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【大引け概況】


10日の日経平均株価は大幅に3日続伸し、終値は前日比678円54銭(2.01%)高の3万4441円72銭だった。1990年2月28日以来、約33年11カ月ぶりの高値で終えた。

 
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きょうの東京株式市場は想定外の強さを発揮した。前日の欧州株市場で主要国の株価が総じて軟調だったほか、米国株市場でもNYダウが4日ぶりに反落するなど利益確定売り優勢の地合いだったが、外国為替市場で円安に振れたことなどを追い風に半導体関連などを中心に日経平均は上値指向を鮮明とした。先物主導のインデックス買いで上げ幅を一気に広げ、一時700円を超える上昇で3万4500円台まで水準を切り上げる場面もあった。引けはやや伸び悩んだとはいえ、3万4400円台で着地し、バブル崩壊後の高値を連日で更新している。
 
外国為替市場では円相場が円安・ドル高基調となっており、輸出関連企業の業績の先行き懸念が後退するなか、国内外の投資家が積極的に運用リスクを取るリスクオン姿勢に傾いた。
 
新しい少額投資非課税制度(NISA)経由の個人投資家の買いを指摘する声も出ていた。想定外の相場の急上昇を受け、株価指数先物やコール(買う)・オプションの売り方が損失回避で先物などを買い戻す動きも上昇に拍車をかけた。
 
厚生労働省が朝方に発表した2023年11月の毎月勤労統計調査によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で3.0%減少した。名目賃金の伸びを上回って消費者物価指数(CPI)が上昇し、実質賃金は2022年4月以来、20カ月連続で減少した。減少率は10月(2.3%減)から拡大した。物価高に賃金上昇が追いつかない状況が続いており、一部市場参加者の間では日銀の早期の政策修正観測が後退。マイナス金利政策の解除は想定以上に後ずれするとの見方が強まったのも、株買いを後押ししたとの見方があった。
 
さて、東京株式市場は新年から絶好調の値動きとなっており、本日は昨年来からの課題であった3万4000円の大台超えを達成している。株価水準は33年11カ月ぶりの高さ。外国人による先物買いが需給上の最大のポイントで日本株のガバナンス期待や出遅れ感、割安感などが背景にあるようだ。上値ブレイクを果たしばかりなので、過熱感はありながらも当面は堅調な相場が続くだろう。


 

 
東証株価指数(TOPIX)は5日続伸した。終値は31.39ポイント(1.30%)高の2444.48と、昨年来高値を更新。1990年3月以来、33年10カ月ぶりの水準まで上昇した。JPXプライム150指数は3日続伸し、19.10ポイント(1.78%)高の1094.15で終えた。
 
東証プライムの売買代金は概算で4兆664億円。売買代金で活況の目安となる3兆円を大きく上回った。売買高は15億6222万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1051。値下がりは537、横ばいは69だった。
 
業種別株価指数(33業種)では精密機器、その他製品、医薬品の上昇が目立った。下落は海運業、石油・石炭製品、鉄鋼など。
 
日経平均採用銘柄では、一部証券会社の投資判断引き上げが材料視されて京セラが大幅高となったほか、オリンパス、TDK、キーエンス、ソニーグループも大幅高。また、昨日さえなかったファーストリテも買われたほか、ファナックも上昇。なお、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の上昇などを受けて東エレクも買われたが、上昇率は日経平均よりも小さかった。TDK、ソニーGも上昇した。
 
 一方、富士通が弱かったほか、住友化学、東ソーなど化学株も売られた。また、短期資金の流出などが影響して、商船三井、日本郵船も引き続き下落した。スクリン、資生堂、サッポロHDが下落した。