023において、BtoBプラットフォーム請求書が請求書発行部門、BtoBプラットフォーム契約書が電子契約システム部門で、それぞれGood Serviceに選出された。23年10月にはBtoBプラットフォーム請求書が、アイティクラウドが提供するITreview Grid Award 2023 Fallの請求書作成・見積書作成カテゴリの4部門、および請求書受領サービスカテゴリの2部門でLeaderを受賞した。

 BtoBプラットフォーム請求書の採用事例としては、22年3月に三井住友フィナンシャルグループ、ワコール、22年4月にトヨタファイナンス、22年5月にアイリスオーヤマ、22年6月に肥後銀行、サッポログループ物流、神戸市、22年9月にダイナムジャパンHD、22年11月に大分県、東洋水産、23年2月に学校法人國學院大學、23年6月に三井物産、23年8月に滋賀県長浜市、23年10月に三菱地所プロパティマネジメントに採用された。大企業にとどまらず、地方自治体などにおける採用も進展している。

■アライアンスを積極推進

 アライアンス戦略を積極推進している。21年2月には食品卸企業向け受発注・販促サービスのタノムと資本業務提携、21年3月には三井物産と共同出資で特別目的会社I&Mを設立し、中国フードテック企業のトップAcewillのグループ会社である博君と資本業務提携した。22年4月にはプロダクト・データ・プラットフォームを開発・提供するLazuliに出資した。

 21年10月に串カツ田中ホールディングス<3547>と業務提携して設立した合弁会社Restartz(リスターツ)は、22年11月に飲食店舗運営のDXを支援する店舗オペレーション管理アプリ「V−Manage」をリリースし、23年4月に串カツ田中ホールディングスの全ての直営店舗(155店舗)への導入を開始した。

 23年2月にはDeepworkと協業して、24年1月に完全義務化される電子帳簿保存法に対応した新サービスSTORAGE by invoxの提供を開始した。23年3月にはDeepworkと協業した新機能「発注書AI−OCR(invox)」を提供開始した。

 また、BtoBプラットフォームによる多様な価値提供の一環として、20年より決済・ファイナンス機能であるBtoBファイナンスの拡張を進めている。その第3弾の取り組みとして23年10月より、NTTデータのTetraBRiDGEとの連携を開始した。

■23年12月期増益予想で再上振れの可能性

 23年12月期連結業績予想(7月21日付で上方修正)は売上高が22年12月期比19.3%増の131億32百万円、営業利益が21.6%増の6億40百万円、経常利益が15.2%増の5億35百万円、親会社株主帰属当期純利益が24.4%増の3億56百万円としている。配当予想(7月21日付で上方修正)は22年12月期比25銭増配の97銭(第2四半期末48銭、期末49銭)としている。

 前回予想(2月14日付公表値)に対して、売上高を2億円、営業利益を3億40百万円、経常利益を3億18百万円、親会社株主帰属当期純利益を2億09百万円、それぞれ上方修正し、従来の減益予想から一転して増益予想とした。利用企業数が順調に増加して売上高が想定を上回り、販管費が人件費を中心に想定を下回ることも寄与する見込みだ。営業利益の上方修正幅3億40百万円の内訳は増収で2億円、コスト未発生で1億39百万円としている。

 修正後の売上高計画は、BtoB−PF FOOD事業が9.3%増の84億42百万円(前回予想は7.9%増の83億35百万円)で、BtoB−PF ES事業が43.1%増の46億89百万円(同40.2%増の45億96百万円)としている。コスト面の計画は売上原価が22.2%増の57億93百万円(同20.0%増の56億89百万円)で、販管費が16.7%増の66億99百万円(同21.0%増の69億42百万円)としている。売上原価ではサーバー増強に伴うデータセンター費の増加が概ね一巡するが、BtoBプラットフォーム請求書に関するアライアンスパートナー経由の新規有料契約数の増加に伴って紹介手数料が想定よりも増加する見込みだ。販管費では保守的に計画した人件費などの未発生により想定を下回る見込みとなった。

 第2四半期累計連結業績(7月21日付で2回目の上方修正)は売上高が前年同期比18.7%増の62億69百万円、営業利益が17.3%減の3億65百万円、経常利益が24.9%減の3億10百万円、親会社株主帰属四半期純利益が20.8%減の2億17百万円だった。利用企業数が順調に増加し、前回予想(4月28日付の上方修正値、売上高61億18百万円、営業利益2億円、経常利益1億63百万円、親会社株主帰属四半期純利益1億20百万円)に対して減益幅縮小して着地した。

 前年同期比では、ソフトウェア償却費や手数料など原価の増加、人件費や販売促進費など販管費の増加により減益だった。営業利益▲77百万円の要因分析は、BtoB−PF ES事業の売上増加+6億27百万円、BtoB−PF FOOD事業の売上増加+3億57百万円、データセンター費の増加▲76百万円、ソフトウェア償却費の増加▲2億06百万円、手数料等の増加▲1億94百万円、人件費の増加▲1億95百万円、販売促進費の増加▲1億34百万円、その他販管費の増加▲2億55百万円だった。

 BtoB−PF FOOD事業の売上高は前年同期比9.6%増の40億94百万円だった。BtoBプラットフォーム受発注、受発注ライト、TANOMUの利用企業数が順調に増加し、フード業界の買い手企業(外食チェーン、ホテル、給食等)および店舗からのシステム使用料売上が増加した。外食の復調に伴う食材流通金額の増加により、売り手企業からの従量制システム使用料も増加した。

 BtoB−PF ES事業の売上高は40.6%増の21億75百万円だった。BtoBプラットフォーム請求書は、企業のデジタル化推進、インボイス制度の開始と電子帳簿保存法改正に向けた顧客ニーズの高まりも背景として受取モデル・発行モデルの利用企業数が増加した。TEADEの利用も拡大した。

 23年12月期第2四半期末時点の全社ベースの利用企業数は22年12月期末比9.2%増の90万1715社、事業所数は10.4%増の168万5343事業所となった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が30億16百万円で営業利益が1億66百万円、第2四半期は売上高が32億53百万円で営業利益が1億99百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48%、営業利益が57%、経常利益が58%、親会社株主帰属当期純利益が61%である。利益進捗率が高水準であり、事業環境が良好であることや、ストック収益が積み上がる構造であることなども勘案すれば、通期会社予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪化の影響で9月の年初来高値圏から反落し、水準を切り下げる形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。10月24日の終値は360円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS1円56銭で算出)は約231倍、今期予想配当利回り(会社予想の97銭で算出)は約0.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS49円59銭で算出)は約7.3倍、そして時価総額は約934億円である。情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
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