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毎日コラム
上場企業の不祥事
今年も振り返ってみると、毎日流れる数多くのニュースの中で、相変わらず企業不祥事が後を絶たない。企業の不祥事を報じない日が珍しいと言ってもいいでしょう。
あまり続くとつい忘れてしまいがちですが、こうした不祥事は過去にもたくさん発生しており、インターネットで検索すれば驚くほどの数が出てきます。
粉飾決算、不正会計、贈賄、隠蔽、改竄、偽装、環境汚染……企業がやらかす不祥事は呆れるほど豊富です。

なぜ、毎年のように大企業の不祥事が明るみになり、そして、一向になくなる気配がないのでしょうか。
とはいえ、もちろん個人投資家が気になるのは株価への影響でしょう。

最近は、(環境、社会、企業統治への取り組みを評価する)ESGの視点を企業の選別に生かす投資家が世界中で増えています。その分、不祥事を起こした企業の株価の下げがきつくなっています。

世の中のルールを守り、長期的に企業価値を高められる会社として胸を張れるか。

深刻な不祥事で下げた株価はすぐには戻らない。市場は企業に問いかけているのでしょう。
 
◆2018年発覚した上場企業の主な不祥事一覧

<2月>
三菱マテリアル(5711)は8日新たにグループ会社3社で品質データ改竄があったと発表した。不正があったのは、三菱アルミニウム(東京)、立花金属工業(大阪市)、ダイヤメット(新潟市)の三社。経団連では、一連の不正事件で、会員企業に不正の有無の総点検を求めていたが、三菱マテでは今回の3社については報告していなかった。

6月には、子会社のみでなく本体でも改ざんが行われていたことを受け、竹内章社長(63)が引責辞任。代表権のない会長に就く人事を発表した。竹内社長は、3月28日に記者会見で不正の最終報告書を公表し、再発防止のために社長を続けると表明していた。
■昨年12月に発生した新幹線車台亀裂事故に関し、製造元の川崎重工(7012)がマニュアルに反して鋼材を削減していたことが判明。

<3月>
日産自動車(7201)が無資格検査を組織的に行っていたことが明るみとなった昨年9月以降も、一部で不正検査を続けていたと国土交通省から指摘。

<4月>
ソニー(6758)の複数の子会社で取締役を兼務する3人による不適切な交際費や出張費の支出が判明。全員が辞任。
SUBARU(7270)は、完成検査の不適切な運用とは別に、燃費・排出ガス測定に関するデータ改ざんが発覚したことを発表。
さらに、2017年10月30日の完成検査の不適切な運用問題に関する聞き取り調査の際に、燃費の抜き取り検査に関する不正があった可能性がある旨の発言が確認され、2017年12月22日国交省よりスバルに対して燃費測定値の改ざんについて調査・報告の要請、2018年2月1日に保安基準に定める排出ガスデータも含め網羅的かつ詳細に調査・報告するよう、追加の指示を受けていたことも公表した。

加えて、2017年12月19日付で国交省に提出した『完成検査の実態に関する調査報告書』に基づいて行った再発防止策の進捗を、2018年4月27日付で同省に報告したことを発表した。

そして、6月には、燃費・排出ガス測定に関するデータ改ざんとは別に、燃費・排出ガスの抜き取り検査に関し、過去に不適切な測定手続が行われていたことが社内調査により発覚し、現時点でスバルが把握している内容を国交省へ報告したことを発表した。

<5月>
■大手不動産会社レオパレス21(8848)による建築基準法違反(界壁の不備)。
アパートの屋根裏に延焼や音漏れを防ぐ壁が設置されていない建築基準法違反の疑いのある物件が見つかり、全ての施行物件3万7853棟を調査すると発表した。調査は2019年6月までに終え、同年10月には補修工事を完了する予定としている
■全品地鶏使用を謳っている居酒屋「塚田農場」が、一部商品で外国産を含む、ブロイラー鶏を使っていたことが判明。
消費者庁は22日、景品表示法違反(優良誤認)で、運営会社エー・ピーカンパニー(3175)に再発防止を求める措置命令を出した。「塚田農場」は「地鶏一筋」「限られた農家しか生産が許されないみやざき地頭鶏」などとメニューに記載していた。

実際には、「チキン南蛮」は全て外国産ブロイラーが使われ、「月見つくね」「塩つくね」は、国内産と外国産ブロイラーを混ぜたものだったりした。同社では、当該商品を食べた顧客にホームページを通じて払い戻しに応ずると告知している。

<6月>
■山陽新幹線「のぞみ」号の人身事故でJR西日本(9021)の運転手が所定の報告を怠る。
■東京地検特捜部は電子部品メーカースミダコーポレーション(6817)の元社外取締役の男性(64)を金融商品取引法違反(インサイダー取引、取引推奨)罪で起訴した。
この元社外取締役は、同社が配当金を増やすとの未公開情報を元に株を知人名義で8800万円分を買い付けたほか、知人にも購入を勧めていた。
宇部興産(4208)は7日、1970年代から品質担当部署の社員らが、不正な管理システムを利用し、検査をしなくとも基準数値を出すなどして規格外の製品を顧客企業に納品していたと公表した。不正は、担当部内で代々引き継がれていたもので、海外向け製品についてはこれから調査するとした。不正の現場では、数十人が関与し、検査をせずに数値を書き入れることを「作文」と呼んでいたという。同社では役員報酬などを減額するなどとしている。

<7月>
■クロネコのヤマトホールディングス(9064)の子会社で、引っ越し事業などを展開するヤマトホームコンビニエンスが法人向け引っ越し代金を過大請求していたことが24日判明した。 少なくとも2016年5月から18年6月の約2年間に 2460社、約4万8千件で、合計17億円の過大請求をしていた。これは、同期間中に受注した約12万4千件の約4割を占めるという。2011年に元幹部による内部告発を受け、社内調査をしていたが、軽微な問題として 全社的な調査は行わなかった模様。同日会見したヤマトHDの社長は組織ぐるみを否定し、外部の調査委員会の報告を待ちたいと述べた。

<8月>
■大手地銀、スルガ銀行(8358)は、顧客3人の定期預金を勝手に解約、約1億6500万円を横領したとして、本店営業部の男性部員(40)を懲戒解雇したと14日発表した。同部員は自分が担当する取引先への融資の事務処理等を誤り、融資継続が出来なかったことから 横領した金を流用したとみられる。同行は男性部員を刑事告訴する予定。スルガ銀行は、シェアハウス「かぼちゃの馬車」への融資方法でも不正があるとして 管理体制が問題視されている。
■燃費や排ガスの不正検査について、マツダ(7261)スズキ(7269)ヤマハ発動機(7272)も同様の不正を行っていたことが判明した。 国土交通省は8月9日発表した。不正は、測定時に条件に満たない場合でも有効との結果を出していたというもの。各社への抜き取り検査で発覚した。会見したスズキの鈴木社長は「規律のゆるみがあった」などと陳謝した。
■電線大手のフジクラ(5803)は8月31日の金曜日に、製品の検査データを改ざんしていたとして会見を開いた。改ざんしていたのは、送配電用の電線や通信用ケーブルなど73品目。同社は昨年12月に改ざんの事実を把握していたが、隠ぺいしていた模様。顧客との取り決めに基づいた品質検査を行わず、日本工業規格(JIS)の品質管理体制変更手続きにも不備かあった。改ざん・不正は1987年から30年にわたり行われてきた。今回公表せざるを得なかったのは、JISへの認証維持のためという。

<9月>
■旅行会社大手HIS(9603)は、自社が企画したハワイでの結婚式ツアーなどのプランを中止したと発表。9月28日の金曜日に明らかにした。 同社が企画したツアーでは、9月1日に開業予定の式場を利用するものだったが、式場建設が遅れ対応出来なくなった。同社では、2017年12月からこれらのツアーを260組に 販売していたが、代金を全額払い戻し、代替プランを提案するなどの対応を取っているという。
■不動産会社TATERU(1435)で、新築アパート投資をする顧客から受け取った融資資料を改ざんする不正があったことがわかった。従業員が銀行の融資審査を通りやすくするため、顧客のネットバンキングの画面を改ざんし、預金残高を多く装っていた。

<10月>
■油圧機器メーカーのKYB(7242)と子会社のカヤバシステムマシナリーが建築用の免震・制振装置のデータ改竄(かいざん)を行っていたことが判明。国土交通省内で記者会見し、不適合品が使われている可能性のある物件が新たに1件判明、合計987件に上ることを明らかにした。子会社が製造したオイルダンパーは、全国の病院や公共施設などで使われており 東京だけでも250件近くある模様。 同社は、交換を急ぐとしているが、生産が間に合わずすべての交換が終了するのは2020年までかかる見通しとのこと。

<11月>
日本航空(9201)は11月1日、英国で同社の男性副操縦士(42)が逮捕されたと発表した。この副操縦士は、ヒースロー発羽田行きの旅客機に搭乗する予定だったが 定められた基準値の約10倍のアルコールが検出され逮捕された。
旅客機にパイロットを送迎するバスの運転手が酒のニオイに気づき通報した。パイロットは搭乗前にアルコールのチェックなどを受けるが、何らかの不正でパスしていた模様。旅客機は1時間9分遅れで出発した。逮捕された 副操縦士からは、呼気1リットル当たり0.93ミリ・グラムのアルコールが検出されたという。呼気濃度0.5から1ミリ・グラムは酩酊状態とされ、脳の機能が低下し千鳥足になったりもする。

さらに、同21日夜の日本航空(9201)羽田発福岡行き335便が、予約の見通しを誤りオーバーブッキングしたため、欠航となったことが判明した。同社では、別便への振替えなどの対応を行ったが、福岡空港の運用時間の22時までに調整がつかず、搭乗できなかった乗客らは空港で一夜を明かした。22日の朝に臨時便を飛ばした。日航は、見通しの甘さを詫びている。
■居酒屋「はなの舞」と「さかなや道場」で水揚げ当日の魚介類を使用と謳っていることについて、消費者庁は11月7日に景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、運営するチムニー(3178)に再発防止命令を出した。

同店では「羽田空港に空輸される配達サービスで当日(又は前日)に到着した鮮魚を提供する」などとしていた。実際は、前日以前に到着していた魚などを提供していた。チムニーは、現場との情報共有が徹底されていなかったなどとコメントしている。
日産自動車(7201)のカルロス・ゴーン代表取締役会長(64)が自分の過去5年の役員報酬について、計約50億円過少申告し有価証券報告書を提出したとして金融商品取引法違反の容疑で 19日、東京地検特捜部に逮捕された。また、本件に関与した同社代表取締役のグレゴリー・ケリー容疑者(62)も逮捕した。
同日午後10時から横浜の日産本社で西川広人社長が、緊急記者会見で両人の解任を発表した。本件は内部告発によるものと公表した。

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