07月3週
【推移】

13日(月):
待ちぼうけチックなギリシャ。牛歩ながら少しは進んだような印象。国民投票はEU案に反対でも、結局はお互いの利害で愛憎半ばの睦みあい。というかじゃれあいの印象。考える時間や待つ時間が無駄に思えてくる。離婚できないのに別れると言っているみたいなものだろうか。早い話が腐れ縁は断ちきれないということでしかない。アレコレ論じるよりは他の視点を持った方がよかろう。興味深いのはやはり中国。株価の上昇下落というのが経済問題ではなく政治問題となっている。この視点でいくと、ひょっとすると国家が市場に勝てるのかも知れない。だとすると壮大な実験劇となってこよう。
東証REIT指数は7日続落。1600ポイント台まで下落し昨年秋の水準となった。分配金利回りは3.6%台で1年1か月ぶりの水準。ひきつけるタイミング到来というところだろうか。3月月中平均が鉄壁の下値水準を証明してくれたのが先週の動き。今年2度目の75日線割れも同様だろう。
日経平均採用銘柄のPER16倍割れも同様。目途さえあれば動揺することも慌て騒ぎ驚くことも必要ない筈。ギリシャが中国は表面上の目くらましと考えれば本尊はやはり米国動向。システム障害での取引一時停止の背景を考える方が良いのかも知れない。7月値は19849円。今年はSQ後に上か下の連続。今月は金曜こそ幻のSQ値だったが月曜は上回った。何かが少し良い方に変わるのかも知れない。
日経平均株価は309円高の20089円と4日ぶりの反発。3週ぶりに上昇の月曜となった。トヨタ、ドコモが上昇。久光、キリン堂が下落。

14日(火):
日経平均が75日移動平均線を割れた。空売り比率が38.3%の過去最高水準を超えた。日経平均のPERが15倍台まで落ち込んだ。極論すればアベノミクス発足以来の底打ち反転タイミングである3月月中平均の19195円に近付いた。諸々の底打ち反転タイミングシグナルがある。不思議なことに頭では分かっているものの「エイヤ」とはならないのが投資心理。押し目を求めつつも押し目水準は蜃気楼のように向こうへ遠ざかるもの。下げの途中ではどこまでも下げるような錯覚に見舞われ、上げの途中ではどこかで反落する警戒感。株を持つということはこの始終訪れる恐怖感との戦いなのだろう。
喧嘩ばかりしているものの200年以上も離婚はしないギリシャ。経済問題が政治問題化し市場で表現された恐怖を国家が収束させようと躍起の中国。所詮表面に現れた材料は、本当の悪材料ではなかったのも市場の歴史。上海発世界同時株安がリーマンショックの前哨戦だったことに思いを馳せれば、隔靴掻痒の2万円割れだったのかも知れない。やはり構図としては「ギリシャ<中国<米国」と考えた方が良いのだろう。2万円割れとか日経平均の600円安で取引所に押しかけたTVクルーは何を映したかったのか。たった2日の2万円割れを報道したかったのだろうか。
6月28日(月)596円安→6月30日(火)125円高。7月6日(月)427円安→7月7日(火)264円高で20376円。7月8日(水)の638円安は1週間で取り戻しそうな気配。割れ込んでいた25日線(20289円)も復活の気配。1週間のご無沙汰でした、という感じだろうか。天気だけを見れば、早朝の日本橋界隈は雲一つなきギラギラの日差し。まだ時期尚早なのか蝉の声もない静けさの灼熱に違和感はありますが、日本の夏の到来。90年以降、ドコモやJR、JTなどの上場は日経平均が2万円台だったというのが歴史。そう考えればこの静かな夏は、秋のJP上場への一里塚なのだろう。
モンスターのように成長した日経レバ(1570)の時価総額は、昨日時点で5114円。金曜日は4256億円だったから1日で約2割増加。この間の基準価格の上昇率は2.3%。それだけの資金が流入したということ。
因みに先週7月8日(水)の売買代金は3693億円。9日(木)が4317億円、10日(金)が2673億円。月曜は1659億円で連日の売買代金トップ。このモンスターの帰趨が指数の方向性を羅針盤なのかも知れない。裁定買い残の動向などより、今は1570の動向を図った方が良さそうだ。
日経平均株価は295円高の20385円と続伸。エクセル、秀英が上昇。キッコーマン、林兼が下落。

15日(水):
日経平均は2日連続の大幅高。結局1週間前の水準まで戻り、25日線(20300円)と13週線(20149円)を上抜けた。7月SQ値19849円は過去の話。それでもSQ当日は幻のSQ。月曜火曜と上回り●○○と今年初めて連勝や連敗でなくなった。アノマリーの変化だろうか。6月メジャーSQ値20473円も指呼の間。結局、7月SQ値を下げたかっただけのギリシャと中国?という自己中心的思考も登場しそう。
7月月足陽線基準の20329円も抜けてきたからすごい。雲の上限20231円を抜けた。勝手雲の上限20471円を抜ければまた青空となる。松井証券信用評価損益率速報で売り方はマイナス14.055%。買い方はマイナス4.670%。売り方の抵抗もここまでだったのだろうか。
政府の来年度の経済見通しは名目で2.9%、実質で1.7%。今年度が1.5%だから加速する方向となる。賃上げによる個人消費の拡大、企業の高水準の設備投資が背景。おまけは17年4月の消費増税前の駆け込み需要という笑えない話。政府の見通しだから少し恣意的ではあろうが、悪くはない。
日経では「公的年金の今年度、日本株買い余力1〜3兆円」の見出し。野村3兆円、日興2.4兆円、パリバ1〜2兆円。相場上昇のけん引力はなくなったとの見方だが、ミニGPIFはまだまだ登場しよう。郵貯や簡保の限度額の引き上げなどは好材料。ここに12兆円のMRFが加われば、まだまだの感。経験則的には「2万円では疑心だが、2万5000円ではイケイケモード」。因みに前年度のGPIFの運用利回りは12.27%だったが世界には劣っている。オランダ公務員総合年金(ABP)は14.5%。カナダ年金計画投資委員会(CPPIB)は18.3%。ノルウェーの7.6%やカルパースの6.5%よりは良いが上には上がある。そして、この12%台の利回りも債券病を治して株式比率を高めたことが大きい。勝てなかったのが勝てるようになってきたと考えたいところ。
0.4%の国債をいくら買っても勝負にはならない。もうひとつは日銀のETFとREITの買い。9日に370億円買ったのが今年50回目で合計50回。年始からの買い入れは1兆7709億円で残りは1兆2291億円。そこそこ消化している。REITは9日までに45回、554億円を買った。年内の買い余力は346億円。1回あたりは14億円の買いだからあと24.7回しか買えない。このまま行くと年末には玉不足となるのだが、買えるREITは限定的なところが悩みだろうか。
日経平均株価は78円高の20463円と3日続伸。神戸物産、タマホームが上昇。モバクリ、ベクトルが下落。

16日(木):
朝から雨の木曜日。アチコチで電車が止まったり遅延したりの非日常的世界。せいぜい年に数回だから、と我慢するのが良いのか。インフラの更なる整備を待つのかは難しいところ。もっとも株式市場だってせいぜい年に数回の急落にイライラする場所この我慢のなさが市場の綾なのだろう。
過ぎてしまえば何のことはないのだが、渦中に遭遇するとどちらも不満が募る。ギリシャを通過し、中国株が4日ぶりに下落。小手先的には中国のGDPは7%成長、日銀金融政策決定会合は波乱なしで通過。アメリカの金利動向はまだ不透明ながら東京市場は上げ潮基調。次のターゲットは直近高値20952円を抜けるほどの好材料待ちとの声。
決算に期待したところで第1四半期から華々しく上方修正が乱舞はしないもの。株が下げなければ上がらないという理外の理がもっともらしく聞こえてくる。それが先週の値動きだったに過ぎないと考えれば腹も立たない。面白いことに動いているときの相場はそれが下げでもいきいきしている。動かない相場はそれが多少の上昇でも停滞心理。これも株式市場の綾なのだろう。
NISA口座が静かに稼働している印象。主要証券10社経由の1〜6月の購入合計額は1兆48億円となった。前年同期は6977億円だったから4割増。昨年1年分の7割になった。口座数は444万口座で80万口座増。そのうち稼働口座は231万口座。今年上半期に投資をした個人は157万人で前年より53万人増。因みに前年のNISA口座の平均リターンは12%。結局GPIFと一緒だったことになる。今年1〜6月のNISAで買われた銘柄のトップはみずほ。以下、物産、三菱UFJ、キャノン、OLC、トヨタ、紅、東芝、シャープ、イオン。むしろ華々しい動きの少ない銘柄が目立っている。日常の株取引とは別のフィルターでの銘柄選択が進んできたのだろう。華麗な株を買うのではなく地味な株。上値を追うのではなく突っ込み買い。制度の本筋に沿ってきたような気がする。日経レバ(1570)の対極のような存在となってきた。
日経平均株価は136円高の20600円と4日続伸。3週間ぶりの20600円台を回復した。アルプス、村田が上昇。ミツミ、寿スピが下落。

17日(金):
日々狭くなる日中値幅。14日113円、15日95円、16日90円。ほとんど寄ったら終いの印象だが昨日は引け際の上昇が目立っての20600円台。印象としては日々100円ごとに上値を取りに行っている感じとなっている。
日経マーケット面では「株、年内22000円視野」。市場関係者の下値めどは19000円。
それはそれでいいのだろうが、22000円と言うのは昨日レベルから1400円程度の上昇幅。ほぼこの1週間の上昇幅にしか過ぎない。率にして6.7%程度でしかないのだから、そんな重い目標ではなかろう。既成概念でみるとされど1400円。しかしパラダイムが変化しているとみればたかが1400円。5日レベルで達成できる水準でしかないというのは短絡的だろうか。4%近く下落した先週の需給。
個人投資家は 現物3071億円、信用2199億円で合計5271億円の買い越しだった。これは昨年1月4週の6199億円以来の大きさ。したたかな動きは相変わらず健在だったようである。
特に9日木曜の9時半過ぎからの動きには顕著だったろう。一方で海外投資家は4382億円、信託銀行は1302億円の売り越し。下がったところで個人が買い、上がってくると機関投資家が買う構図。相場巧者の個人、相場下手の機関投資家。言い換えればプロの個人、アマの機関投資家。個人投資家は自信を持ってこれるに違いない。プロとか専門家とか市場関係者を凌駕していることは間違いない。その証拠に昨年のNISAはGDIFの運用と同じ収益率の12%台だった。
日経平均株価は50円高の20650円と5日続伸。米NASDAQ市場の新高値、上海株式市場の上昇を好感した格好。ただ3連休控えということもあり東証1部の売買代金は2兆449億円と低調モード。ソフトバンク、ファーストリテが上昇。トヨタ、シャープが下落。

(2) 欧米動向
特に商品系ファンドの損失拡大による益出しの売りがやってきただけのような気もする。
何でもありの商品にやられた、というところかも知れない。
FXとコモデティは一応グローバルで世界の動きを持ち出すからタチが悪い。
局地的にギリシャであり、中国であり、象徴的なのはイランの核協議の最終合意。
デモーニッシュな問題がエンゼルのように見えてくるから不思議なもの。
市場では「イラン問題が核」なんて洒落たコメントもあったが、マーケットインパクトはなかった。
むしろギリシャ問題を横目に経済制裁による経済破綻の恐怖を演出していたとすれば、相当腹黒い。
だから、「誰が儲かるのか」を真剣に考えることが必要となる。
そして表面の材料だけで判断すると見間違えることになる。
実はコイツがアメリカの一番大事だった外交問題だったとすれば、NYも好感するに違いない。
原油がどうのこうの、という問題ではなかろう。
面白いのは「核合意でもイランの原油増産には時間がかかる」という解釈。
原油価格の下落はシェールにとって悪材料。
しかしロシアに対する恫喝としての下落は必要。
ここで気迷う逢坂の関、不破の関のコモデティというところだろか。

(3)アジア・新興国動向
中国は今後数カ月間に国際市場からの銅買い付けを増やす見込みとの報道。
そこまでするかというよりも「銅はロンドン市場で著しく下げた一方、上海先物取引所は相対的に持ちこたえている。
輸入を活用した裁定取引が可能になったため、海外から買い付ける動きが出ている」との見方。
ロイターでは「輸入を活用した裁定取引の価格差がここ数年にないほどの目覚ましい水準になっている。
期近物と輸入カーゴの価格差で利ざやを稼げる」。
株も商品もクジラチックな中国の買い支えに売り向かう方が良いのかどうか。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・
20日(月)海の日で東京市場休場、ギリシャ35億ユーロの償還期限
21日(火)全国百貨店売上高、コンビニ売上高、米ボルカールールの順守期限
22日(水)6月訪日外国人数、米中古住宅販売
23日(木)貿易統計、BBレシオ、米シカゴ連銀活動指数、CB景気先行指数
24日(金)気象庁3カ月予報、米6月新築住宅販売、中国HSBC製造業PMI、
TPP首席交渉官会合(ハワイ)

2014年度のGPIFの運用益は前年度比49.6%増の15兆2922億円で着地。
運用利回りは12.27%で過去最高。
国内株式の比率は15.9%→22%まで上昇した。
投資額にして3兆9185億円。
海外投資家は2.5兆円だったからこれを上回ったことになる。
直近の国内株比率は23.7%程度との観測で目標の25%はほぼ達成。
クジラ1匹仕上がったという感じだろうか。
もっとも次のクジラも地方共済とかゆうせいとか簡保が育ちつつある。
これらの成長に期待ということだろう。
喜ばしきは債券比率の低下。
53%→39.4%となった。
「債券に比べ価格変動の大きい株式の増加。
137兆円というトラの子の年金の運用リスクは高まった格好。
リーマンショック並みの下落だと30兆円の赤字が生じる」。
という小賢しいコメントも見える。
しかし0,4%の国債と配当利回りで1.4%の株式。
それでもまだ債券なのだろうか。

最近のアノマリーから。

「麦わら帽子は冬に買え」。
エアコン・アイスクリーム・飲料・猛暑対策商品など50品目での調査。
1月末に買って7月末に売却すると、89年以降26回のうち21回がプラスだったという。
日経平均は12回だからかなりのアウトパフォームになる。
あるいは「西暦末尾が5の年は上げ相場」。
第2次世界大戦後の日経平均は05年まで6戦全勝。
今年も勝ちそうな推移となっている。
理由は「5の年は景気の谷にあったことが多く、株価が実体経済の先取りをしていた」。
そう聞くともっともらしくなる。
因みに西暦末尾9の年も6戦全勝という。

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