03月1週
【推移】

2日(月):
象徴的なのは土曜日経1面の「りそな公的資金返済」。03年に2兆円の公的資金が投入されて実質国有化から12年。ピークに3兆1280億円あった公的資金の完済はバブル崩壊からの脱却からの象徴。しかもあおぞら銀行も夏には完済の方向。残るは新生銀行だけとなる。拓銀・山一の破綻が97年。歯車は潤滑油をタップリ塗布され、ようやくマトモに回り始める。政府が注した資本は12.4兆円。回収額は13.5兆円。これで銀行保護のための低金利政策の大義名分は完全に消える。回生とか再生へのスタート地点に立った。そして年金運用の動向。国内株式の比率は19.8%。10〜12月の株式買い増し額は1.9兆円とされる。国債は43.1%で6.4兆円の減少。比率は08年以降で最低水準となった。このままいくと来年3月までの国内株は3.1兆円、外国株は5.1兆円買い増し予定。 10〜12月の運用収益は6.6兆円。アベノミクススタート時の13年1月〜3月の7,6兆円に次ぐ収益。そして運用資産は137.358兆円。以前はセイホが世界を席巻したが、今年は「ネンキン」が世界の評判になるかも知れない。
日経平均株価は28円高の18826円と3日続伸。シンフォニア、OLCが上昇、マーベラス、ゲンキーが下落。

3日(火):
2000年のドットコムバブルの高値をようやくターゲットとしてとらえた米NASDAQ。あの時のPERは175倍でしたが、今は30倍。30倍でも高いと言えば高いが、何となくフツーの印象。2000年3月のあの高揚感からすると今は静かすぎる。
日経平均は小幅反落。しかしTOPIXは4日続伸。東証1部の騰落銘柄数は、値上がり672、値下がり1058銘柄だからなんか違和感。 上昇は医薬品や食品などディフェンシブ。配当期待というのもあろうか。市場では「物色は限定的。指数一服で新興に向かってもよいがマザースなどは弱い展開。体感的には大幅安の局面の物色」という声。東証2部指数も12日ぶりに反落となった。それにしても新興市場や東証2部の2ケタ〜100円台銘柄が突如として数十%上昇。材料株好みの向きにとっては、もぐらたたき的待ち伏せが有効なのかも知れない。指数チックには「ウサギとカメ」。ウサギが指数でカメが移動平均線。カメが追いついてくるのを待っているウサギというところだろうか。
日経平均株価は11円安の18815円。ピジョン、小野薬が上昇、イマジカロボ、カーボンが下落。

4日(水):
「合言葉は3月末2万円」なんていうから失速するのだろうか。妙な上げに戸惑った挙句に、下げってくれば「過熱感」。
「ようやく下げてくれた」と安心するマインドは間違っている気もする。上がると不安、下がると安心。これでは、パラダイムシフトなんて先の話。この30年に及ぶ呪縛が相場の邪魔でもある。そういえば日銀は、昨日ETFを352億円買った。
2月10日以来3週間ぶりの買い出動だ。前回の買い入れ額は327億円。少し増えたのは3兆円の予算消化のためなのかも知れない。
市場では「3月期末最終週は高い位置」との声。理由は配当の再投資。
10〜12月にGPIFが買い増した日本株は2兆円程度。その8割がTOPIX系。27日の引けに配当の再投資分の買い観測。TOPIXの配当落ち分は約12ポイント(0.8%)なので1280億円の買い需要。大きいと見るか、そんなものとみるか。いずれにしても3月期末の特殊要因はけっこうある。
日経平均は2月5日以来の5日移動平均線割れ。日足では陰線4本で4陰連。2月5日→10日も陰線が4本並んだが、5日目にマドを明けて上昇した。今回は一味違う感じだろうか。
日経平均株価は111円安の18703円と続落。デリカフーズ、山九が上昇、SUMCO、シャープが下落。


5日(木):
日経1面では「東京駅前開発に6000億円」の見出し。三井不動産と東京建物は50階レベルの高層ビルを2棟建設するという。「インフラ機能を高めてグローバル企業を誘致する」。フレーズは勇ましい。
世界の都市ランキングで東京は7位。1位がロンドン、2位がニューヨーク。
東京は文化施設や交通インフラで劣るという。しかし、箱だけの問題なのだろうか。金融市場の使い勝手などの方が過大のような気がする。箱だけ作って廃墟となる愚ではなかろう。たぶん日経平均株価が3万円を超えれば、都市の評価は格段に高まろう。
コンクリートにお金を注ぐより、兜町を振興したほうが早かろう。区切られた空気と投機市場。どちらも実態は薄いが、まずはお金の地位の問題に他ならない。
日経平均株価は48円高の18751円と3日ぶりの反発。エーザイ、小野薬が上昇、ピジョン、デリカフーズが下落。

6日(金):
日経マーケット面では「薬品株に資金流入」の見出し。前日の医薬品セクターが3.23%上昇した(日経平均は0.26%上昇)。「内需株の循環物色の流れ」との指摘も聞かれる。
因みに、昨年末からの上昇率は電機が9%、自動車が7%だが医薬品は26%。配当利回りの高さも医薬品人気にはつながっているのだろう。と考えるか、いや実はバイオ全般の復活の兆しと考えるか。春のバイオ相場の前哨戦と考えたいところではある。市場の指摘は「2月は金融、3月は医薬品」。出遅れセクターの循環物色だとしたら面白くはない。でももしそうならばこのところ頻繁にみられるような2ケタとか100円台の2部新興株。これらをモグラたたきのように待ち伏せる手もアリだろう。先週の海外投資家は2682億円の買い越しで6週連続の買い越し。信託銀行は598億円の買い越しで8週連続。一方で個人は3961億円の売り越しでこちらも6週連続。外人年金買い、個人売りの構図に変わりはない。2月の投資主体別売買動向。海外投資家2ヶ月ぶり買い越し(2014億円)。個人投資家2ヶ月ぶり売り越し(1兆6528億円)。
小売の世界では「ファミマ・ユニー統合交渉」。3位のファミマと4位のユニーが統合すると店舗数は17400。1位のセブンの17100店舗を上回る。
売上高では2兆8100億円で3兆7800億円のセブンに次いで2位。苦戦2社の統合は決して「ウィンウィン」ではない。2位のローソンも苦戦しているが2強になれるのか2弱への道となるのか。結構な分水嶺ではある。
日経平均株価は219円高の18971円と続伸。ファーストリテ、オリンパスが上昇、住友鉱、京セラが下落。

(2) 欧米動向

面白いことに市場では言葉の流行り廃りがある。
昨年初は「グレートローテーション」が流行語。
多くの市場関係者は「グレートローテーション」を連呼していたが、今は全く聞かれない。
でも実際に起きていることはGDIFの運用がまさに「債券から株式へ」。
でもグレートローテーションの言葉は封印されたような感じ。
「ようやくグレートローテーション」という雰囲気なのに、どうも早まった感覚から使用を控えているのだろうか。
不発だったグレートローテーションの実現。
そう考えれば、健全な市場育成なのかも知れない。
もっとも弱気一辺倒で1ドル=50円とか日経平均5000円とか唱えていた市場関係者までもが「東京五輪の時は日経平均4万円」なんて唱え始めた。
節操があるとかないとかは別にして、こういう声が聞こえ始めると市場は暴走しはじめるのかも知れない。
ただし、今回は「悪魔の宴」ではなく「天使の宴」であってほしいもの。


(3)アジア・新興国動向

興味深いのは中国の全人代。
2015年の経済成長率目標を7%前後に引き下げた。
IMFは6.8%としているからほぼそのレンジとなる。
しかし、市場は驚きもしない。
そもそも市場は中国の数字を信用してはいないのだろう。
だったら、常に事後修正される雇用統計だって金科玉条のように信じる必要はないだろう。
経済指標しか材料のないといっては過言かも知れないがそれがFXの世界。
そのFXの世界の思考法が一時的に株式市場を蹂躙してきたのが過去の歴史。
たまたまチャートが同じだから同じような材料で発想をすると、どこかで躓くような気がする。
本石町と蛎殻町と兜町は地図的には橋で隔てられている。
市場だってそれでいいと思うのだが・・・。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・
週末:首都高速中央環状線開通、自民党大会、米夏時間入り、中国貿易収支
9日(月)GDP改定値、国際収支、景気ウォッチャー調査、アップルのイベント
10日(火)マネーストック、米3年国債入札、中国消費者物価、生産者物価
11日(水)1月機械受注、国内企業物価指数、東日本大震災から4年、米10年国債入札、財政収支、FRB、銀行の包括的分析結果公表、中国鉱工業生産、小売売上高等経済指標
12日(木)1〜3月法人企業景気予測調査、消費動向調査、都心オフィス空室率、米小売売上高
13日(金)メジャーSQ、ブルトレ北斗星、最後の列車出発、米生産者物価、ミシガン大学消費者信頼感

今年年足陽線基準は17408円(1月5日終値)
3月月足陽線基準は18826円(3月2日終値)
メジャーSQ値を追ってみると
昨年3月14429円→14807円(6月)→15915円(9月)。
12月SQ値は17281円。
2月SQ値は17866円。
完全に上まわっている。
一方で過去のSQ値では07年6月メジャーSQが17912円。
7月は18177円。
18000円台のSQ値は8年ぶりとなろうか。
さらに遡れば2000年1月18967円、2月19757円、3月20129円。
そして4月は20305円。
ITバブルから15年となる。

ウクライナが政策金利を19.5%から30%に利上げした。
先月も14%から19.5%に利上げしたので2ヶ月連続。
金利は一気に2倍になった。
為替も1ドル16フリブナから30フリブナまでの下落。
そこで起こったことはインフレ。
1月に年率換算28%だった。物価上昇率2月は、30%を越えた。
これが、為替下落と金利上昇、そしてインフレの方向。
挙句の果てが物価高騰と品不足。
ウクライナは極端な低下も知れない。
でも、こぞって自国通貨安と脱デフレ=インフレを望んでいるのが世界の傾向
皆で渡れば怖くないなんていっていられない筈。
ウクライナの場合はデフォルト回避のための資金は100億ドル程度で済むから良いが。

株式市場と言うのは、毎日変化する。
投資の時間軸などお構いなく時間軸は毎日変わる。
長期・中期・短期とあるが、どうもその日暮らしの解釈が横行する。
というか、毎日解釈しなければならないので、無理矢理にこじつけることもあろう。
だから、奇妙な解釈も横行する。
そして原因から導いた推論ではなく、結果から類推した材料を取捨選択する。
日替わりメニューの相場解釈。
これは市場関係者も証券マスコミも一緒。
日々の現象だけを追いかけ、因果をめぐらす。
だから本質が見えなくなるのかも知れない。
これは市場関係者も証券マスコミも一緒。
日々の現象だけを追いかけ、因果をめぐらす。
だから本質が見えなくなるのかも知れない。

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