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06月4週
【推移】

20日(月):
週末の日経平均株価は一応反発した。485円安で165円高だから前日の下落幅の3分の1戻した格好。下げは大きく戻りは鈍い典型。「週末だから買い戻した」との声も聞かれる。
英国ではタイムズ紙一面でEU支持の記事。潮目は少し変わってきている印象。大引けの日経平均株価は365円高の15965円と大幅続伸。英国のEU離脱問題について、最新の世論調査で残留派が盛り返したことからリスク回避ムードが後退した。買い戻し中心に株価指数先物先行の展開という解釈だ。

PERや25日線からのかい離が一定のレベルまで達したことからの戻りと考えた方が良いかも知れない。つまり自立反発の色が濃い戻り。株は滅多なことに一方的に売り崩されるものではないし、限界が来ればどんなに本物の悪材料があっても反発するもの。
東証1部の売買代金は1兆9074億円。ソニー、ファーストリテ、Vテクが上昇。三菱自、スズキが下落。

21日(火):
週初のNYダウは129ドル高の17804ドルと反発。週末の英国世論調査でEU残留支持派が増加したことを好感。ブックメーカーでも離脱予想が低下した。NYダウの上昇幅は一時270ドルを超える場面もあったが、買い一巡後に上昇幅を縮小。原油先物価格の上昇も追い風となり、エネルギー株が上昇。金融セクターも堅調に推移した。英国のEU離脱リスクの後退を受けた債券市場は3日続落。

10年債利回りは1.68%まで低下。ポンドは1.47095ドルまで上昇。一日で2%超の上昇はリーマンショック以来のことだという。ただドル円には響かずという状態でどちらに転んでも円高という不可解な状態は継続。
英ガーディアン紙に登場したジョージ・ソロス氏。「23日の英国民投票でEUからの離脱(Brexit)となった場合。今週末はブラック・フライデーになりかねない」と警鐘。ポジショントークと捉える向きは多い。
月曜の日経平均は365円と大幅高。日経VIは32.77、空売り比率は38.8%まで低下した。一方でPERは13.32倍まで戻した。先週の異常な心理での売り優勢は一応止まった格好だろう。

気になるのはドル円の動向。英国のEU離脱懸念もEU離脱懸念後退も円高要因とされてのドル円103円台。リスクオフでの安全資産の円という。一方で、リスクオンで低金利での資金調達通貨とされての円高。結局、英国のEU離脱問題は円高の核心課題ではないとうことでもあろうか。FX市場が勝手に相場シナリオを想像して持ち高を調整。その影響が株式市場にも及んでいるような状態なのかも知れない。だとしたら迷惑千万なことだし、おせっかいでもある。
日経平均株価は203円高の16169円と3日続伸。花王、第一三共が上昇。新日鉄、日製鋼が下落。

22日(水):
NYダウは24ドル高の17829ドルと小幅続伸。イエレンFRB議長の議会証言が景気に対し楽観的な見通しだったことからハイテク株を中心に買い優勢の展開。利上げ懸念はどこへいったのかという疑問は残る。しかし市場は米株にフレンドリーという言葉が市場の解釈を代弁しているのだろう。英国の国民投票は2日後になったが話題は沈静化。
結局、メジャーSQを過ぎたことが堅調の背景と考えられよう。マイクロソフト、アップル、ユナイテッドコンチネンタルが上昇。

原油先物価格は下落したがエネルギー関連セクターは堅調。狭隘な局地的解釈に陥ると相場観は陳腐になるような状況だろうか。英国のEU離脱懸念を背景に安全通貨として買われてきた円は利益確定売りから対ドルで下落した。
日経平均株価は103円安の16065円と4日ぶりの反落。ソフトバンク、日ハムが上昇。かんぽ、オプトが下落。

23日(木):
英国のEU離脱国民投票を控えて様子見モード。TNSの調査では離脱支持が43%で残留を2ポイント上回った。調査は成人2320人。オピニウムのオンライン調査結果は離脱が45%、残留が44%。調査対象は3011人。この程度の母数の調査への信頼感があるかどうかは微妙。オッズチェッカーが各社の賭け率から算出した指数によれば、EU離脱の確率は約25%だという。「市場は今のところ、英国のEU離脱という臆測に縛られている。投票に伴い、幾らか微妙なポジション調整があるとは思うが、特に劇的なものにはならないだろう」という声も聞かれる。あるいは「企業業績は上方修正され、石油価格は安定化し、小売売上高は堅調だ。予測できないイベントが終了すれば、人々は米株式市場に資金を投入するだろう」という楽観論もある。
本家本元のロンドン株は4日続伸。イエレン議長の議会証言はほとんど材料視されなかったが本筋はこちらだろう。

日経1面には「英離脱リスク市場備え」の見出し。備え過ぎに文句はないが、過度な悲観はいつか楽観に変化することもある。心情は「ハムレット」。「真夏の夜の夢」は避けたいところ。しかし「じゃじゃ馬ならし」で「終わりよければすべて良し」となって欲しいもの。「間違いの喜劇」と言う思考法もあろうか。
日経平均の25日線は16470円でマイナス2.46%かい離。75日線は16612円でマイナス3.29%かい離。200日線は17757円でマイナス8.50%かい離。

過去を振り返れば6月16日15393円を付けた日。ボリンジャーのマイナス3σ15411円でタッチ。1σ=68.3%の確率、2σ=95.5%の確率、3σ=99.7%の確率というのが通説。マイナス4σはないから完全に底打ちだったと振り返られる。ストキャスは6.39、RSIは26.52だった。
昨日のMACDは下にいてそろそろシグナルがMACDを上抜いてゴールデンクロスの気配。一目均衡の雲は24日に白くねじれ。勝手雲は来週下限15926円、上限16354円となる。
日経平均株価は172円高の16238円と反発。ただし東証一部の売買代金は1兆5701億円と低調。日立、エイチームが上昇。KDDI,パイプドが下落。

24日(金):
一連の世論調査やブックメーカーの予想オッズはいずれも英国のEU残留予想増加。しかし結果はEU離脱となった。
大引けの日経平均株価は大幅乱高下の末の反落。2014年10月21日以来1年8ヶ月ぶりの水準。下落幅は2000年4月17日以来16年ぶりの大きさで歴代8番目。東証一部の売買代金は3兆.3305億円。値下がり1954銘柄は1997年以降で最大。
値上がりは.6銘柄だった。ドル円は一時99円台もあった。上昇はUネクスト、フォーバル、FJネクスト、東京鉄鋼、西松屋、ソフトクリエイトのみ。三菱電、日立、日産が大幅安。

(2) 欧米動向
「過去の大統領選では、経済データの活用が勝者予測に役立つケースが多かった。だが今年は違う。」というのがGSのレポート。
「通常の場合、選挙結果を予測する上で有力な手掛かりは8月までに、経済データから世論調査に切り替わる。
現在のような米経済のトレンドは、与党民主党に追い風となるはず。
5月までの3カ月の非農業部門雇用者数の増加幅は月平均約11.6万人」。
今月のギャラップ調査では、米国が抱える最も重要な課題として経済問題を挙げた回答者は38%にしか過ぎないという。
一方でヘッジファンドが苦戦している。
カリブ海地域に籍を置く投資の大量の米国債売りがその証拠だという。
4月の売りは過去最大規模の440億ドルだったという。
1〜3月にヘッジファンドから引き上げられた資金は150億ドル。
リーマンショック以来最大だという。

(3)アジア・新興国動向

北朝鮮は22日、米領グアムに届く中距離弾道ミサイル「ムスダン」とされるミサイル2発打ち上げ。
韓国軍関係者は「性能が改善している」と警戒。
北朝鮮、米国けん制する姿勢強めている。
地政学的変化はまだなかろうが、安全資産としての円というのも疑問視される。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・。
週末:世界経済フォーラム夏季会合(天津〜28日)、スペイン選挙、新パナマ運河開通
27日(月):
28日(火):米GDP確定値、ケースシラー住宅指数、CB消費者信頼感、EU首脳会議
29日(水):株主総会集中日、米中古住宅販売
30日(木):鉱工業生産、米シカゴ購買部協会景気指数
1日(金):日銀短観、有効求人倍率、消費者物価、米ISM製造業景況感、中国製造業PMI

28日 大幅高の特異日
29日 石田浩二日銀審議委員の任期満了、ポイントの日、上げの特異日

【7月】

参議院選挙、火星順行開始
1日 日銀短観
4日 ポイントの日、新月、米独立記念日で休場
5日 イスラム圏がラマダン終了
6日 下げの特異日
8日 NATO首脳会議(ワルシャワ〜9日)
9日 上げの特異日
15日 ポイントの日
18日 海の日で休場、米共和党全国大会
19日 株価指数オプション等取引時間延長、東証マザーズ指数先物上場
21日 ECB理事会・記者会見、ポイントの日
25日 米民主党全国大会
26日 米FOMC(〜27日)、下げの特異日
28日 日銀金融政策決定会合(〜29日)、日銀展望リポート
29日 上げの特異日
31日 天王星逆行開始

6月21日上げの特異日は203円高で通過。
アノマリーは成立した。
次の上げの特異日は28日と29日。
英国のEU離脱で下げて上げるのか、あるいは残留で上げが加速するのかはまだ未定。
「英国のEU残留を前提とすれば出遅れ修正の流れが強まりやすい。
株価が低位にある銘柄の反転攻勢期待」との声も聞かれる。
今日は参院選告示。
「参院選は直接的政権交代につながらないため、株価変動も少ない。
過去10回の参院選。
衆参同日選だった1986年を除いて投開票日前後で日経平均が2%以上動いたケースはない」と市場関係者。

興味深いのは、裁定買い残の減少の凄さ。
前週比3281億円減少し1兆351億円。
2012年6月22日以来だから裁定買い残的にはアベノミクス以前に故郷帰りしたことになる。
前々週は4799億円の減少だったから2週間で約9000億円減少。
メジャーSQを挟んだとはいえ5月末の1兆9179億円から一気に減少した。
逃げ足の速いマネーとはいえ、いくらなんでも減りすぎ。
これでは英国のEU離脱となっても売り玉はなかろう。
最近の現物先物の逆ザヤは、6〜8月の配当落ち分だけでなく、この解消売りの影響も結構大きいだろう。
一方でオプションを見れば時価より上の買い物ばかり。
そのうち裁定買い残の積み増しが来ると読んだ方が良いだろう。

日経朝刊の連載小説「迷いの旅籠」が終る。
日経平均株価の2万円台復活の時期だったからそれなりに意味はあったのだろう。
でもあまり熱心に読まなかった。
7月1日からは伊集院静氏の「琥珀の夢〜小説、鳥井信治郎と末裔」。
サントリーがクローズアップされるのか、酔える相場が来るのか。
結構興味深い。

大和のレポートは「1990年以降の衆参両院選挙と株価の関係」。
1990年以降の衆議院選・参議院選(17回)と株価の関係。
一般的に政権与党の勝利は政局安定を通じて株価にはプラスになるイメージ。
しかし事前に勝ちが予想されているケースが多く、逆にイベント通過で出尽くしとなってしまうことも多い。
ただ、政治改革・経済対策期待が持続しているときは、選挙後も堅調。
あるいは一旦軟調となるものの、その後復調する傾向。
直近10回の外国人投資家の売買動向と選挙の関係。
選挙が行われた月は10回のうち9回が買い越し。
そして、1カ月は売り越しに転じた月が半分を占める。
しかし2カ月後は10回のうち8回、3カ月後は10回のうち9回が買い越し。
外国人投資家の投資行動として、選挙月から1カ月後は材料出尽くしでいったん売り越し。
2カ月後、3カ月後は再びファンダメンタルズの観点から買い越しに転じる傾向。

選挙前(選挙日の前営業日〜20日前)と、選挙後(選挙日の前営業日〜20日後)の33業種別の騰落率。
与党が勝利した選挙の10営業日後の騰落率がプラスの業種は13業種。
内需系の業種は9業種

水産・農林、建設、石油・石炭、電気・ガス、陸運、倉庫・運輸、銀行、保険、不動産。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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