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04月4週
【推移】


18日(月):
主要産油国の会合では凍結に応じないイランとサウジの対立が解消せず。供給過剰で低迷する原油価格の押し上げに向けた増産凍結は見送り。再び原油がクローズアップされてきた格好。一方で、NY市場の決算発表は事前予測が第1四半期8%程度の減益とも悲観的。むしろバーが低いことに期待する声も聞かれる。

FOMCを控えて売り込みにくい週でもありこの綱引きになろうか。九州での予期せぬ震災。市場は震災関連銘柄なんてものを常に持ち出すもの。この非条理さというのは拭いようがない。九州がこんな状態であるのに消費税を上げようなんてことができるのかどうか。フツーに考えれば無理となったとしか思えない。復興増税、消費増税見送りという大義名分は十分に成立する。
日経平均株価は572円安の16275円と続落。鋳鉄管、若築が上昇。トヨタ、ソニーが下落。

19日(火):
週明けのNYダウは106ドル高の18004.16ドルと反発。7月21日以来の18000ドル台回復。WTI原油先物はクウェートでの石油労働者のストを背景に下げ渋り。「発表が本格化している企業決算への期待も相場を支えた」といった投資心理の好転を表現した声も聞こえてくる。日経のコラムでは「買い戻していた売り方が再び売りに回ったようだ」という当たり前のコメントが登場。でも本当は「なぜ売買した」の方が重要。

日本株の保有比率3割程度の外国人投資家が6〜7割の高い売買比率を維持していることが問題でもある。
東証の1日の売買代金はせいぜい2兆円程度。その7割としても1.4兆円。毎日1.5兆円〜2兆円程度の売買を国内投資家が行えるようになれば海外投資家の横暴も影は薄くなる。日経平均株価は前日の下落幅(572円)を引けの598円高で埋めた。

25日線(16554円)と75日線(16756円)を上抜けた。記憶しておきたいのは機関投資家が目途とする3月月中平均の18897円。そして3月期末権利配当付き最終日の終値17103円。ココを抜ければようやく権利配当落ち分を埋めることになる。
日経平均株価は598円高の16874円と反発。みずほ、ルネサスが上昇。ライト工、日本調剤が下落。

20日(水):
NYダウは43ドル高の18053ドルと続伸。過去最高値(2015年5月29日の18351ドル)更新水準まで迫った。NASDAQは反落とマチマチのうごき。ただS&P500指数は2100ポイントに乗せ、あと30ポイントあまりで最高値更新水準。ダウ輸送株の8000ポイント台復活も米景気好調の傍証となろう。

クウェートで石油労働者のストライキが行われている影響で同国の石油生産量が減少。原油先物相場が反発しエネルギー関連セクターが上昇。もっともクウェートのスト終了観測も聞かれ予断は許さない。
日経平均株価は32円高の16906円と続伸。出光、さくらネットが上昇。イオン、ドームが下落。

21日(木):
クレディの指摘。過去1年以内の主要国の株式市場で時価総額の1%以上の売りでの大幅下落。この場合「買い方の降伏」による反発が出やすい」という。「大幅下落で割安感の漂った日本株は、この買い方の降伏の発生もサポート要因。

日本株では09年2月に時価総額の1.9%の売り→1年後に33%上昇。12年7月時価総額の0.6%の売り→1年後57%上昇。結論は1年以内の時価総額の1%売りでその後1年は大きく戻る」。
今回もこれに該当するならば14日終値16911円〜30%程度の戻りの可能性。22000円水準が想定される。年初来安値からの30%相当の戻りならば19500円水準。降伏という不幸な事態の先には幸福が待っているのかも知れない。
アナリストの見る適正水準は18772ドルなんていうNYダウよりも楽しみになってくる。
日経平均株価は457円高の17363円と3日続伸。鉄、ソフトバンクが上昇。三菱自、科研薬が下落。

22日(金):
S&P500指数採用銘柄の第1四半期予想は7.2%減益、第2四半期は2.6%減益の見通しながら株価は史上最高値水準。NY株式は業績動向に神経質に支配されているように見えるが、実は業績以外のファクターに影響されて動いているということが良くわかる。

来週のFOMCでは利上げなしがコンセンサス。原油先物価格の堅調やギリシャの財政収支の黒字化などを背景に10年国債利回りは1.87%水準まで上昇。リスクオンの傍証ともなろう。

日経では「マイナス金利、影響拡大」の見出し。
個人の資金需要が2年ぶりの高水準になったという。1〜3月の個人資金需要DIはマイナス1→プラス9に上昇。上昇は3四半期ぶり。プラス9という水準は消費増税の駆け込み需要のあった2014年4月以来。今回の背景はマイナス金利導入での住宅ローンの急回復。これはいずれ効いてくるのだろう。
そしてゆうちょ銀は外債や株投資に積極的姿勢に転じた。リスク資産残高は15年度末で60兆円の目標に達したという。日本郵政の長門社長のコメント。「目標額は必然的に増えてくる」。5月の決算発表時に新たな目標が提示されるというから期待感。REIT投資も視野に入っており楽しみなこと。

日経平均株価は208円高の17572円と高値引けで4日続伸。後場に一部通信社が「日銀が金融機関への貸し出しにもマイナス金利を検討」と報じると様相が一変した。みずほ、地所が上昇。三菱自、東電が下落。

(2) 欧米動向
オイルマネーの日本株売りの傍証はサウジの25年ぶりの外銀からの借入。
金額は約1兆円程度。
背景は当然原油安であるが、軍事費の増大も影を落としている。
中東の政情不安は恒常的なことだが、ここに原油資金を導入させる手法。
英米どちらのシナリオかは不明ながら絶妙なハンドリングに見えてならない。
この報道がFTからでたことからするとロンドン主役なのだろうか。
因みにロンドンのFT100指数は資源価格反発を背景に年初来高値を更新した。
逆に興味深いのはタイの石炭大手バンプーが米シェールガス田の権益に出資すること。
122億円を逆張り投資してシェール事業に進出するという。
エネルギーを核にするタイ、エネルギー依存を減らして金融で生きようとするサウジ。
どちらも必死である。
日本にこの必死さがあれば、そんなに体たらくでいることはないのだろう。
マイナス金利を材料に公社債を9524億円も買ったのは都銀。
1998年以降最大の1兆3860億円も売り越した信託の裏側のGPIF。
おかみの方が民間銀行よりもよりアグレッシブと言う不可解な現実では勝てない。

(3)アジア・新興国動向
先週の上昇率上位は日本4.30%、ドイツ3.20%、ロシア2.91%、イタリア2.35%、米国0.59%。
一方で下落率上位は中国▲3.86%、台湾▲1.89%、フィリピン▲0.90%、ブラジル▲0.60%。
先進国の上昇の片側で途上国の停滞が目立っている。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・

25日(月):企業向けサービス価格指数、米新築住宅販売、独Ifo景況感
26日(火):米FOMC(〜27日)、CB消費者信頼感、耐久財受注
27日(水):日銀金融政策決定会合(〜28日)、英GDP
28日(木):日銀総裁会見、展望レポート、失業率、家計調査、消費者物価、米1〜3月GDP
29日(金):昭和の日で休場、米個人所得、シカゴ購買部景気指数、ギリシャ休場、ユーロ圏GDP、失業率
1日(日):G7エネルギー相会合(北九州)、中国製造業PMI
2日(月):自動車販売、米ISM製造業、建設支出、ASEAN+3財務相・中央銀行総裁会議、英・中国等休場
3日(火):憲法記念日で休場、米新車販売
4日(水):みどりの日で休場、米ADP雇用レポート、貿易収支、ISM非製造業
5日(木):こどもの日で休場、スイス、タイ、韓国休場
6日(金):マネタリーベース、米雇用統計、消費者残高

産業競争力会議が昨日開催され、「GDP600兆円に向けた成長戦略(案)」が出た。
たった1枚の紙だが、今後の相場シナリオのバイブルみたいなもの。
多くの投資シナリオはこれに基づいて作成されることが多い。

キーワードを拾ってみると・・・。
【新たな有望市場の創出】
(1)第4次産業革命(2020年に30兆円創出)
《Iot・ビッグデータ・AI・ロボット》
自動走行、即時オーダーメイド生産、スマート工場、Fintech、ドローン
データ活用プラットフォーム、シェアリングエコノミー、サイバーセキュリティ

(2)世界最先端の健康立国へ(2011年16兆円→2020年26兆円)
保険外サービス促進、IoT活用による医療診断、電子カルテ
ロボット・センサー活用での介護

(3)環境エネルギー制約の克服と投資拡大(2014年度18兆円→2030年度28兆円)
省エネ、再生エネ、節電量市場の創設(2017年)、
資源安全保障の強化
燃料電池車普及と水素社会の実現(2017年)

(4)スポーツの成長産業化(2015年5.5兆円→2015年15兆円)
施設の多機能化、スポーツとIT・健康・観光・ファション等との融合と拡大

(5)既存住宅流通・リフォーム市場の活性化(2013年11兆円→2015年20兆円)
資産価値を評価する流通・金融等の仕組み構築、
インスペクション・瑕疵保険普及

【ローカルアベノミクスの深化】

(6)サービス産業の生産性向上(2014年343兆円→2020年410兆円)
トラック・旅館・スーパー等7分野の生産性向上、固定資産税軽減

(7)農業改革・輸出促進(2013年度4.7兆円→2020年度10兆円)
農地集約、生産資材のコスト削減、農産品の流通構造改革
スマート農業(遠隔監視、無人自動走行)、産業界と農業界の連携

(8)観光立国(外国人消費額15年3.5兆円→20年8兆円→30年15兆円)
訪日外国人と日本人の旅行消費額は15年25兆円→30年37兆円
地域観光経営の推進、広域観光周遊ルートの世界水準への改善
国立公園のブランド化、文化財の利用促進、休暇改革

(9)2020年オリンピック、パラリンピック見える化プロジェクト
PPP/PFIによる公的サービス、資産の民間開放拡大
10年間でPPP/PFI事業規模を12兆円に拡大
「改革2020プロジェクト」(自動走行・分散型エネルギー・先端ロボット等)

【国内消費マインドの喚起】

(10)官民連携により消費マインド喚起

その他で目に付くもの
世界的研究拠点5ヵ所創出、人工知能司令塔設置、ベンチャー支援コンソーシアム設置
初中等教育でのプログラミング教育必修、日本版高度外国人材グリーンカード
長時間労働に向けた取り組み強化
女性の活躍促進(待機児童解消、ダイバーシティ経営)、高齢者の活躍水神
TPPによる中堅・中小企業の海外展開支援
インフラシステムの輸出

議員である楽天の三木谷氏は「世界の潮流を追いかけるのではなく先手を打つベき。
必要なのは徹底的な規制改革」と。
シェアリングエコノミーやフィンテックの環境整備、観光立国などを提言。
国土交通大臣提出資料の中にあったのが渋滞のピンポイント政策。
毎週悩まされる東名高速大和トンネルの渋滞解消もあった。

(兜町カタリスト 櫻井英明)



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