08月5週
推移

18日(月)
日経のコラム「消費の旬景」。連載最終回の見出しは「スカート、ひらり復権」。ここ10年はパンツ人気が続いていたが「スカートの復権は景況感が上向きになったムード」。23区と組曲に占める割合は秋冬にはスカート10.3%、パンツ5.6%の見通し。 1967年にツィッギーが来日してのミニスカブーム。1965年→70年までの5年間の実質GDPは年平均10.9%。一方1973年のオイルショックでGDPがマイナスになったのが74年。ジーパンが流行し、ロングスカートがブームになったというのが歴史。古典的なアノマリーではある。とはいえ相場は世相の反映そのものでもある。日経平均株価は4円高の15332円と6日続伸。鉄建、日エンター、中外薬が上昇、コロプラ、グリーが下落。

19日(火)
日経平均株価は前日まで6日続伸。上昇幅は約554円。5月22日から29日までの6日続伸以来となった。この時の上昇幅は約639円。過去のデータでは昨年10月8日から17日までが7連騰で上昇幅は733円。昨年2月28日から3月11日までが8連騰で上昇幅は約1096円。前政権時の2012年10月15日から23日までが7連騰。8534円→9014円で上昇幅は約480円。今回の6連騰は14778円→15322円で554円。指数水準の違いはあるが、そうショボクナク見えてくる。どこまで続くのかというのが課題。「そんなに続く訳がない」という負け犬チックな思考法だと、「もう」の世界。「トレンドは継続するもの」という根拠レスな楽天チックな思考法だと「まだ」の世界。 「もう」と「まだ」の鍔迫り合いで相場は形成されていく。日経平均株価は127円高の15449円と7日続伸。ただ日中値幅は46円と今年最小。NEC、東都水産が上昇、ヨロズ、ドンキが下落。

20日(水)
データと言うのは時と場合に応じて都合の良いものが持ち出されるもの。例えば過去4回の米利上げ時期の株価(MSCIワールドインデックス)の動向。1987年1月〜89年5月に指数は約35%上昇。(日経平均株価は83.2%上昇)。87年ブラックマンデーもあったがその後は株価上昇。94年2月〜95年2月はメキシコ通貨危機発生など受け、9.3%下落。日経平均株価は15.7%下落)。その後ハイテクブーム起こり、世界の株式相場は早期に立ち直り。約6年間で指数は2倍以上上昇した。99年6月〜00年5月、指数は14.6%上昇。(日経平均株価1.4%上昇)。04年6月〜06年6月、指数は24.9%上昇。(日経平均株価38%上昇)。07年10月にNYダウは当時の最高値をつけた。QE3の終焉が株安を招くとの一般的誤解は昨年覆されたのが歴史。利上げでNY株は下げるという論調が支配的だったガが、今度は利上げこそ株高の条件みたいな風潮。市場では、刹那的風潮がその後打ち消されることばかり。そのうち、円高株安論も影を潜めてくるのかも知れない。一方で「1月高値のアノマリー」というのも登場した。1949年の東証再開以来、日経平均株価の年間高値が1月だった年は5回。1954年年、74年、90年、92年、08年。年間騰落率(前年末比)平均でマイナス26%。(最小54年マイナス5.8%、最大08年マイナス42.1%)。年間安値を付けた月は8月(92年)、10月(90、08年)、11月(54年)、12月(73年)。すべて年後半に集中。1月以降の下落分を年末までに取戻し、年末時点で1月高値を上回った年は2回(82年、95年)。このケースでは年間安値は7月(95年)10月(82年)。日経平均が1月から下げ始めた年で、その年の安値を6月までにつけたことは一度もない。「1月高値アノマリー」では日経平均は年末までに4月安値(4月14日終値13910円)を下回ることになる。 というか聞きたくないアノマリーでもある。日経平均は4円高の15454円と8日続伸。しかしJPX400やTOPIXは下落。東証1部の騰落銘柄数は、値上がり770、値下がり861で明らかに値下がりが多かった。東証1部の売買代金は1兆5636億円、8日連続で2兆円を下回った。8日続伸は、昨年12月17〜30日の9日続伸以来。8日間の上げ幅は約676円。しかし今回の連騰直前の先々週金曜に400円以上の下げだったのだから実質は200円程度。1日平均での約84円だから「実感が乏しい」との声も聞かれる。「値がさの一角によって支えられている日経平均優勢の相場もそろそろ一服」とも見られた。石井鐵工、よみランが上昇、スカイマーク、アイフルが下落。

21日(木)
小出しの政策では日経1面の「景気対策に1兆円確保」の見出し。サブタイトルは「消費税10%に備え」となっている。消費税を10%にするなら我武者羅な景気対策が出るということ。このサインだけでも市場は好感しなければならない筈。逆に、消費増税先延ばしと言う選択肢もある。そもそも今年3月の消費増税で増える税収は8兆円の見込み。しかし、昨年の日経平均株価の約8000円の上昇から生じた税収は約5兆円。今回2%引上げるとすると得られる税収は約5.3兆円。そこから景気対策費1兆円を引けば、約4兆円。日経平均株価が8000円上げれば、賄える金額でしかない。消費増税なしならば、この程度の上昇はあってもいい筈。この議論がなされないところが不毛でもある。市場関係者のコメント「高いと言うより、単に値を保っているというのが正しいと言われそう。10銭刻みにしてしまったため、値動きにダイナミックスがなくなったからです」。これは確かにあるかも知れない。日経に登場したのは「日本株、呪縛解けた?」。「セルインメイ」が全く機能しなかった今年の相場を回顧している。「消費増税にアジア危機が加わった1997年の再来説もかわしている」。としながら「米金融政策に絡むリスクシナリオは残る」。相変わらずの玉虫色だが、セルインメイ論者にとっては忘れて欲しいところだろうか。日経平均株価は131円高の15586円と9日続伸。日エンター、鋳鉄菅が上昇、ガリバー、アダストリアが下落。

22日(金)
「売買低調、熱気なき株高」。日経3面の見出しだが、そういわれてしまうと何か意気消沈。せっかくの9連騰などどこ吹く風。商いを伴っておらず、東証1部の売買代金が9日連続の2兆円割れ。だから動意に乏しい、という訳でもなかろう。挙句の果てには、「2兆円越えとなる日が上昇相場終焉のサインとなるかもしれない」。相場の上昇のためには売買エネルギーの拡大が不可欠という論調はいつの間にか刷り返った。変わり身の早さは天下一品だと感心する。変わり身と言えは「株、円安浮揚力どこまで」の見出し。円安株高というのが、業界の合言葉だったが、この非常識もようやく崩れ始めた。もっと円安になる必要があるというコメントもあるが、一方では「円安が進んだのに輸出数量が意外と伸び悩んでいる。輸出の増加が所得を押し上げ、国内消費にプラスに働く循環がかつてほど働いていない。むしろ円安で輸入物価が上昇し、家計の購買力は低下してしまった」。「円安の負の側面が表面化してくる可能性がある」とのコメント。そんなこと、当たり前のことだし、今頃言い始めるというのは時期ハズレ。エコノミストや市場関係者は目先しか見ていないことの証左でもある。「通貨の売られる国の経済が確りとして株価が上がる筈がない」というのが邪心のない常識。その意味では本来に戻ったと言えるのかもしれない。見逃せなかったのが「都、株式投資を検討」の記事。約4兆円の公金の一部での株式投資を検討しているという。東京を「国際金融センター」とする構想の一環とされる。いつかどこかで聞いたようなシナリオ。バブルの頃は「24時間金融都市」というのが合言葉だったが挫折したのが歴史。「都が株式投資を始めれば国際金融センター構想の実現にもプラスとなりそう」とのコメント。確かに、本当に実現すれば、上場企業だけでも90兆円あると言われる手元資金は動こう。こちらも廃語となった「財テク」の再来期待。日経平均株価は47円安の15539円と10日ぶりに反落。東証1部の売買代金は10日連続で2兆円割れ。日本エンター、Klabが上昇。東洋建設、ランドが下落。

(2) 欧米動向
市場では毎年「ジャクソンホール」を騒ぎ立てる。
しかし、ジャクソンホールを正確に知る人も少ない。
「妖怪ウォッチ」を見たこともないのにゲームを論じる市場関係者みたいなもの。
見たことも触ったこともない物をまるで熟知しているように語る人の多さには驚くことが多い。
ところでそのジャクソンホール。
別にホールがある訳でなく、ワイオミング州北西部ティトン郡にある谷。
谷とはいえ標高は2000メートル近い観光地。
冬には氷点下50度が記録されたこともあるという。
毎年カンザスシティ連邦準備銀行の経済政策シンポジウムが主催されるのは涼しいからだろう。
観光地だから当然ジャクソンホール空港はある。
しかし鉄道の駅や長距離バスのターミナルはない。
ソルトレークとのバスが1日1便。
高速道路の出入り口もない。
人口1万人弱というからまさにリゾートでしかないのだが・・・。

バロンズ誌の今週号で印象に残ったのが強気のファンドマネージャー氏のコメント。
「2008年以来、経済成長率は2%近辺に張り付いていたが、
どうやらアニマルスピリッツが戻ってきたようだ。
もっとも、経済と株式市場は区別して考える必要がある、
大抵のアナリストは2008年の金融危機が頭にこびりついていて、
何でも最高になれば今度は下がると考えている。
例えば、利益率が過去最高になったのを見て、次は下がるしかないと信じている。
しかし利益率が最高になったのは、企業の効率化の努力のため。
今後の経済成長の加速で売上高が伸びれば、営業レバレッジが高くなっているため、
利益も大きく増加する。
今年のS&P500のEPSは平均120ドルと見ている。
今年末のS&P500は2100と予想。
PERはインフレ率や債券利回りを勘案し、17.5倍が適切と見る。
40%の下落を10年で2回も経験したために無理もないが、多くの人は
上がったら下がる、それも強烈に下がると刷り込まれている。
当方のシナリオは99年のピークよりも25%も高い。
しかし99年は15年も前のこと。
15年間弱気相場で眠っていた市場がようやく立ち上がってきたという訳だ」。
ダウとS&Pが最高値を更新しているNY市場でさえこの有様。
東京が覚醒しなくてもなんら不自然ではないし、「刷り込み」は洋の東西を問わないらしい。

「ETFに関して考える8つのポイント」という提言も興味深い。
(1)パッシブ投資に王道はない。
  難局に対峙したときは、アクティブのFMに分がある。
(2)運用管理コストをコントロールするべきである。
  運用リスクをすべて取っているのは投資家であり、運用マネージャーに報酬など必要ない、
(3)ただ投資判断を低いコストだけに依存するのも間違いである。
(4)スマートベータは時折スマートなだけである。
  長期投資にこだわらなければプレーンバニラ戦略の方がうまくいくだろう。
(5)複雑なものは避けるべき。商品の中身を理解できないなら保有すべんきでない。 

  調子が悪くなったときにとんでもなく驚くことになる。
(6)特定の対象だけに投資するニッチETFは株へのギャンブル的要素が強い。
  インデックス運用と言う投資を多様化するメリットが薄れる。
(7)流動性が低い市場には注意が必要である。
  資産価値を下回る価格での狼狽売りが誘われる可能性がある。
(8)マーケッティングマシンに注意が必要だ。
  バックテストのデータは過去5年間、好調でも設定後の1年間ほとんどこれを保てない。

バンカメとシティは住宅ローン担保債権の不正販売問題で司法当局と和解。
いよいよリーマンショック以来の業界と規制当局のバトルに終止符が打たれた。
「負の遺産の処理」と表現されているが、この和解は大きい。
新興国や欧州で繰り広げられていたウォールストリートのバトルの市場代理戦争の終焉。
蜜月となれば、その影響は計り知れない。
だからNYは最高値だし、東京も9連騰というのは少し無理筋だろうか。
もっとも米国の適正な利上げへの道筋はこれで整ったと読む。
悪くはない。

(3)アジア・新興国動向

1月から数ヶ月市場のネガ派のマインドを刺激したHSBCの中国製造業PMI。
50.3と市場予想(51.5)を下回っても今月は全く関係ないそぶり。
時と場合に応じて都合の良い指標が持ち出される典型でもあろうか。
だったら同じ指標で騒いだ1月23日の下げは何だったのだろうかと問いたいもの。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・
22日(金)ジャクソンホール金融・経済シンポジウム(〜24日予定)
25日(月)米新築住宅販売、独IFO景況感
26日(火)企業向けサービス価格、米耐久財受注、ケースシラー住宅価格、2年国債入札
27日(水)米5年国債入札
28日(木)米GDP改定値、7年国債入札
29日(金)失業率、有効求人倍率、消費者物価、鉱工業生産、米個人所得、シカゴ購買部景気指数、ミシガン大学消費者信頼感、インド休場

長期金利は世界的低下。
指標となる新発10年物国債利回りは一時0.495%と1年4ヵ月ぶりに0.5以下に。
株の膠着は明日のためのすくみ。
債券価格の上昇はバブルのフィーナーレ。
そう読みたいところ。
しかし株価の上昇は売買エネルギー低下。
株価の下落で売買エネルギー増加。
下がれば買うという姿勢の「誰かがいる」ことは否定できない。
逆に言えば「株価の上昇でも売る人が増えない」とも考えられるが・・・。

ただ・・・。
日本株の不毛の原因の一つはその日経平均株価を主要指標としていること。
2000年の銘柄入れ替えで明らか過去との連続は途切れている。
それでも律儀に使っている。
せっかくJPX400が登場したのだから、
早急に先物市場を整備して過去の呪縛をリセットすることも必要だろう。
どうせ尾が胴体を振り回すのなら、現実的な指標を掲げてもらいたいもの。
日経平均は残して、225先物だけ廃止。
400の先物で裁定取引をどうぞというのもアリかも知れない。



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