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《マーケットストラテジーメモ》09月5週

【推移】

25日(月):
週末のNY株式市場はマチマチの動き。NYダウは小幅続落。NASDAQは3日ぶりの反発。VIX(恐怖)指数は9.59%まで低下した。地政学リスクを背景に動き難い局面の印象。

日経平均株価は101円高の20397円と約2年1ヶ月ぶりの高値水準まで上昇。2日ぶりの年初来高値更新となった。独選挙の結果を受けたドル高ユーロ高を好感。安倍首相の2兆円規模の景気対策も追い風。海外ヘッジファンドの買いという指摘もあった。
東証一部の売買代金は2兆1452億円。東証一部の値上がり銘柄数は1499と全体の73%。イオン、NTT、キーエンスが上昇。村田。東ガス、コマツが下落。

26日(火):
週明けのNYダウは3日続落。NASDAQ、S&P500は反落。アップルの4日続落が相場の重石になった。フェイスブック、アルファベット(グーグル)、エヌビディアなども軟調。一方で自動車のGMや電機のGEなどオールドファッション銘柄は上昇。世代的新旧銘柄の主役交代の印象も残った。
また原油先物価格の上昇を受けてエネルギーセクターは堅調展開。軟調の底流には北朝鮮の地政学リスクが燻っておりVIX(恐怖)指数は4日ぶりに反発。一時は11.21まで上昇した。

独総選挙後の政治不透明感から米国債は上昇。為替市場では朝鮮半島情勢、ドイツとニュージーランドの選挙後の連立交渉、クルド人の住民投票、ブレグジット交渉やNAFTA見直し協議など不透明要因が拡大。「北朝鮮がアメリカの戦略爆撃機の撃墜を示唆したことで心理が悪化、安全資産への逃避が進んだ」という声がある。

日経平均は後場に下落幅を拡大した。もっとも東証1部の騰落銘柄数は値上がり1189、値下がり732と買いが優勢の展開。「北朝鮮リスクは上値を抑える材料とはなる。しかし株式市場へのネガティブ影響は限定的」という声が聞こえる。

9月22日時点の信用売残は前週比965億円増加し1兆1077億円。2008年8月以来9年ぶりの高水準となった。信用買残は109億円減少し2兆5829億円。信用倍率は2.3倍と低下した。リーマンショック直前の水準まで増加した信用売残。4月14日の半年期日10月14日を迎えるには踏み上げを想定した売り方には重い時間となろうか。

9月SQ値19278円、9月月足陽線基準値19691円は完全にクリア。2017年3月月中平均19340円、3月末18909円、年足陽線基準足陽線基準は19594円。これもクリア。前年比プラスの基準となる昨年末の値は19114円だ。9月上昇→10月上昇(正相関)のアノマリーもある。上向いた75日線(19894円)を25日線(19723円)が抜くとゴールデンクロス。
あと5日程度の時間が必要なだけと迫ってきた。「今回の上昇は4月の罫線に似ている。4月17日→5月8日までの上昇率は9%。9月11日以降に当てはめれば21100円」という勇ましい声も聞こえる。
PER15倍で21225円。16倍なら22640円。そこから風景は変わってくる筈。「財務省が政府保有株の郵政の売出しをするのだから9月高という単純な相場観が勝つことになろうか。

日経平均株価は67円安の20330円と反落。円相場が1ドル=111111台半ばで高止まりしたことを嫌気した売り物優勢の展開。TOPIXは前場プラス展開だったため日銀のETF買い期待はしぼみ後場に下落幅を拡大した。

東証1部の売買代金は2兆5341億円。東証1部の値上がり銘柄は1189銘柄、値下がり銘柄数は732銘柄。NTT、JR東海、国際石開帝石、住友商、JR西日本、大ガスが上昇。ソフトバンク、村田製、ソニー、日東電、菱地所、住友不が下落。

27日(水):
NY株式市場はマチマチの動き。NYダウは4日続落。NASDAQとS&P500は小幅反発。4日続落していたアップルの1.72%の上昇が少し寄与した格好。イエレンFRB議長は講演で「物価が弱くても段階的利上げの継続が必要。インフレ率が2%に戻るまで金融政策を据え置くことは賢明でない」とコメント。
12月利上げの可能性は78%まで高まった。ハリケーン「ハービー」と「イルマ」の影響でCB消費者信頼感指数が低下。新築一戸建て住宅販売戸数も8カ月ぶりの水準に落ち込んだが影響は限定的。「利上げの可能性が高まっても投資家は押し目買いの姿勢」という声も聞こえる。

イエレン議長の発言を受けて国債利回りは上昇。2年債利回り一時1.456%と2008年10月以来の高水準をつけた。ドルは対ユーロで一時5週間ぶり高値を更新。ドル円は112円台前半までの円安トレンドとなった。
「ドイツ総選挙後、スペインやイタリアなどでの政治的な不協和音の高まりに市場の関心が移っている」。そんな指摘もある。4月以降のTOPIX上昇率が10%を超えてきた。「過去の例では上半期の株価上昇率が半期末の時点で10%を超えることには意味がある。
その年度の下半期の相場堅調を示唆するサインとなっている」と大和のレポート。1970年度以降でTOPIXが上半期に10%以上上昇した年度。下半期の株価も9割以上の高確率(10勝1敗)で上昇した。平均上昇率は13.0%。上半期に株価上昇率が10%未満にとどまった年度、上半期に株価が下落した年度の、下半期の平均上昇率4%程度とは大きな差。このアノマリーは日経平均で観測しても同様の傾向。

日経平均が上半期に10%以上上昇した場合は、下半期の上昇確率は100%(10勝0敗)。上半期の株価上昇率10%達成のためには、9月末のTOPIXで1663.86以上。日経平均で20800.19円以上が必要となる計算。権利配当落ち分130円65銭を埋められなかった日経平均株価。しかし下落幅は63円安だったから実質は67円高と計算はできる。
「東証1部の売買代金は何とか2兆円に乗せた程度で商いは急減。配当・優待権利取りの買い物が霧消した格好」という指摘もある。10月からの株式併合が300銘柄。自動的に株価が10倍になった銘柄に「戸惑いがあった」という指摘もある。

前場のTOPIXの下落率が0.57%。今年は前場0.4%以上の下落で日銀のETF買いが見られるが水曜も739億円のETF買い。昨年も配当落ち日に買っていたが今年も同様だった。「配当落ちなど考慮せず機械的に買っているだけ。
しかし選挙が近い政治状況を忖度したかも知れない」という声もある。9月22日時点の裁定買い残は前週比3586億円と大幅に増加し2兆621億円。裁定売り残は前週比672億円減少し5147億円。メジャーSQを通過し、金利も少し上昇してきたことを背景に裁定取引も少しやる気が出てきた印象。
日経平均株価は63円安の
20267円と続落。TOPIXの配当落ち分は12ポイントだったが8.31ポイント安。東証1部の売買代金は2兆839億円。
東証1部の値下がり銘柄数は895と全体の44%。値上がりは815と拮抗。電産、村田製、第一生命HD。ヤマトHD、任天堂が上昇。ソフトバンク、KDDI、エーザイ、JXTG、中部電が下落。東証2部株価指数は反発。

28日(木):
NY株式市場で主要3指数はそろって上昇。S&P500は史上最高値を更新した。イエレンFRB議長の前日の発言から12月利上げ観測が高まったことが背景。ここに好調な耐久財受注が加わった。民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月比0.9%増。市場予想の0.3%増を上回って着地。ちなみに耐久財とはトースターから航空機まで3年以上使われるモノのこと。出荷も拡大傾向を維持しており米経済の基調が底堅いと認識された格好。

またトランプ大統領は税制改革案を発表。連邦法人税率は現行の35%→20%に引き下げる方向が好感された。個人事業主やパートナーシップなど、いわゆるパススルー企業に課す税は25%に設定の方向。
これを受け、市場ではインフレ期待が高まった。仮に抜本的な税制改革が実現すれば、レーガン政権下の1986年以来約30年ぶり。この税制改正案から金融セクターが上昇。

また 小型株の指標であるラッセル2000指数は1.92%上昇。上昇率は3月上旬以来の大きさとなった。「税制改革が実現すれば、小型株が最大の恩恵を受けるとみられている」という解釈だ。
国債利回りは上昇(価格は下落)。2年債利回りは一時2008年11月以来の約9年ぶりの高水準となった。「市場ではインフレ期待が高まった」という。ドルは主要通貨に対して上昇。「税制改革を巡る楽観的な見方がドルの追い風」という声が聞こえる。

日経朝刊では「為替離れする日本株」の見出し。TOPIXとドル円相場は年初から連動しにくくなった。アベノミクス以来続いてきた「株高=円安」の構図が変わってきた。背景は国際競争力を持つ企業の増加。そしてリストラなど。ソニーは15年前に1円の円高が80億円の減益要因だった。
ドル建て調達を増やしたので今は1円の円高が35億円の増益要因とされる。
新高値306(前日125)、新安値74(前日4)。株式併合の影響もあろうが300超の新高値はめった見られない数字となった。市場はアレコレと方向性を物色している状態。しかし結局は「解散・総選挙。そして、小池新党への民進合流と、何となく慌ただしい雰囲気に、投機的な人気が高まりそうな気配」という声に集約されよう。

日経平均株価は96円高の10363円と3日ぶりの反発。ドル円が一時113円台を付け140円程度上昇した場面もあった。東証尾1部の売買代金は2兆7403億円。オハラ、安永、東海カが上昇。ニトリ、KDDI、富士通が下落。

29日(金):
NY株式市場は小幅に上昇。S&P500は過去最高値を更新した。税制改革期待が継続。 税制改革で恩恵を受ける小型株の指標ラッセル2000指数も続伸。上昇の中心はヘススケア関連。個別ではマクドナルドの上昇が寄与した。もっとも上値は重い展開。
S&P500の予想PERは17.9倍で、長期平均の15.1倍を上回った水準。ラッセル2000の予想PERも26.3倍と、平均の21.3倍を上回っている。バイオ関連の上昇は米国でもノーベル賞関連セクターが物色されているということだろうか。

債券市場では税制改革への懸念が台頭。2年債利回りは一時9年ぶりの高水準まで上昇(価格は下落)。10年債利回りも11週間ぶりの水準に上昇した。第2四半期のGDP確報値は、年率換算で前期比3.1%増に上方修正。ただ為替市場はほとんど見えないフリの状況。

9月第3週の海外投資家は3週連続で売り越し。売越額は611億円で前週の4172億円からは縮小。個人投資家は2週連続で売り越し。売越額は3180億円。前週は4252億円の売り越し。信託銀行は2週連続の売り越し。売越額は1008億円。前週は1043億円の売り越し。先物では海外投資家は2週連続で買い越し。買越額は8792億円。前週は1兆125億円の買い越しだった。
証券会社の自己売買部門は2週連続で売り越し。売越額は5423億円。前週の7066億円からは縮小した。

「月の第一営業日は昨年7月以降負けなし」のアノマリーもある。陽線はカ月ぶり、そして3カ月ぶりの反発。「警戒された9月が、真逆の結果」と市場関係者。
アノマリーでは、9月高→10月高。1995年以降の21年間で、9月、10月と同方向に動いた年は13回(61.9%)。10月と11月が同方向に動いたのは15回(71.4%)。

日経平均株価は6円安の20356円と小幅に反落。TOPIXも小反落。「大引けにかけては日経平均構成銘柄の銘柄入れ替えに伴う売りが幅広い銘柄に出る」という見方があったが下落幅は限定的だった。
むしろ「後場、一時プラスに転じる場面もあり「断続的な先物買いに現物指数が引っ張られた印象。「日銀のETF買いや中間期末のお化粧買いなど需給的な思惑」という声が聞こえる。一方で日経225オプションでは期先の11月限で権利行使価格1万9000円のプット(売る権利)が買われた。「衆院選後に日経平均が1000円ぐらい下に動くとみた買いととらえることもできる」という解釈だ。

東証1部の売買代 金は2兆9564億円と拡大。東証1部の値上がり銘柄数は847、値下がり銘柄数は1067。小野薬、第一三共、東エレ、日本郵政、東芝が上昇。いすゞ、ヤマト、東ガスが下落。

(2) 欧米動向
世界経済フォーラムが発表した2017年版の「世界競争力報告」。
日本の総合順位は前年比1つ下がり9位になった。
順位低下2年連続。
アジア勢ではインドネシアとベトナムが大幅に順位を上げた。
1位(前年1位)スイス、2位(同3位)米国、3位(同2位)シンガポール、4位(同4位4)オランダ、5位(同5位)ドイツ、6位(同9位)香港、7位(同6位)スウェーデン、8位(同7位)英国、9位(同8位)日本、10位(同10位)フィンランド。
小さなことにこだわらないほうが良いかも知れない。

(3)アジア・新興国動向

先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち12指数が上昇。
上位1位ドイツ週間騰落率1.88%、2位ロシア1.20%、3位フランス0.92%、
4位タイ0.85%、7位日本0.29%、8位米国0.25% 。
下位25位インド▲2.00%、24位ブラジル▲1.45%、2位フィリピン▲1.33%、22位香港▲1.17%、21位トルコ▲1.17%。


【展望】

スケジュールを見てみると・・・

2日(月):日銀短観、米ISM製造業、建設支出、ノーベル医学生理学賞、韓国休場(〜9日)
3日(火):マネタリーベース、消費者態度指数、シーテック(〜6日)、ノーベル物理学賞
4日(水):投資の日、米ADP雇用レポート、ISM非製造業、ノーベル化学賞、台湾休場
5日(木):米製造業受注、貿易収支
6日(金):景気動向指数、米雇用統計、消費者信用残高、ノーベル平和賞


【10月】

2日(月)2日新甫、日銀短観
3日(火)家電・IT見本市「シーテックジャパン」(幕張メッセ)
4日(水)ECB理事会、上げの特異日
5日(木)変化日
6日(金)満月
9日(月)体育の日で休場、コロンブス・デーでNY為替休場
10日(火)マイクロソフトオフィス2007サポート終了、「みちびき4号」打ち上げ
11日(水)変化日、大幅高の特異日
12日(木)G20財務相・中央銀行総裁会議
15日(日)セーリングワールドカップ開催(蒲郡)
13日(金)オプションSQ、IMF世銀年次総会(ワシントン)
16日(月)上げの特異日
17日(火)変化日
18日(水)米ベージュブック、中国第19回全国代表大会
19日(木)EU首脳会議、ブラックマンデー30周年
20日(金)変化日
25日(水)東京モーターショー(一般公開27日)
27日(金)変化日
28日(土)プロ野球日本シリーズ開幕
29日(日)欧州サマータイム終了
30日(月)日銀金融政策決定会合
31日(火)米FOMC(〜1日)


【過去の権利落ち日から1カ月後の日経平均株価】
権利取り最終日  配当落ち分 4週間後の株価上昇幅
17年9月26日 130円      ?
17年3月28日 130円    ▲124円
16年9月27日 114円      681円
16年3月28日 127円      305円
15年9月25日 110円      945円
15年3月26日 110円      717円


渡辺淳一氏作品の日経連載と日経平均株価の推移。

★「化身」1984年4月1日〜85年11月1日 11050円→12808円
1758円の上昇。
★「失楽園」1995年9月1日〜96年10月9日 18120円→20870円
2750円の上昇。
★「愛の流刑地」
2004年11月1日〜2006年1月31日 10734円→16649円
5915円の上昇。
★「私の履歴書」2013年1月1日〜31日 10688円→11138円
450円の上昇。

高樹のぶ子氏
★「甘苦上海」
2008年9月30日〜2009年10月31日 11259円→10034円
▲1225円下落。

林真理子氏
★「愉楽にて」2017年9月6日(19357円)〜

ノーベル賞関連銘柄は結構話題になる。
宮坂力・桐蔭横浜大特任教授が研究する「ペロブスカイト」と呼ばれる結晶構造の物質を使った太陽電池関連。
ペロブスカイトを販売する堺商事(9967)、藤森工業(7917)、やテクノスマート(6246)、フジプレアム(4237)。
光触媒の発見に貢献した藤嶋昭・東京理科大学長。
「分子マシーン」研究者の新海征治・九州大特別主幹教授。
「カーボンナノチューブ(CNT)」の飯島澄男・名城大終身教授。
リチウムイオン電池を開発した吉野彰・旭化成(3407)フェロー。
小野薬品工業(4528)の抗がん剤「オプジーボ」関連の免疫抑制タンパク質「PD-1 」を発見した本庶佑・京都大名誉教授。
「制御性T細胞」を見つけた坂口志文・大阪大特任教授。
「神の技術」とも呼ばれる「クリスパー」の遺伝子配列を発見した石野良純・九州大教授。
超電導や光ファイバー増幅器関連では古河電工(5801)。
クリスパーによる遺伝子改変マウスの作製受託サービスを手掛けるトランスジェニック(2342)。
DDSで国立がん研究センターと緊密なナノキャリア(4571)。
光ファイバー増幅器向け部品でフルヤ金属(7826)。
量子テレポーテーション関連のシグマ光機〈7713〉。
文学賞関連では文教堂(9978)。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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