【市況】ダウ最高値188ドル高、年末商戦本格化 |
29日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前営業日の27日に比べ188ドル59セント(0.42%)高の4万4910ドル65セントで終えた。26日以来となる最高値を更新した。米長期金利の低下が米株相場の追い風となった。半導体関連株が買われたことも、投資家心理の改善につながった。
この日小売り各社はセールを本格的に始めた。根強いインフレを背景に出費に慎重な家計が増えているものの、商戦への期待感を背景に小売り最大手ウォルマート、アマゾン・ドット・コムなど消費関連に買いが入った。
長期金利の低下基調や、物価抑制と成長実現を両立する米景気の軟着陸見通しも相場を押し上げた。前営業日に続きダウは一時4万5000ドル台に到達。投資家が重視するS&P500種株価指数も最高値を更新して引けた。半導体株なども買われた。
感謝祭翌日のこの日は午後1時までの短縮取引だった。
米債券市場で長期金利は4.20%前後と前営業日の終値(4.26%)を下回って推移した。市場では米連邦準備理事会(FRB)が12月に追加利下げに動くとの観測がやや優勢となっている。長期金利の低下を受けて株式の相対的な割高感が薄れ、主力株への買いを支えた。
バイデン米政権が検討している半導体製造装置や人工知能(AI)メモリー半導体の中国向け販売規制を巡り「当初想定されていたほど厳しい措置にはならない」と米ブルームバーグ通信が27日夜に伝えた。半導体関連株への買いを誘い、エヌビディアが2%高となった。ダウ平均の構成銘柄以外では、ラムリサーチやアプライドマテリアルズ(AMAT)といった半導体製造装置株の上昇も目立った。
米経済への楽観的な見方も株買いを支えた。29日は米国で年末商戦が本格的に始まる「ブラックフライデー」にあたり、消費者が節約志向に傾くなかでも大幅な値引きが消費を押し上げるとの期待も強い。「良好な消費が確認されれば、米経済にとってポジティブだ」との声が聞かれ、景気敏感株や消費関連株への買いにつながった。
ダウ平均は上げ幅を350ドル程度に広げる場面があった。29日は感謝祭の翌日で午後1時までの短縮取引となり、休暇を取る市場参加者も多かった。薄商いだったため、値動きが大きくなりやすかったとの指摘もあった。
ダウ平均の構成銘柄ではボーイングやハネウェル・インターナショナル、アマゾン・ドット・コムが買われた。ウォルマートやナイキも上昇した。半面、メルクやジョンソン・エンド・ジョンソンは下げた。
ダウ平均は月間で3147ドル上昇した。上昇幅は2022年10月以来の大きさとなった。11月は米大統領選挙の結果が想定よりも早く判明したなか、トランプ次期大統領が打ち出す減税や規制緩和が米景気を支えるとの観測が広がった。
ナスダック総合株価指数は反発した。前営業日比157.690ポイント(0.82%)高の1万9218.166で終えた。テスラの上げが目立ち、メタプラットフォームズも上昇した。ナスダック指数は月間では6.2%高となり、上昇率は5月以来の大きさとなった。
S&P500種株価指数も反発し、前営業日比33.64ポイント(0.56%)高の6032.38(速報値)で終えた。6000台を回復して26日以来となる最高値を更新した。月間では5.7%上昇し、昨年11月以来の高い上昇率となった。
NYダウ 44910.65 ( +188.59 )
S&P500 6032.38 ( +33.64 )
NASDAQ 19218.17 ( +157.69 )
米10年債利回り 4.171 ( -0.096 )
NY(WTI)原油 68.00 ( -0.72 )
NY金 2681.0 ( +16.2 )
VIX指数 13.51 ( -0.39 )
29日のシカゴ日経平均先物は上昇した。12月物は前営業日の27日に比べ4900円高の3万8300円で終えた。消費の先行きを占う年末商戦が本格化する中、反発した。同日の米株式相場の上昇を受け、投資家心理が上向き、日経平均先物にも買いが入った。
シカゴ日経225先物 (円建て)
38300 ( +130 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38325 ( +155 )
( )は大阪取引所終値比
29日の英FTSE100種総合株価指数は小幅に3日続伸し、前日比6.08ポイント(0.07%)高の8287.30で終えた。米株式市場は感謝祭の祝日に伴い28日が休み、29日は短縮取引となる。英株式市場でも取引は盛り上がりを欠き、指数は前日終値に近い水準で方向感に乏しく推移した。
FTSEの構成銘柄では、一部金融機関が投資判断と目標株価を引き上げた鉱業大手アングロ・アメリカンが5.42%高、エンジニアリング企業のIMIが3.29%高、航空機エンジン大手ロールス・ロイスが2.38%高と上げが目立った。一方、一部の金融機関が投資判断を引き下げたと伝わった航空・防衛大手BAEシステムズは4.88%安、小売り大手JDスポーツ・ファッションは1.55%安、住宅大手バークリー・グループは1.47%安となった。