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12月4週
【推移】

19日(月):
週末のNY株式市場は小幅反落。不動産や公益セクターが堅調だったが収益が悪化したオラクルの下落などIT関連が下落した。「中国海軍が南シナ海の公海上で米国の無人水中探査機を奪ったとの報道で、投資家がリスク回避姿勢を強めた」との指摘もある。

11月8日の米大統領選以降5週間でSP500は5.5%上昇。NYダウは8.2%上昇。
しかも週末の先物決済を通過。3市場の売買高は108億株まで膨らんだ。週間ベースではNYダウは0.4%上昇し6週続伸。累計で10.9%上昇。NASDAQ、S&P500ともに小幅反落。クリスマス休暇までのお休みモードも台頭しそうな気配。リスク オフの警戒感もやや高まる可能性が出てきた。

日経平均は連日の高値更新で週末まで9連騰。週間では約404円の上昇。週足は6週連続で陽線となった。累計で14.8%上昇。TOPIXは週間で1.7%上昇し6週続伸。累計15.1%上昇。マザーズ指数は4週ぶりの反発。日経ジャスダック平均は6週続伸。「トランプ当選以降、日経平均は3149円上昇。1日平均だと121円。2万円まであと598円。約5日で2万円達成の可能性」という声もある。
9日続伸は昨年5月の12日連騰以来。7日連続で年初来高値を更新した。

気になるのは3日連続の日足陰線=三羽烏。高寄りあとに伸びきれていないところが上値を変えない無意識の弱さでもあろうか。実態と現実の多少のかい離に気が付けば売り方は米中衝突の可能性などを持ち出してくるのかも知れない。FOMCとSQ通過で海外投資家はク スマスモード。商いの低下は予想される。

ただ昨年末終値19033円は抜けた。年末の「掉尾の一振」や年初の株高などへの期待感が交錯し始める季節となってきた。
土曜日経で目についたのは「長期金利0.100%巡り攻防」。日銀のけん制が出るのかどうかが課題と言うこと。1月29日のマイナス金利の導入が今年の相場の重石になったとのことを日銀が認めるのかどうか。
もしも金利上昇をけん制しないならばそういうことになる。あるいはけん制するならば、日米金利差は拡大。円安進行シナリオ。株の相場だけを見ていると見えないこともある。月曜日経でわからなかったのは今週の市場の株式欄。
「心理的な節目の19500円」という記載。心理的節目と思っている人はどれだけいるのだろうか。95年12月高値20023円というような根拠のある数字が欲しいところ。

日経平均株価は9円55銭安の19391円と10日ぶりに反落。残念ながら10日続伸とはならなかった。「あと数円」で届かなかったのは、売り方の防御姿勢の高まりだったのだろうか。あるいは「いいことばかりが続く訳はない」と言った悟りの展開だったのだろうか。売買代金は2兆円割れとなっており物足りなさの残る動きだった。
日銀金融政策決定会合開催中だが話題にもならない。年末は方向感がないながらも強いといういつもの動きに戻ったのかも知れない。それでも新高値115銘柄は評価するべきだろう。「一度水入りでリセット」とでも考えるべきだろう。
先週52週移動平均を26週移動平均が上抜けた。いわゆる長期のゴールデンクロス。相場の風景は少し変わったと見て良かろう。クリスマス休暇で外国人投資の不在が目立ち、上値を追う買い手が不在だったことも響いた。
東証1部の売買代金は2兆1437億円と低調。売買高は17億3743万株と11月8日以来の少なさだった。ソニー、キーエンスが上昇。任天堂、DeNAが下落。

20日(火):
「倍返し」という視点は大和のレポート。
まずは日経平均。17613円(4/25) →14864円(6/24)の押し幅▲2749円。倍返しは20362円。
そしてNYダウ。18351ドル(2015/5/19)→15370ドル(2015/8/24)の押し幅▲2981ドル。倍返しは21332ドル。
NYダウと日経平均のアベノミクス相場以降の差は平均900ポイント程度と。加えてNY市場の税と株価の関係を興味深く分析。

米投資雑誌バロンズの記事は「1月初めの相場に注意」。「トランプ氏は所得税の最高税率を39.6%から33%に下げることを提案。来年決定すれば1月に遡っての適用が期待される。利食い売りは年明けの方が得になるかもしれないので、今は利食いが止まりやすい。税率が下げられるかも知れない現状。

1月1日以 降に売れば2018年4月の納税期限までキャピタルゲイン税の支払いを様子見できる。今は強気の群集はポジションを減らさないだろう」。
つまり「来年、個人は所得減税が行われる可能性があるので、来年になってから利食いを入れた方が得になる可能性大。今は売りが止まっている」。よって表題は「1月初めの相場に注意」。
バロンズの記事が米国内で広まる結果→減税とは関係がない機関投資家の動きを想像すると「年初からの個人の売りを見越して先回りの売りを出す懸念」。もっともその先には5月頃までの30兆円に及ぶ税還付の買いというユーフォリアもあるます。「新債券王」の異名を持つダブルライン・キャピタルのガンドラック氏。

因み に09年創業のダブルラインの運用資産は1000億ドルを超えるという。言っていることは「トランプラリーはもうすぐ終息するだろう。都合の良い解釈に市場は転じたが現実には財政支出の効果は当分先。投資家は幻滅し市場は一進一退が続くだろう。中低所得者は使うお金がない。
富裕層は反トランプが多く消費を増やす雰囲気ではない。そして金利。財政悪化を踏まえると今後5年で米10年債利回りは6%まで上昇するだろう。ただトランプ政権当初の景気は期待外れの可能性大。利上げには慎重になり1〜3月期は様子見だろう」。ココまではポジショントークなのかも知れない。
その上で「トランプ政権で有望なのは金融株。オバマ政権での金融 規制の見直しが想定される。長期金利の上昇に伴う長短金利差の拡大が期待される」と。正論と思えるのは以下のくだり。「マイナス金利政策で金融機関の収益に打撃を与えれば実体景気は良くならない。これがハッキリした。欧州では長期金利がプラス圏に浮上し最悪期を脱した。日本もそうすべきだ」。「金利上昇→株安」のドグマに入った専門家が宗旨変えすることはないのだろうか。前場は足踏み、後場は日銀金融政策決定会合を通過して株高加速。

日経平均は高値を更新し一時19500円台を回復した。「景況判断が上方修正されたことを受け後場は内需関連株中心に買いが増加」という指摘もある。ただ後場の上昇の原動力は金融ではなく値がさハイテク関連中心。「中小型も物色意欲旺盛」との声も聞かれる。
6月24日安値から半年。買い戻しの動きも多少あるのだろう。「個人が小型・材料株なら、ファンド系資金が値がさ株で短期張り。師走らしいもちつき相場」というのが妥当なところだろう。
日経平均株価は102円高の19494円と反発。日銀金融政策決定会合通過で後場から買い物優勢となった格好。
きょうVIは17.75と2週間ぶりの水準に低下した。東証一部の売買代金は2兆3388億円と売買エネルギーは低下。キーエンス、東エレ、イオンが上昇。三菱UFJ、パナソニックが下落。

21日(水):
NY株式市場は堅調展開。NYダウとNASDAQは終値ベースの史上最高値を更新した。特にNYダウは2万ドルの大台をあと25ドル程度の射程圏に捉えた。
背景はトランプ次期大統領の規制緩和とインフラ支出の政策への期待感の継続。大統領選挙以来NYダウは9%、S&P500は6%の上昇となっている。

クリスマス休暇での薄商いの中で熱気は膨張。「NYダウが初めて1万ドルを超えたのは1999年。2万ドルは大きな節目となる。2万ドルを超えれば相場上昇が続くシグナルになる」という声も聞かれる。トルコやドイツなどのテロ攻撃による影響は少ない。「投資家は大統領選挙後の株高傾向から大きく離れることに抵抗を感じている」との解釈。
2万ドルが指呼の間に迫ってきた。

為替市場ではユーロが対ドルで約14年ぶりの水準まで下落。FRBのイエレン議長が雇用情勢の明るさに言及したことが背景とされる。一方、日銀金融政策決定会合での現状維持を受け円は対ドルで反落。「いくばくかの緩和縮小を予想していた一部市場参加者が円売りに動いた」という声が聞かれる。
対ユーロでのドル高が対円でのドル高円安に傾けていると見ることもできようか。債券市場では「FRBは6月以前には追加利上げをしない可能性」との見方が支配的。

日銀は景気見判断を上方修正。「緩やかな回復基調を続けている」とした。そして「円安は驚く水準ではない」。為替は戻っただけだから間違ってはいない。重要だったのは長期金利の誘導目標をゼロにしたこと。日米金利差拡大思惑からの円売りドル高となった。ということは、一定以上の円安になれば誘導目標にプラスにできる。この意味は結構大きい。
トレンドで円高になってもプラス金利は市場の嗜好。悪くない展開となってきた。
一方で政府は閣議で2017年度の経済見通しを実質1.5%、名目2.5%とした。
民間予測では実質1.1%、名目1.4%増の見通し。政府見通しの強気は例年のこと。もっとも基準の改訂があったことから意外と政府見通しも悪くはないような気がする。

日経平均株価は50円安の19444円と反落。「国内機関投資家の利益確定売りが膨らんだ」との解釈。下落幅は一時100円を超える場面があった。東証1部の売買代金は2兆4195億円。意外とエネルギーは減少していない。日電産、日産自、アサヒ、ファストリ、ヤマトHDが上昇。パナソニック、三菱ケミ、富士通、HOYA、東ガスが下落。

22日(木):
今年のチャートは1995年と似ているという指摘がある。始値19724円→7月安値14295円→12月高値20023円。大納会終値は19868円だった。となると2万円ワンチャンスの可能性はまだあるということ。翌1996年は大発会19945円→高値22750円。安値18818円。今回も形は似てきた印象はある。

先週まで5週連続売り越しで1兆9600円売った個人。5週連続で買い越し2兆1700億円買った外国人。「本来はこの構図が鬼のいないクリスマスまでに変化すれば大納会は明るい」という声も聞かれる。
興味深い指摘は「1983年以降のS&P500とTOPIXの共通点」。
(1)ともに株価は約2.5倍に上昇。(2)上昇の背景には長期金利の低下。振り返ってみた分析。91年末まで上昇し「株価は買われ過ぎ」との声。しかしそれまでのディフェンシブ銘柄から景気敏感株へと相場の柱が移行。
2000年ITバブルに向けてさらに約3.5倍に上昇した。先週起きたことは日経平均の週足でのゴールデンクロス。26週移動平均(16958円)が52週移動平均(16878円)を1年ぶりに上抜いた。長期上昇トレンド入りのサインでもあろうか。

日足では11月に100日線が200日線を上抜いてからトランプ氏が大統領選勝利。「2015年6月22日高値(20868円)奪還への一里塚」という声も聞かれ始めた。
2万円など「志が小さい」ということになろうか。「年末19000円があるかも」と言っていたのは空しく聞こえそうな気配。
そうすると荒唐無稽にも思えた「サクラコール」も現実味を帯びてきた。桜の花が咲く頃に満期を迎えるオウト・オブ・ザ・マネーのコール買い。21500円コールなどが結構商いをし始めたのはそれこそ「サクラコール」なのかも知れない。市場では「ボラは日経VIがまだ17%台。まだ仕込みどき」との声も聞かれる。

日経平均株価は16円安の19427円と小幅続落。ただ「下値では相場上昇に乗り遅れた投資家の押し目買いが入り、底堅く推移した」という声も聞こえる。3連休控えで投資家の様子見姿勢は強かったものの東証1部の売買代金は2兆1590億円。
昨年はクリスマスから大納会まで2兆円を割れることが多かったが今年はややエネルギーは拡大している。富士重、日産自、ホンダ、東レ、富士フイルム、アドテスト、コナミHDが上昇。小野薬、TDKが下落。

(2) 欧米動向

バンカメ・メリルのレポートでは「14日までの1週間に世界の株式ファンドに210億ドルの資金が流入。
入額は記録上9番目の大きさとなった。
債券から株式への資金の流れ=グレートローテーションが加速した」と指摘。
多少の日柄整理という印象。

「1963年5月から2016年9月までのS&P500の週間リターンと10年国債利回りの関係。
10年国債利回り5%が境界線でそれより低ければ株式リターンはプラス。
高ければマイナス」。
足元、10年国債利回りは2.5%程度。
「まだまだポジティブ」と。
もうひとつ興味深いのは大和のレポート。
「18世紀からのコンドラチェフ波動と米長期金利」。
昨日日経朝刊マーケット面の「長期循環論が示す米金利の行方」。
結論は「数十年単位の大きな景気のうねりで見ても低金利時代は岐路を迎えている。
米金利は長期に及ぶ上昇局面に入った可能性がある」。
レーガノミクスとトランプノミクス。
コンドチェフ循環に代表される50〜60年周期の長期循環論で金利を見ると全く正反対だという。
「1900年以降2回の山をこなしながら大きく波打っている。
2回目のピークにあたるのが80年代前半、
金利は一時20%近くになったがその後低下。
81〜82年をピークに現在まで続く金利低下が始まった。
今は低金利が極まった状態。
計算上は2016年が金利の大底になる。
参考になるのは前回の金利の大底だった1940年代〜50年代。
米長期金利は2%前半で10年程度推移。
底固めに時間がかかっていた。
今回も同様なら横這いで多底を確認。
数年〜数十年の上昇局面に入る可能性がある」。
面白いのは
市場関係者のコメント。
「市場で不透明材料とみなされているトランプ氏の政策はもちろん、
地政学的リスクすら飲み込むほどのインパクトがある」。
大和のレポートでの指摘は「デフレ脱却に対する処方箋を考える際の有効な経験は1940年代アメリカ。
財政支出の削減→実質金利下落せず→金利の釘付け(2.5%にペッグ)→完全雇用法義務付け。
大恐慌時に25%までいった失業率は1940年代には1%台まで回復。
人手不足の中でも金融緩和と財政刺激を続けたことが長期停滞克服の要因だったという。
1940年に2.1%だった米長期金利。
1981年に13.98%となり31年後の2012年に1.634%で底打ちした。
これは1949年の2.18%から63年後だった。

(3)アジア・新興国動向

「中国の米国債保有2位に」との報道。
10月末の米国債保有残高。
日本1兆1319億ドル(45億ドル減)。
中国1兆1157億ドル(413億ドル減)。
人民元の下落に対する当局の為替介入が主因という。
これでいいのかどうかは別にして、米国債保有トップの座を明け渡してもらったという事実。
悪くはない。
そして「ESGマネー取り込み」の見出し。
欧米での投資基準であり、そして年金などが採用した「ESG投資」。
理念はわかる。
しかし綺麗事だけで企業が儲かるのかどうか。
ここは結構疑問が残る点。
相場は学問ではないし、人の事業の集積地でもある。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・

26日(月):企業向けサービス価格指数、安倍首相真珠湾訪問
27日(火):失業率、消費者物価、米CB消費者信頼感
28日(水):鉱工業生産、米中古住宅販売
29日(木):米7年債入札
30日(金):大納会、シカゴ購買部協会景気指数


【12月】

26日(月)クリスマスでNY、ロンドン休場、上げの特異日
27日(火)ロンドン休場
29日(木)変化日
30日(金)大納会、ニューイヤーズイブでロンドン休場
31日(土)天王星順行開始

【12月】

26日(月)株高の日
27日(火)株高の日L

「掉尾の一振」のアノマリーの検証。
過去20年の大納会前5日間の動向は17勝3敗。
勝率85%で平均上昇幅は239円。
5年連続となりそうな気配ではある。
(ちなみに昨年末は19033円)。
大和証券のレポートでは「長期政権の5年目はゴールデンイヤー」。
吉田政権、佐藤政権、中曽根政権、そして記憶に新しい小泉政権。
すべからく5年目の株価は上昇した。
安部政権の「5年目のアノマリー」に期待したいところ。

2015年:19033.71円△147.01円
2014年:17450.77円▼184.37円
2013年:16291.31円△420.89円
2012年:20395.18円△355.85円
2011年: 8455.35円△60.19円
2010年:10228.92円▼117.56円
2009年:10546.44円△168.41円
2008年: 8859.56円△135.78円
2007年:15307.78円△276.18円
2006年:17225.83円△120.87円
2005年:16111.43円△170.06円
2004年:11488.76円△279.32円
2003年:10676.64円△304.13円
2002年: 8578.95円△172.07円
2001年:10542.62円△109.10円
2000年:13785.69円△358.61円
1999年:18934.34円△472.41円
1998年:13842.17円△62.72円
1997年:15258.74円△459.34円
1996年:19361.35円▼329.11円

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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