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06月2週
【推移】

5日(月):
NY株式市場は主要3指数が終値ベースの過去最高値を連日の更新。雇用統計は、非農業部門雇用者数が13.8万人増と市場予想の18.5万人増を下回って着地。
過去2カ月分も6万6000人下方修正された。時間当たり賃金は前月比0.04ドル(0.2%)増。失業率は0.1%ポイント低下の4.3%と2001年5月以来16年ぶりの水準をつけた。市場予想よりは低調な雇用統計だったが6月利上げの予想は変わらず。市場は90.7%の確率で織り込んでいる。市場が雇用統計よりも他の労働指標や経済指標をより信頼するという「いいとこ取り」の奇妙な構図。

ハイテク関連セクターが上昇をけん引した。週足ではS&Pが0.95%、NYダウが0.59%、NASDAQが1.54%の上昇。
トランプ大統領が気候変動対策の枠組み「パリ協定」からの離脱を正式に表明したことは市場的には悪材料視。米国内のシェール掘削が一段と活発化し、原油の過剰供給問題がさらに悪化するとの懸念から原油先物が下落。エネルギー関連セクターは下落した。

週末の日経平均は寄り付きからすぐに2万円台を回復。5月16日にあと1円51銭まで迫りながら届かず、その後に3ケタの下落となった失速感は払しょくされた。2015年12月の高値20012円も一気に上回った。「次の節目の2015年6月の20952円までは抵抗は少ない」という声も聞こえてきた。もっとも日経平均は大幅高。週間では490円の上昇となり、週足では2週連続で陽線。しかし週前半のマーケットをけん引したマザーズ指数は11日ぶりのマイナス。

週末発表の軟調だった5月雇用統計などは話題にもならずの週明け。とはいえ小幅なプラスとマイナスを繰り返し終値はマイナスだった月曜の東京株式市場とでも解釈できよう。「弱材料に対する耐性はついている」というのは高値局面でよく聞く言葉。その昔は「今日の高値は明日の安値」という言葉があったことも思い出される。
TOPIXが1600ポイント台に乗ってきたが、むしろこちらの出遅れ感の方が目立つ。2015年8月高値1702ポイントが一つの目標だ。ドル建て日経平均でさえ182.98ポイントまで高値を更新。比較すれば出遅れ感は顕著だ。

25日線(19727円)からのかい離はプラス2.2%。2012年12月のアベノミクススタート時にゴールデンクロスした12カ月移動平均と24カ月移動平均。昨年6月にデッドクロスしたが5月に再びゴールデンクロス。中長期的な紙芝居チックな支えになろう。日経平均株価は6円安の20170円と3日ぶりの反落。任天堂、ソフトバンクが上昇。トヨタ、みずほが下落。

6日(火):
週明けのNY株式市場は3日ぶりの反落。もっともNASDAQはザラバの史上最高値を更新する場面もあった。英ロンドン中心部でのテロ。
サウジアラビアなどがテロ組織を支援したとしてカタールとの国境を断絶。これら地政学リスクの高まりから売り先行の展開となった。もっとも中東の混乱は原油価格の上昇につながりエネルギー関連セクターは上昇。長期金利低下一服から金融セクターが反発。
悪材料を逆手に解釈するという高値圏特有の動きだろうか。

JPX日経中小型株指数が06年8月以来の高値水準まで上昇。全体かさ上げの方向は続いていると見るべきだろう。「また2日天下ですか」とか「6月6日は6月で一番上昇確率が低い株安の特異日」などの声。円高進行を嫌気した格好での2万割れとなった。
特に大引け間際のウリが嫌な余韻を残した印象。「日足は不気味な大陰線」と表現までおどろおどろしい。「短期系ファンドのドル売りを仕掛けた」から発展しての株安。
メジャーSQ前の特有の減少と見るか、スケジュールの集中の影響と見るかということになる。日経平均リンク債のノックアウト水準が20200円レベルというのももっともらしい解釈に聞こえてくる。

大引けの日経平均株価は190円安の1万9979円と続落。6月1日以来、3日ぶりに心理的な節目となる2万円を割り込んだ。「海外ヘッジファンドや投信の解約売り」などとの観測も聞かれる。FBIのコミー前長官が米議会証言や英総選挙とECB理事会を控えているという理由も言及された。

東証1部の売買代金は2兆4671億円。東証1部の値下がり銘柄数は1635と、全体の81%。東芝、旭化成、JAL、アサヒ、三菱商、キリンHD、信越化、ANAHDが上昇。ソフトバンク、ファナック、ファストリ、武田、エーザイ、アステラス、ヤマトHD、いすゞが下落。

7日(水):
NY株式市場は続落。「コミー前FBI長官の議会証言や英総選挙、ECB理事会などを控えた買い手控えムード」との解釈。「8日には多くのイベントがありポジションを軽くしておきたい」という声も聞かれる。個別では小売セクターの下落が目立った格好。
長期債利回りは一時7カ月ぶりの水準に低下。こちらは「イベント控えで安全資産としての米国債買い」との解釈。中国の米国債買い増加観測も債券市場の買い材料視された。10年国債利回りは一時2.129%まで低下。「2.0%を試しにいく」という声や「民主党がトランプ氏に抵抗し、共和党が主導権をとることに失敗すれば、トランプ政権の財政刺激策はそもそも初めから頓挫。
その場合10年債利回りは早い時期に1.30%に向けて低下する」という極端な見方も登場した。債券利回りの低下を受けてドル・円は4月21日以来の安値となる109.23円まで下落。一時200日移動平均を割り込んだ。

足元IT関連銘柄の業績の堅調さとトランプ政権の政策執行能力の綱引きのような格好だ。2日時点の信用取引の買い残は2兆4138億円。前週比374億円減。減少は3週ぶり。信用売り残は前週比114億円多い1兆315億円。2週連続の増加。2008年9月以来、8年9ヶ月ぶりの水準まで増加した。

騰落レシオは111.10%と1ヶ月ぶりの水準に低下。空売り比率が38.0%(前日36.1%)と40%に乗せなかったのは救いだ。日経∨Iも14.51と変化なし。25日線(19756円)からの乖離はプラス1.13%まで低下。「ドル円と株価の逆相関」という指摘。
2010年1月以降ドルと日経平均が月間ベースで逆相関になったのは13回。そのうち日経平均がプラスだったのは11回。結論は「ドルと株価が逆相関な時の指数は堅調な傾向」。加えると、この場合、日経平均は米国株よりも好パフォーマンスのことが多かった。日本株が米国株を上回ったのは13回中7回。「円安が進まないといって悲観することはない」だったが、昨日の動きで残念ながら劣勢になってきた印象。

3日ぶりに2万円台を一時回復したSQ週の水曜日だった。前引は63円安。午後になってプラスに転換。明日への期待が漂ったということだろう。指数が反発しても商いは減少。6月に入って最低の売買代金だった。「コミー前FBI長官の証言は材料としては既に一度消化済み。ECBは悪いアナウンスは出さない。英総選挙は保守党が苦戦となってもEU離脱は方向が薄れるだけ」。
イベント通過が重要との声が聞こえる日経平均株価は4円高の1万9984円と3日ぶりに小反発。「買い遅れていた国内外の投資家が押し目買いに動いた」との解釈。
むしろ円高が進まなかったことからの買い戻しという方が正しいかも知れない。一時2万円を上回る場面もあった。東証1部の売買代金は概算で2兆3239億円。

東証1部の値上がり銘柄数は1150で全体の57%。東エレク、アドテスト、三井ハイテク、JDI、東芝が上昇。アインHD、ハウス、信越化、任天堂、ファストリ、ユニファミマ、MS&ADが下落。


8日(木):
NY株式市場は3日ぶりの反発。コミー前FBI長官の議会証言に新たな事実は含まれていないという見通しが安心感につながったとの解釈。とはいえ英総選挙やECB理事会がまだ控えているのも事実。通過することが重要であることに変わりはない。

週間在庫統計で原油在庫が予想外に増加し、原油価格が5%超急落。エネルギーセクターは軟調だった。10年債利回りは2.17%台まで上昇(価格は下落)。「市場はコミー氏の証言からより悪い材料が出てくることを織り込んでいた。リスクがひとつ解消された」という声が聞こえる。
一方で「アレコレ言っても証言が行われるのはこれから。資本市場は、実際の出来事に即して反応するだろう」という指摘もある。

裁定買い残高は3週連続で減少。前週比1169億円減の1兆8469億円。裁定売り残高は5週ぶりに減少。前週比298億円減の2401億円。日経平均株価は75円安の19909円と反落。三菱UFJ、東芝、トーセが上昇。トヨタ、ソフトバンク、東エレが下落。

9日(金):
NY株式市場は小動きの展開。コミーFBI前長官の上院情報委員会の公聴会証言は特に波乱なく通過。ECBはユーロ圏の物価見通しを引き下げる一方で利下げ打ち止めの方針を示したことを受け欧州株は不安定な動きとなった。
週刊新規失業保険申請件数は前週比1万件減の24.5万件だった。「最近の雇用拡大ペースの減速にもかかわらず、労働市場が引き締まっている」との解釈。残る6月8日イベントは英国総選挙となっている。

「日銀が異次元緩和の出口を巡る議論について姿勢を改め、市場との対話を重視する方向に修正しつつある」日銀も出口戦略を意識し始めたとの一部報道が売り材料視された木曜日。「出口論が出てきて、それに市場が反応し始めた」ということは金融緩和の縮小、金利上昇観測。
本来であれば正常に戻ってきたというサインなのだか、教科書的にネガ視するのは市場の誤解なのかも知れない。

5月第5週の外国人投資家は9週連続で買い越し。買越額は4282億円と大きい。個人は2週連続で売り越し。売越額は3217億円とこれも大きい。信託銀行は3週ぶりの売り越し。都銀・地銀等は10週連続で売り越し。海外からの買い、国内の売りの構図は変わらない。SQを通過すれば足かせも取れるように思えるのは気のせいだろうか。大引の日経株価は104円高の20013円と反発。4日ぶりに終値ベースの2万円台を回復した。英国総選挙での与党苦戦の影響は限定的だった。東証一部の売買代金は3兆2000億円。SQ値19997円は上回った。東証一部の値上がり銘柄は952と全体の45パーセント。東芝、東エレが上昇。フイルム、花王が下落。

(2) 欧米動向
OECDの経済見通し。
2017年の日本経済の実質GDP成長率は1.4%。
昨年11月時点比0.4ポイント上方修正された。
2018年見通しが1%に乗ったのは救い。
日本16年1.0%(11月比+0.2)、17年1.4%(+0.4)、18年1.0(+0.2)。
米国16年1.6%(+0.1)、17年2.1%(−0.2)、18年2.4%(−0.6)。
ユーロ圏16年1.7%(0)、17年1.8%(+0.2)、18年1.8%(+0.1)。

世界の半導体市場は今年11%拡大。
3778億ドル(41.4兆円)の市場になるとの見通し。
2年連続で過去最高を更新。
スカホ・車載の伸びが牽引し、半導体メモリーは30%増。
特にNAND型フラッシュメモリーの伸びが顕著。
センサーも13.9%増だ。
半導体製造装置の出荷については1〜3月は58%増の131億ドル(1.4兆円)。
3月は単月ベースでの過去最高を記録した。


(3)アジア・新興国動向
先週の世界の株式相場は主要25株価指数のうち12指数が上昇。
上位1位中国週間騰落率1.70%、2位ベトナム1.48%、3位ポーランド1.19%、
4位フィリピン1.04%、5位イタリア0.93%、11位米国0.31%。
下位25位スイス▲2.19%、24位豪州▲1.81%、23位南アフリカ▲1.39%、
22位インドネシア▲1.17%、20位日本▲0.81%。


【展望】
スケジュールを見てみると・・・

12日(月):機械受注、企業物価指数、米財政収支
13日(火):法人企業統計、米FOMC(〜14日)、生産者物価、独ZEW景況感
14日(水):米イエレンFRB議長会見、小売売上高、消費者物価、中国鉱工業生産、小売売上高
15日(木)日銀金融政策会合、新築マンション販売、米NY連銀景気指数、鉱工業生産
16日(金):黒田日銀総裁会見、米住宅着工件数、ミシガン大学消費者信頼感、AIIB年次総会

【6月】
13日(火)米FOMC(〜14日)
14日(水)変化日
15日(木)日銀金融政策決定会合(〜16日)
16日(金)米メジャーSQ
18日(日)フランス下院選第2回投票、海王星逆行開始
19日(月)パリ国際航空ショー(〜25日)、変化日
20日(火)ザ・コンシューマー・グッズ・フォーラム・サミット(〜23日ベルリン)変化日
21日(水)ECB理事会、上げの特異日
22日(木)EU首脳会議(ブリュッセル・〜23日)
24日(土)新月
25日(日)ラマダン終了
29日(木)上げの特異日
30日(金)変化日、通常国会会期末

★内閣府が作成した6月2日付けの資料は「科学技術イノベーション総合戦略2017【概要】」

http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihui030/siryo1-1.pdf

★経済財政諮問会議で登場した「骨太の方針」の素案。
登場したのは「働き方改革」、「子育て安心プラン」、「消費と民間投資の喚起」など。
健康・予防分野の需要喚起というのが目につく。
そして「沖縄振興」や「国土強靭化」もある。
キーワードが「Society5.0」であることは変わりない。


http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0602/shiryo_02.pdf

先週から登場してきたアノマリーは月末安月初高。
NY市場の月末はこの1年で3勝9敗。
ところがその翌日となる月初の日経平均は12連勝。
昨年7月106円高(前日のNYダウは235ドル高)
8月66円高(同24ドル安)
9月39円高(同53ドル安)
10月148円高(同164ドル高)
11月17円高(同18ドル安)
12月204円高(同1.98ドル高)
1月479円高(同57ドル安)
2月106円高(同107ドル安)
3月274円高(同25ドル安)
4月73円高(同65ドル安)
5月113円高(同40ドル安)
6月209円高(同20ドル安)。

12月3月6月と決算開示終了翌月に200円以上の上昇となる傾向が指摘されている。
「好業績を受けて株式の割安度合いが高まるからだろう」という声も聞こえる。
「月初に、資産ウェイトを変更するタイミングが集中」という指摘もある。
アノマリーは皆が言い始めると途絶えるのがお約束。
今月末と来月初が楽しみだ。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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