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03月3週
【推移】

14日(月):
週末のNYダウは218ドル高の17213ドルとほぼ高値圏で引け反発。終値ベースではNYダウとS&500は今年の高値を更新した。背景はECBによる追加金融緩和に対する評価と原油価格の上昇との解釈。「昨日起きるはずだった値上がりは今日に繰り延べされた。投資家は追加緩和策を再評価し、良い内容であることに気がついたようだ」という珍妙なコメントも見られる。米国内の石油・自然ガスの掘削リグの稼働数は1940年来の低水準となったことも好感。ゴールドマンが原油価格の見通し今年バレル39ドル、来年同57ドルと引き下げたが見えないフリ。

週間ベースでは全ての指数が上昇。NYダウは1.2%、S&Pは1.1%、 NASDAQは0.7%のプラスで4週続伸。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM通貨先物の投機部門の取組。投機筋のドル買い越し額が前の週から減少。4週連続で100億ドルを割り込んだ。
一方、円の買い越しは6万4333枚で前週の5万9625枚から増加。8年ぶりの高水準となっており為替に神経質な展開は続きそうな気配。週間ベースでは、日経平均株価は0.4%、TOPIX1.2%と4週ぶりの反落。一方で東証マザーズ指数は2.6%上昇で4週続伸。日経ジャスダック平均は0.9%上昇で4週続伸。新興中小型銘柄へのテーマ人気物色は続いている。
日経でも「マザーズ7ヵ月高値テーマ株ぶり高値、民泊・AI銘柄に個人資金」との指摘。これは間違っていないだろう。
面白いのは「25日移動平均と3.78%開く」との小さな記事。「2015年11月24日以来の3.89%以来の大きさ。今年25日移動平均が上値を抑えてきたが、年初からの下落傾向が一服した表れといえそうだ」とあるが、常識的には25日線からの4%かい離は第一次限界水準。ここを抜けきれば8%かい離(17625円)が視野に入るが相当なエネルギーが必要となる。75日移動平均が17721円とほぼ同水準と考えると日経平均は25日線と75日線のレンジでの推移となってきた。
日経平均株価は294円高の17233円と3日続伸。日経平均2月2日以来の水準(17750円)を回復した。ペプチド、三菱UFJが上昇。化薬、NTTが下落。


15日(火):
NY株式市場はサマータイムへの移行で日本時間の午前5時に引けるようになったのはありがたいこと。日経経平均株価は月曜まで今年2度目の3日続伸。先週末のSQ値16586円は明確に上回ってきた。ただ月曜日の商い薄のアノマリーが復活し売買エネルギーは低下。一方、松井証券信用評価損率速報で売り方はマイナス10.111%、買い方はマイナス8.461%とようやく逆転。買い方が攻めきれるかどうかが課題となってきた。

囲碁の世界では「AIがプロ棋士に勝つまでは10年かかる」という前評判を覆しAIが韓国プロに勝利。株の世界もAIとプロとの戦いみたいなもの。AIが売るのか買うのかという機械的な問題が意外と相場の動きの中心で無機質感満載。そして機械が今のところ競えるのは発注の正確さとスピードだから、この部分では優位性を持ち始めた。いずれシナリオも描けるように習熟していくことを考えれば漆黒の深海のような相場の中で戦う相手は間違いなくファンドマネージャー投機家ではなく機械なのだろう。囲碁の世界で起こったことは決して他山の石ではない。

4日続落できず日銀金融政策決定会合をノーサプライズで通過した昨日後場は下落幅拡大。「火曜後場は下落傾向」の通常アノマリーが戻ってきた印象。騰落レシオは114%→109%、25日移動平均からのかい離率はプラス5.5%→プラス4.7%まで低下した。松井証券信用評価損益率速報で売り方はマイナス9.768%、買い方はマイナス8.662%。依然買い方優勢の状態。
3月11日現在の信用買い残は5週間ぶりに1183億円増加し2兆5680億円となったが重荷ではない。売り残は4週ぶりの減少。「木・金連騰が過去3週間続いており水曜下落なら好タイミング」という声と「火曜後場の下落→水曜後場の上昇アノマリーの復活」という声が交錯して聞こえてくる。
日経朝刊で際立ったのはインタビュー。一つは投機家のジム・ロジャース氏。「肝心なのは問題を直視すること。競争力の衰えた企業をつぶし、負債を削減することだ。だが政治家や当局はこうした痛みを避けたがる。負債の増加がそもそも景気の重荷なのに、景気下支えを狙ってさらに負債を増やそうというから驚きだ。アベノミクスは間違ったことをしている。政府の債務はさらに増え、通貨安にもなっている、歴史的に通貨安によって経済を中長期的に回復させた国はない」。
ロシアの短期国債やカザフスタンへの投資などどうでもいいが「通貨安で経済は回復しない」。これは正論である。そして浜田内閣参与のインタビューは「消費増税は賢くない」。「消費税の再引き上げは見直した方が日本経済にとって安全と思う、3党合意は前の船長が決めた話。荒波がひどくなって日本経済が難破しそうになったらやっぱりやめた方がいい。ここで無理に消費税を上げて日本経済が揺らぐと世界経済全体が怪しげになる。IMFや世銀に出向しているのは財務省や日銀の人が多い。省益のために日本経済は大変と宣伝している」。これも正論。そしてなぜかスイス大使になった本田内閣参与。「消費増税を凍結する以外に道はない。消費税率を現行の8%から7%に下げて国民に対するメッセージを明確にする選択肢もある」。どうも外堀は埋まってきた格好だが止めるなら早くやめてというのが市場の声。
日経平均株価は、116円安の17117円と4日ぶりの反落。キューブシステム、JR東が上昇。地所、マツダ下落。


16日(水):
期末の話題は地銀の配当狙いの株買い期待。マイナス金利で長らく親しんだ債券投資から否応なくいずれ引き裂かれる地銀マネー。国債保有残高を減らして外債やファンド投資を増やしてきてはいた。しかし「もうやっていけない」との指摘。
来年度の運用計画を期末ギリギリまで練っている地銀は多いという。面白いのは高配当ETFや高配当銘柄に対する投資意欲の高まり。「短期間の保有で一気に4%程度の分配金や配当がもらえる」。数字上は確かにそうだが、その分配当落ちがあればイーブン。そんな簡単な計算ができない訳はない。「借金でもなんでもお金があえればしのげる」は多重債務者の心理。「配当落ちがあろうと、名目上の運用成果は一応出せる。しかも短期間で」では多重債務者心理よりも悪いような気がする。もしもこの配当取りの短期売買が実行されるとしたらあまりにも愚かしい。
日経平均株価は142円安の16974円と続落、東証1部の売買代金は1兆9118億円と今年最低を記録した。ニトリ、サイバネットが上昇。シャープ、安藤ハザマが下落。

17日(木):
NYダウは74ドル高の17325ドルと続伸。S&P500指数は11ポイント高の2027ポイント。今年の高値で引けた(ザラバ高値は2032ポイント)。米FOMCでの緩やかな利上げ姿勢を受けて為替は112円台の円高トレンド。NY株が上昇しても為替が邪魔しての元気レスな東京。前門の狼、後門の虎といったところ。
日経平均株価は日柄の経過を待って25日線の上昇を待っていると言えるだろう。かい離率がプラス3.6%では上値は重い。騰落レシオは114%と過熱地帯に入ってきたがこちらは特に懸念する必要はなかろう。空売り比率は38.1%と30%台継続。先週の裁定買い残は2兆26億円でこれも邪魔にならない。
話題にもならなくなった中国全人代は昨日「中国経済のハードランディングはあり得ない」で閉幕。春休みのロッカー室みたいな状態は昨日の東証1部の売買代金2兆円割れにも表れている。金融機関など機関投資家は期末の着地であまり動けないことから薄商いの中のテーマ株物色継続ということになろう。森ではなく木の芽が吹く時期でもある。
消費増税延期のトレンドが見え始めた。水曜は「国際金融経済分析会議」。登場したのは経済学者のスティグリッツ米コロンビア大学教授。「総需要を喚起するものではなく現時点では消費税を引き上げるべきではない」。その後安部首相と懇談し「おそらく確実に検討するだろう」とコメント。今日はハーバードのジョルゲソン教授と岩田前日銀副総裁。22日はクルーグマン教授。「専門的見地から分析・判断」というのが安部首相の言。これに従えば専門家は増税反対なのだから延期の図式。

日経平均の25日線は14日に上向きに転じた。16377円で3.64%のプラスかい離。下向きの75日線は17610円で3.615のマイナスかい離。下向きの200日線は18787円で9.65%のマイナスかい離。
メジャーSQ値16586円に対してはその後4連勝。
松井証券信用評価損益率速報で売り方はマイナス9.389%。買い方はマイナス9.102%と微妙に買い方有利。Quick調査の信用評価損率(3月11日現在)はマイナス11.67%。裁定買い残は88億円増加し2兆26億円。 日経平均採用銘柄のPERは14.47倍でEPSは1173.08円。
東証マザーズ指数は前日まで5連騰。一目均衡の雲の下限は17397円。急速に下限が下がっているのであと数日で雲の中に入る。週足の雲の下限は17397円。まずはここのキープだろうか。日経VIは24.47まで低下(昨年末は19.47)。今週火曜までの日経平均先物の値幅は平均268円。2月が397円、1月は474円だったから明らかにボラは低下している。
日経平均株価は38円安の16936円と3日続落。長谷工、昭和シェルが上昇。アルプス、京急が下落。

18日(金):
日経では「海外勢の株売り越し額最大に」の見出し。3月第2週の外国人投資家の売り越し額は1兆1932円で過去最大を記録した。ブラックマンデー直後が1兆1220億円だったことからすると大きい。売り越しは10週連続。裁定取引の解消も背景にあるが、3月に一度資金を本国に付け替えるたことの影響も大きいだろう。

米サーベラスが保有している西武HD株を売却したことも多少影響はあろうか。為替の円高トレンドも経済実態ではなく為替面での売り要因であることは否めない。確かにマネーの引き上げ観測はあるがいつまでも売り続けるものではない。
日経平均株価は3連休控えの影響もあり211円安の16734円と4日続落。住友鉱、出光が上昇。エプソン、マネパが下落。

(2) 欧米動向
「ノルウェー年金、日本国債4300億円売却」というのは昨年10〜12月に多額の日本国債を売却したという話。
「低金利で投資妙味が減ったことで他国債に乗り換えた」との解釈だった。
土曜の日経朝刊では「世界最大級政府系ファンドのノルウェー政府年金基金が、日本株投資拡大」。
2015年末の日本株保有額は約5兆9500億円。
14年末から約1兆100億円(24%)増加したという。
日経平均株価の上昇率が」9%だから自然増加だけではなく意図的に買い増したということになる。
ただミソは各年末の為替レートで計算したというところ。
2014年末119円31銭、2015年末121.92円でそれほど差はない。
万が一年間平均でいくと2014年105.94円、2015年121.04円。
15%超の誤差がある。
もっとも保有株上位はトヨタ、三菱UFJ、ファナック、三井住友など。面白いポートフォリオではない。

FOMCは想定通り政策金利据え置きで着地。
FRB当局者の金利見通しは、大半が「年内2度の0.25%の利上げ見通し」。
昨年末は年内4回だったのが減少し緩やかな金利上昇モードとなった。
「6月利上げの確率は43%で、声明発表前の51%から低下。
12月までに2度目の利上げを予想する確率は73%。
今回の政策決定前の83%から低下」と市場関係者の見解。
このところ原油についての市場コメントは少なくなってきたが、
米原油在庫の伸びが予想の半分未満にとどまったことや産油国が増産凍結に向け
4月17日にカタールの首都ドーハで会合を開くことが材料視され
WTI原油先物は38.46ドルと上昇。
FOMCも通過しあとは3月末を待つ姿勢になってきた印象。

(3)アジア・新興国動向
懸念されていたのは中国の国営中央テレビのこの時期恒例の特番。
例年3月15日の世界消費者権利デー」に合わせて放送されてきた。
過去米アップルや独フォルクスワーゲン、日産自などが標的となり対応に迫られた経緯がある。
今年は外資叩きではなく、中国の出前代行サイトの虚偽情報がターゲット。
すこしおとなしくなったというか、見向きされなくなったというか、少しの変化が感じられる出来事だった。


【展望】
スケジュールを見てみると・・・

21日(月):春分の日の振替休日で休場、米シカゴ連銀活動指数、中古住宅販売
22日(火):独Ifo景況感、ZEW景況感
23日(水):米新築住宅販売、NY国際自動車ショー
24日(木):米耐久財受注
25日(金):消費者物価指数、企業向けサービス価格、プロ野球開幕、米GDP確定値、聖金曜日(復活祭前の金曜)

メジャーSQはSQ値16586円で通過。
2月のSQ値15156円よりも1430円の上方かい離での決着。
過去2回は前回比1500円超の下方かい離だったから大変化だ。
因みに・・・。
3月プラス1430円。
2月マイナス2263円。
1月マイナス1523円。
それ以前は11月1359円。
9月マイナス2420円。
7月マイナス1014円。
6月プラス1203円。
結構大きく開いていた。
面白いのは「16000円台での決着は07年1月以来」との声。
確かにアベノミクススタート以来13000円台、14000円台があり
15000円台から17000円台にワープした。
だからと言って昨年4月20008円、6月20473円、8月20540円。
これより上なら理解できるがただ「16000円台は初」と言われても変。
市場と言うのは枝葉末節にこだわる癖がある。

因みに・・・。
日経平均株価はSQを通過して6月限での売買。
3月期末の権利配当分をおとしたプライス。
一方現物は28日まで3月権利配当月のプライス。
29日に権利配当落ちで一緒になる。
3月の日経平均の管理配当落ち予想は112.80円。
80〜90円程度だったが増配などで増えてきた。

2015年の日本への新規投資は4年ぶり流出超過に転じたとの記事。
純投資額は510億円のマイナス。
新規直接投資額は前年比46%減の17兆8315億円。
投資引き上げ額は44%減の17兆8826億円。
2014年は9548億円の流入超だったから一転しての動き。
永田町も霞が関もここは問題にしなければならないところ。
加えて来年4月の消費増税について自民との地方組織へのアンケート。
増税賛成は5割程度との結果は悪くない。
与党民主党は「延期」が過半数。
予算も終わり永田町も動きのある季節になってきた

日本企業の子会社による資金のレパトリ(本国送還)が一巡する。
円高基調も変化しよう。
また3月期末のカラ売りの返済もあろう。
悪いことばかりではない。

(兜町カタリスト 櫻井英明)

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