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英明コラム 5月第4週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》5月4週

【推移】
 
20日(月):週末のNY市場で主要3指数は4日ぶりの反落。米中通商協議が行き詰っているとの報道で下落に転じたとの解釈。トランプ政権が中国の通信機器大手ファーウェイに対する事実上の輸出禁止措置を打ち出した。中国外務省報道官は「意味のある通商交渉にするためには米国側が誠意を示さなければならない」とコメント。
 
一方アメリカ側は輸入自動車や部品に対する関税の判断を最大6カ月延期すると正式に発表。行方の定まらない週末となった。週間ではNYダウが3年ぶりの4週続落(0.7%安で累計3.0%下落)。S&P500(0.8%安で累計0.8%安)とNASDAQ(1.3%安で累計4.3%安)が2週続落。
 
日経平均株価は51円高の21301円と続伸。朝方発表の1?3月期の実質国内GDP速報値が市場予想に反して2四半期連続増。これを好感した買いが優勢だった。ただ、個人消費など内需の弱さを輸入の減少が補う内容だったうえ、米中貿易協議の動向を見極めたいとの様子見気分も強く伸び悩み。
「むしろGDPは悪化した方が消費像増税延期・凍結につながりよかったのではないかと」という声も聞こえる。TOPIXも小幅続伸で終えた。
 
東証1部の売買代金は1兆9846億円と減少。4月23日以来の2兆円割れとなった。新高値90銘柄、新安値90銘柄。任天堂、ファーストリテが上昇。村田、安川が下落。
 
21日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は続落。NYダウの終値は84ドル安だが朝方に一時200ドルあまり下げる場面もあった。中国の通信機器大手ファーウェイとの取引を事実上禁じる米政府の措置を懸念。相次いで同社へのサービスや部品の供給を止める企業の動きが伝わり米中貿易摩擦懸念が高まったとの解釈。
 
一方携帯電話3位のTモバイルUSと同4位のスプリントの経営統合の承認方向からスプリントは一時28%上昇。シカゴ連銀全米活動指数は予想を下回って着地。
 
日経平均株価は29円安の21272円と小幅反落。ファウェイ問題への懸念と下値の押し目買いの交錯。後場寄後には上海株とNY先物の上昇を背景にプラスに転じた場面もあった。ソフトバンクG、スズキが上昇。ソニー、川船が下落。
 
22日(水):
NY株式市場はハイテクセクター中心に反発。商務省がファーウェイへの規制を緩和。ネットワークの保守やスマホ向けソフト更新を行えるようにする措置を発表。政府が前週発表した同社への規制を緩和するもの。一時的措置は8月19日まで。これを好感した格好でインテル、クアルコムなどが上昇。3日続落していたSOX指数も反発した。「S&P50は米中貿易戦争が長期化するとの懸念から5月1日に付けた過去最高値から約3%低い水準」でもある。5月17日時点の信用買残は232億円減の2兆1999億円。同売り残は90億円増の8529億円。毎日空売り比率が40%を超えているが信用売り残は増えていないというのが現実。
 
日経平均株価は10円高の21283円と小幅反発。NY高を背景に買い物はあったが上値も重い展開。プラスマイナスを往来しながら、かろうじてプラスをキープした。資生堂、信越が上昇。イオン、スズキが下落。
 
23日(木):
NY株式市場は下落。いつものように日替わりの解釈。「米中貿易戦争を巡る懸念が再び高まったことが市場心理の重荷」。「トランプ政権が中国の監視カメラ大手ハイクビジョンへの禁輸措置を検討している」。この報道をデフォルメした格好だ。「市場は一つのことしか見えないし追えない」という典型だろうか。
Quick調査の5月17日時点の信用評価損率は▲15.39%と2週連続の悪化。5月17日時点の裁定買い残は905億円減の8365億円と2週ぶりに減少。同裁定売り残は489億円増の6065億円と2週ぶりの増加。
 
日経平均株価は前日比132円安の21151円と反落。これで木曜は5勝13敗。朝方から半導体製造装置や電子部品などの主力銘柄で売りが先行。一時200円超下落した場面もあった。ただ日銀のETF買いの思惑でやや下落幅を縮小。インドの総選挙での与党優勢とか英メイ首相の辞任観測など不透明材料は多々あったが基本は中国ファーウェイ問題への懸念。スマートフォン向けの需要が落ち込むとの見方が台頭した。ファーストリテ、花王が上昇。ソフトバンクG、東エレが下落。
 
24日(金):
NY株式は大幅続落。NYダウの下落幅は一時400ドルを超えた場面があった。NASDAQも100ポイント超の下落。背景は米中経済関係の悪化懸念。中国の防犯・監視システム最大手のハイクビジョンとの取引制限を新たに米国側が検討しているとの一部報道を嫌気。パナソニックやKDDI、英半導体設計会社アームなど米国外の企業が相次ぎファーウェイとの取引停止を表明。
 
市場のリスク回避ムードが再燃したとの解釈。中国が米国に対して通商協議を継続するには「誤った行動」を正す必要があると訴えたことが一番の悪材料との解釈だ。CNNの「恐怖と欲望指数」は28ポイントに低下。「25」を割れ込めば反転の可能性の水準。
 
日経平均株価は33円安の21177円と続落。投資家心理が悪化し、朝方には日経平均の下落幅が220円を超える場面もあったが後場切り返しての動きで日足は陽線。トランプ大統領は中国との貿易交渉で「合意できれば何らかの形で取引に含むかもしれない」と発言。
米中摩擦に対する警戒感がやや後退。時間外取引で米株価指数先物が堅調に推移。上海や香港などのアジア株も総じて上昇基調となり下落幅を縮小した。ソフトバンクG、スズキが上昇。ファーストリテ、ヤマハが下落。
 
(2) 欧米動向
 
ほとんど報道されなかったOECDの経済見通し。
OECDは「持続可能な成長を取り戻すべく各国政府は共に行動しなければならない」とコメント。
下方修正の理由は「米中による関税引き上げと中国経済の減速」。
そして米国がさらなる対中関税を発動した場合、最悪のケースで世界の経済成長率が0.6ポイント下押しされると試算。
19年の世界経済の成長率見通しは昨年11月の3.5%から3月は3.3%。
OECDが求めているのは以下の3つ。
(1)インフラ・デジタル化などに対する投資、
(2)ユーロ圏における構造政策と財政政策、
(3)国際協調の強化とルールに基づく国際経済の枠組みの修復による貿易紛争の解決。
 
★OECDの世界経済成長率見通し(%、カッコ内は従来見通し)
      2019年     2020年
世界   3.2(3.3)   3.4(3.4) 
中国   6.2(6.2)   6.0(6.0) 
米国   2.8(2.6)   2.3(2.2) 
ユーロ圏 1.2(1.0)   1.4(1.2)   
日本   0.7(0.8)   0.6(0.7)
 
 
(3)アジア・新興国動向
 
31日(金)に中国の5月製造業PMIが発表される。
ポイントは業況 改善・悪化の分かれ目となる「50」を3ヵ月連続で超えるかどうか。
市場予想は49.9。
政府が講じる一連の景気刺激策が徐々に効果をもたらしていると見られる。
そして米国との貿易摩擦の激化が中国国内の景況感にどの程影響を与えているか注目される。
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・
27日(月):米メモリアルデー、英バンクホリデーで休場
28日(火):企業向けサービス価格指数、米CS住宅価格指数、CB消費者信頼感
29日(水):米7年国債入札
30日(木) :米GDP改定値、中古住宅販売仮契約
31日(金):失業率、鉱工業生産、米個人所得・支出、中国製造業PMI、IISSアジア安全保障会議
 
【5月】(8勝6敗で6位、陽線確率57.1%)
 
27日(月)NY、ロンドン休場(メモリアルデー、スプリング・バンク・ホリデー)、株高の日
30日(水)米ベージュブック、変化日
31日(木)MSCI定期見直し(半期)リバランス、株高の日、鬼宿日
 
 
国内事情のスケジュール。
だいぶスッキリするかも知れない。
6月7日(金)4月景気一致先行指数速報値
6月10日(月)第一四半期GDP2時速報値
6月19日(水)与野党党首討論
6月26日(水)国会会期末
6月28日(金)→29日(土)G20大阪サミット(米中首脳会談の可能性)
7月1日(月)日銀短観
 
このところシッカリしているREIT。
需給面での特殊要因も登場した。
一つは2回目になる東証REIT指数の浮動株比率の見直し。
リバランス規模早く170億円でザイマックス(3488)、三菱物流(3481)、タカラリート(3492)などのインパクトが大きいという。
もう一つはFTSEグローバル指数への日本のREIT組入の可能性。
発表は9月だが、パッシブ買い期待は日本ビル(8951)、ジャパンRE(8952)など。

(兜町カタリスト 櫻井英明)

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